本年1月5日の記事
「失敗か、大失敗かの二者択一」や
3月3日の記事
「戦後脱却こぼれ話(2) 仮面と素顔、または『総理の本心』の無意味さ」
でも取り上げましたが
わが国の保守(派)と呼ばれる人々の一部には
自分たちにとって都合の悪いことが起きると
こう言って正当化を試みる傾向があります。
いわく、
政治とは複雑なもの、
XXXX(不都合なことをしでかした人物)の本心は違うのだ。
たとえば安倍総理については、
じつにさまざまな事柄について
「本心は違う」論が出ました。
「安倍総理は本心では消費税を8%にしたくなかった」
「安倍総理は本心ではTPPに反対だ」
「安倍総理は本心ではアメリカに追従したくない」
「安倍総理は本心では日韓合意を望んでいなかった」
「安倍総理は本心では消費税10%引き上げをやめるべきだと思っている」
「安倍総理は本心ではグローバリズムに否定的なのだ」
などなど。
しかし、これにたいする答えは一つです。
それがどうした!!!
政治は結果がすべて(Ⓒ安倍総理)です。
そして結果は、行動によって生まれる。
ゆえに行動と異なる本心など
塩に埋もれたナメクジと大同小異。
そんなものの存在を考慮する意味はないし、
そもそも存在するかどうかも疑わしいということですよ。
よって「本心は違う」論を持ち出すことで
自分の立場を正当化しようとする者については
なるほど、苦しまぎれのゴマカシを試みているんだな
と正しく評価してさしあげたいのですが・・・
やっぱり、やっちゃう人がいるんですね。
どうぞ。
ドゥテルテ比大統領の「決別」発言に稲田朋美防衛相「本心じゃない」
いわく。
稲田朋美防衛相は
25日夜のBSフジ番組「プライムニュース」で、
フィリピンのドゥテルテ大統領が米国と「決別」するなどと述べていることについて
「米国と決別するのは本心ではないと思う」と述べた。
その上で「南シナ海で法の支配を貫徹するため、
フィリピンは非常に重要な国だ。
日本とフィリピンの戦略的関係は築いていく必要がある」と強調した。
・・・すると大臣。
ちょっとおうかがいしたいのですが、
ドゥテルテ大統領はシャレかノリで
アメリカと決別すると発言しているとお考えなのですか?
それとも
本当はアメリカと添い遂げたいのだが
アメリカの圧力で決別と言わざるをえないとか?
ついでに
かりに本心さえ違っていれば
決別すると公言したことがチャラになるのでしょうか?
もしそうなら
政治家はあとで「本心ではなかった」と言いさえすれば
どんな放言、暴言、ウソ八百を並べても許されることになりかねませんが?
というか、そもそも大臣は何を根拠に
ドゥテルテ大統領の本心は違うと判断されたのでしょうか?
なるほど今回の訪日では
日米同盟や米比同盟の重要性を認めたようですが
それこそが大統領の本心だと判断して良い理由は?
ご存じのとおり政治とは複雑なものですからねえ。
こちらとしても、なかなか信用できなくなってしまうのですよ。
いや、待て待て。
ひょっとすると
「アメリカと決別するというのはドゥテルテ大統領の本心ではないと思う」という発言自体が
防相の本心ではなかったとか?
あ、きっとそうですね。
失礼いたしました。
お許しを。
ただしその場合、
南シナ海で法の支配を貫徹するため、
フィリピンは非常に重要な国だ。
日本とフィリピンの戦略的関係は築いていく必要がある
という発言についても
本心ではなかった可能性が高くなりますが
そこはそれ、政治とは複雑なものということで。
・・・ちなみに当のドゥテルテ大統領は
日本から帰国した10月27日、
記者団にたいして
今後は暴言をしないと約束する
と発言。
何でも飛行機から空を眺めていたら
罵るのをやめないと、この飛行機を落とす!
という声が聞こえたのだとか。
ドゥテルテ大統領、
誰なんだ?
と聞き返したところ、
神だ!!
という返事があったそうです。
(※)ヨーヨーは古代の中国やギリシャにもあったそうですが
現在の形にしたのはフィリピン人だと言われます。
ただしこれが
ドゥテルテ大統領の本心かどうかは
まだ確認されていない模様です。
ではでは♬(^_^)♬
14 comments
ホワホ says:
10月 29, 2016
僕も夜更かしするのは本心じゃ有りません!(キリッ
玉田泰 says:
11月 7, 2016
僕も異常に早寝早起きなのは本心じゃ有りません!(w
せい says:
10月 29, 2016
もしかして相手にツンデレを求めているツンデレ脳なのか。
辛い現実から逃避しているのでしょうか。
行くとこまでいくと、例え攻めてきた相手にも「本心とは違う」と言って無抵抗に受け入れ、北斗の拳で、ガンジーみたいなキャラが、ラオウにされたような事になりそう。
Guy Fawkes says:
10月 29, 2016
>ドゥテルテ大統領、誰なんだ?と聞き返したところ、神だ!!という返事があったそうです。
なるほど、差し詰め『機械仕掛けの神様(デウス・エクス・マキナ)』というヤツでしょうか?
しかしこの場合は日本の現政府・与党にこそ、それが当てはまりますね。
何故なら、「本心は違う」などという噴飯モノの『ご都合主義(正に機械仕掛けの神)』をしみじみと語っておられるのですから。
SATOKENJI says:
10月 29, 2016
いや、デウス・エキス・フィリピーナでしょう。
Guy Fawkes says:
10月 29, 2016
将又、あの歯に絹着せぬ暴言からすると「ディアボルス・エクス・フィリピーナ(フィリピン仕掛けの悪魔)」
でしょうか?スケールがワールドワイドなのか、ローカルなのか…(苦笑)
マゼラン星人二代目 says:
10月 30, 2016
>そもそも大臣は何を根拠に
>ドゥテルテ大統領の本心は違うと判断されたのでしょうか
さだめし宇宙(そら)に揚がった時、同大統領の思念にダイレクトに触れたのでしょう。
「ああ、ドゥテルテ、刻(とき)が見える。。。」
とか何とか。
マゼラン星人二代目 says:
10月 30, 2016
>「アメリカと決別するというのはドゥテルテ大統領の本心ではないと思う」という発言自体が
>防相の本心ではなかった
防相の本心は奈辺にあるか。
「(新)ジャイアーン、(新)ジャイアンのくせになぜ先に逝っちゃうんだよ!!」
これです、これしかありません。
ジャクハイ says:
10月 30, 2016
まさかドゥテルテ大統領自身が麻薬常習者なんて事はないでしょうね(^_^;)
TOMAS says:
10月 30, 2016
稲田朋美防衛相は、ゴスロリファッションという趣味を持っているようです。とすると、彼女の政治姿勢は、政治家としての知性ないし見識を持ち合わせた上で、ゴスロリに通ずる幻想的で神秘的な世界観を前提とした無意識の〈叡智〉による行動が取られていてもおかしくはありません。(佐藤さんは稲田朋美防衛相の発言にずいぶんと批判的なご様子ですが)私は今回の稲田朋美防衛相は見事に理性と叡智が組み合わされているバランスのとれた発言という風に解釈しましたのですが、いかがでしょうか?
参考文献
『本格保守宣言』佐藤健志著
(特に終章「理性偏重から叡智の世紀へ」の〈真に保守されるべきもの〉を参考にさせていただきました。)
マゼラン星人二代目 says:
11月 1, 2016
「ゴシック精神に近づくためにはゴシック様式を踏襲しなくてはいかん」
とよく人はいうけれど、
こういった時代考証への偏執、史的実証主義的な構えのどこが「ゴシック的」なのか、
誰か説明していただけませんか。
マゼラン星人二代目 says:
11月 1, 2016
>ゴシック
ローマ帝国に壊滅的な打撃を与えたゴート族にちなみ、現代のローマ帝国とも言うべきアメリカへの含みを滲ませる?
「瓶子の首を落してやりましょう」的な実効性のかけらもない憂さばらし。
玉田泰 says:
11月 7, 2016
本心では自分と同意見という主張自体が我田引水そのものですね。そこまで自分が正しいのなら直ぐにでも政治家になればいいのです。そんな人ほど本心ではなかったと言い訳ばかりしそうですが。
政治の駆け引きの力学に言い訳など何の回答にもなりませんよね。
というか例え駆け引きでも、言った以上は責任を負わなければならないのが政治に限らず関係というモノです。
ネット上の書き込みだってその覚悟が要るのです。増して政治家やマスコミなら…。
薩摩ンド・バーグ says:
11月 10, 2016
つい本音が出てしまって、、、はあっても逆はどうなんですかねぇ。
政治家の「本心ではなかった」は「つい本音が出てしまった」と解釈しています。
いえ、稲田防衛大臣は大臣としての発言行動はともかく、私は大ファンなんですけど、、、。
佐藤先生の「フランス革命」「ゴジラ!」「パラドックス」「戦後史」「右傾化」「コモン・センス」は拝読させていただきました。