おなじみ西部邁先生は、

日本には健全なナチ・ファッショが必要だ

と説かれることがあります。

 

むろんこれには

先生一流の意図的な挑発という側面もあるのですが、

じつは案外にもっとも。

 

ナチというと、とかく悪いイメージがつきまといますが

もともとの意味は国家社会主義です。

ついでにファッショは、束になるということ。

 

つまりナチ・ファッショは、

純粋に言葉の意味だけを取れば

国家や社会を大事に思って連帯することを意味するのです。

 

けれども問題は、

西部先生も「健全な」と断っているように

ナチ・ファッショが暴走すると、きわめて不健全になってしまうこと。

 

ナチ・ファッショを健全なまま保つにはどうすればいいのか?

いや、そもそもそんなことは可能なのか?

 

考えるべき点は多いのです。

 

関連してご紹介したいのが、

アメリカの作家、ハーラン・エリスンさんの短編

「ヒトラーの描いた薔薇」。

 

1978年の短編集「STRANGE WINE」に収録されています。

 

 

これは私の知るかぎり日本未訳。

ただし「ヒトラーの描いた薔薇」は1980年ごろ、

「SF宝石」という雑誌(短命でした)に訳出されたことがあります。

 

地獄の扉があるとき開いてしまい、

閉じ込められていた人々がワッと逃げ出してくる。

 

それらの人々のほとんどは、

直後に地獄へと引き戻されるのですが

マーガレット・スラッシュウッドという女性だけは

現世に戻ってきます。

 

なぜか?

じつはマーガレット、無実の罪で死刑になったから。

 

とはいえ面白いのは

ヒトラーはそもそも逃亡しようとしないんですね。

なぜか?

 

彼は地獄の壁に絵を描くことに熱中していたから。

描いていたのは、一面の薔薇です。

ミケランジェロもかくやの美しさなのだとか。

 

なかなか意味深長ではないでしょうか。

 

ちなみに、ひとつ自慢させてもらうと

私が持っている「STRANGE WINE」には、

エリスンさんのサインとメッセージが入っています。

 

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佐藤健志へ。

活躍を祈る。強運を!

ハーラン・エリスン

 

とのことでした。

ではでは♬(^_^)♬