16世紀イギリスの劇作家で
かのシェイクスピアにも影響を与えたといわれる
クリストファー・マーロウの作品
『エドワード二世』には、
こんな台詞が出てきます。
呪わしい運命よ! やっと分かったぞ、
たえず回り続けるお前の車輪には
ある恐るべき地点がひそむ。
そこにたどりつこうとしたら最後、
真っ逆さまに落ちることになるのだ。
俺はそこに踏み込んでしまった。
だが、これ以上登り詰めることなどできなかったとすれば
わが身の転落を嘆くいわれがどこにあろう?
いえ、たまたま思い出しただけですけどね。
さて。
森友学園をめぐる公文書改ざん問題は
まだまだというか、
ますますというか、
泥沼化の様相を深めています。
明日、27日には
佐川宣寿・前国税庁長官の国会証人喚問が行われる予定。
拘留中の籠池泰典さんと23日に接見した
希望の党の今井雅人議員によれば
野党は何やら、隠し球を持っているらしい。
他方、24日〜25日にかけて
ANNが行った世論調査では
内閣支持率は32.6%(先月比マイナス11.7ポイント)。
不支持率は54.9%(先月比プラス13.2ポイント)。
なに、朝日系の調査結果など信用できない?
あ、そうかも知れませんよ。
NNNが先週行った調査では
支持率は30.3%(マイナス13.7ポイント)と出ましたから
もしかしたら数字が高めになるよう操作しているのでは?
W(^_^)W\(^O^)/情報操作も宇宙のジョーク、あっソレ!\(^O^)/W(^_^)W
ただしANN調査でも
安倍昭恵夫人の国会に招致すべきだと答えた人は63%。
内閣総辞職すべきだと答えた人も48%います。
総辞職の必要はないという回答は39%ですから
あいかわらず厳しい状況。
産経新聞の首相官邸キャップを務めたこともある
ジャーナリスト・山際澄夫さんもこうツイート。
日本は森友問題どころじゃない、というのはよく分かる。
だが、その憤りは、疑問を軽視してきた安倍首相、
首相に諫言せず、メディア、野党批判に終始した側にも向けられるべきものだ。
首相は原因を徹底究明すると言う。
それが本当なら、佐川氏以外の国会招致から始めることだ。
24日の自民党全国幹事長会議をめぐっては
こんな報道まで。
1年後に統一地方選を控える地方議員にとって、
森友文書改ざん問題による内閣支持率の急落は大きな不安材料です。
ある地方議員からは、
「このまま問題が長引くなら、安倍総理には辞めてもらいたい」といった声すら出ています。
明日の証人喚問の結果いかんでは
マジで内閣の命運がヤバくなるかも知れません。
しかるにわが国の保守界隈には
安倍内閣にとって都合の悪いことは
すべて反日勢力の策謀によって起きるはずだ
と信じこんでいる(としか思えない)方々が
少なからずいらっしゃいます。
政治とは理屈ではどうにもならぬものであり、
取るに足らないような事柄が
えてして国の盛衰を左右する大問題に化けたりする
という
エドマンド・バークの見識を
どうしても受け入れたくないらしいんですな。
バークの見識を受けいれたがらない者の政治理念を
「保守(主義)」と呼んでいいかは
はなはだ疑問ではありますが
それはまあ、脇に置きましょう。
というわけで今回も、
反日勢力による倒閣の策謀を許すな!!
といった主張が
例によって出回っています。
し・か・し。
憂国お花畑に自閉することなく、現実を眺めてみましょう。
森友関連の話を
ここまで泥沼化させた最大の要因は何か?
ずばり、2017年2月17日の
総理のこの答弁としか思えないのですよ。
私や妻が(森友への国有地払い下げに)関係していたことになれば、
首相も国会議員も辞める。
この答弁、与党や霞ヶ関で話題になったそうですが
一週間後の24日、佐川理財局長(当時)は
国有地払い下げの交渉記録について
廃棄され残っていないと答弁。
3月15日には
価格を(財務省から)提示したことはないと答弁します。
しかし・・・
当時から、こうした「佐川答弁」に対し、
財務省関係者の間でも「真意を図りかねる」との声があった。
「交渉記録が残っていないことはあり得ないし、
こうした案件は、本省の判断や指示なしでやれるものではない」
「国会答弁は、言質をとられないように、ぼやかして言うのが役人の心得。
どう転ぶかわかならい段階で、あんなにはっきり否定して大丈夫なのかと思った」(財務省関係者)
決裁文書の改ざんは、
この答弁に沿って行われたもの。
となると、2月17日の総理答弁がなければ
佐川答弁もなく、
よって文書改ざんも起きなかった可能性が高い。
現に前掲記事によれば、ある財務省OBはこうコメントしています。
総理が『辞職』するとまで言って、国会審議を乗り切ろうとしている。
佐川局長は、『総理案件』であることや、
そうした政権の正面突破の姿勢を“忖度”して、
便宜供与などの疑惑の要素が全くないかのように全面否定したのではないか。
だとしても、なぜ総理はこんなことを言ってしまったのか。
あの段階で、ここまで突っ張る必要があったとは信じられません。
というか、
首相も国会議員も辞める
なんて口にしたら最後、
この件で動かぬ証拠をつかんだら、
内閣退陣どころか政界引退まで追い込めるぞ!!
と、野党が盛り上がるのは明らかではありませんか。
こう言っては失礼ながら、
次のように答弁すれば良かったのです。
私も妻も、法に触れるようなことはしていない。(1)
それは確信している。(2)
しかし、このような疑惑を持たれること自体、
不徳の致すところだ。
よってこの場を借りて、
国会議員、および国民の皆様に
心からお詫び申し上げたい。
【注釈】
(1)「関与していない」とは言っていないのがポイント。
(2)「確信」である以上、事実でなくとも問題はない。
で、深々と頭を下げておけば、
佐川答弁もなし、
改ざんもなし、
よって今回、窮地に立たされることもなし!
一強状態のまま、
北朝鮮危機やデフレ脱却、
あるいは憲法改正に取り組めたはずなのです。
麻生派の議員の誰かが
「どうしてそうしなかったんだ!」と怒っているという記事も
先週、目にしたおぼえあり。
けれども、ここのどこに
反日勢力の倒閣策謀なるものが入り込む余地があるのか。
それとも反日勢力とやらは、
国会での総理答弁までコントロールできるのか?!
内閣倒すに反日要らぬ、総理がムキになれば良い!!
(↓)♬日本は沈む〜よ〜、ど〜こ〜までも〜♬
・・・いや、待て。
もしかしたら保守界隈の方々は
安倍内閣総理大臣こそ、安倍内閣の倒閣をもくろむ反日勢力である
と考えているのかも知れません。
そして当該の方々は
日本のために安倍内閣を支持すると主張しているのですから、
これは彼らも
憂国の士にして反日勢力であることを意味します。
おっと、こう考えればみごとにツジツマが合う!!
目の前の状況から、
論理的にツジツマの合わないことをすべて取り去りたまえ。
最後に残ったものこそ、
いかに非現実的に見えようと、事の真相なのだ。
──シャーロック・ホームズ
論より証拠、
25日にグランドプリンスホテル新高輪で開かれた
自民党大会では、
じつに象徴的な出来事が起きました。
こちらの記事をどうぞ。
森友文書改ざんの悪い冗談!? 自民党大会の「お土産」がヤバすぎる
(デイリー新潮、3月26日配信)
安倍首相が「行政全般の最終的な責任は私にある。国民に深くお詫び申し上げる」
と謝罪したのは、報道の通りだ。
ところが、そんな反省の弁を一気に無力化してしまうような、
恐ろしい“お土産”が自民党から出席者に配られていたのだ。
お土産の正体は
安倍総理の似顔絵をあしらった
「書いて消せる! マグネットシート」。
総理の絵の脇には
大きな吹き出し(漫画で台詞が書きこまれるアレ)があるのですが
水性ペンを使うかぎり
吹き出しに何を書いても、指で簡単に消せるのだそうです。
裏にはマグネットがついているので、
冷蔵庫などに貼って使って下さい、ということでしょう。
何の変哲もないお土産でも、まさにタイミングが悪い。
財務省が公文書を「書いて消した!」ことが大問題になっている、その真っ最中なのだ。
出席者の一人は、こう語っています。
(党大会の)司会の方は
「お土産は書いて消せるマグネットシートです。
何回書いても消せますので、どうぞ何回でも書いて消してください」
と連呼していたんです。
私は信じられませんでした。
「なんでこんなものをお土産にしたんだ?」とか
「これはブラックジョークなの?」と困惑したような声も聞こえてきました。
私も「これは野党のスパイが党内部に潜り込み、
破壊工作として企画したお土産ではないか?」と、あらぬ妄想が湧き上がりました。
ハイ、それは妄想です。
自民党こそ、自民党政権をつぶそうとする反日勢力なのだ!
これが正解。
目の前の状況から、
論理的にツジツマの合わないことをすべて取り去りたまえ。
最後に残ったものこそ、
いかに非現実的に見えようと、事の真相なのだ。
明日の証人喚問が、
いかなる新しい真相を明らかにするか、
みなさん、期待しようではありませんか!!
(↓)それまではこの4冊で下準備を!
ではでは♬(^_^)♬
9 comments
メイ says:
3月 27, 2018
安倍政権は必ず倒されなければならない。
マゼラン星人二代目 says:
3月 27, 2018
>私も妻も、法に触れるようなことはしていない。(1)
>(1)「関与していない」とは言っていないのがポイント。
それでは、よし訴追を免れても、「自民党感じ悪いよね」(@石破茂さん)というムードを払拭できない。(幼稚園児のマスゲーム、そのインパクトはそれだけのものがあった)
司法に勝って政治で負ける、ということになっては意味がない。
だから、塚本幼稚園への肩入れを遅まきながらできるだけ小さく見せようとする。
そんなところではないでしょうか。
反孫・フォード says:
3月 27, 2018
>泥沼化させた最大の要因
しかしもう自殺した方がいらっしゃるわけで、総理(だけではないにしろ)は成長戦略(構造改革を変名し)だと言う(実質は嘯いていることになる)規制緩和特区により公的土地を民間に売り、直接関与せず間接的であったにしろ人の命を奪ったことになるのではないですか。
風が吹いたら桶屋が儲かる世界ではないのです。新自由主義がまかり通ったら自殺者が増える世界なのです。新自由主義に侵されている全ての政治家はデフレ脳から早く脱して、いい加減まっとうにデフレ対策しなさいよっ!と言いたいです。
と書き込んでもネオリベの耳に聴こえるわけもなく・・・・・カンコロキーーーーーーンッ!
失礼しま舌。
shun says:
3月 28, 2018
「これで内閣府が関与していたのでは?という疑惑が払拭された」
佐川の証人喚問後、二階がこんなこと言っておりましたよ。
馬鹿か、って言いたいですね。
そんなんで騙されるか。
別に安倍の逮捕まで行けなんて思っていませんが
キチンと財務省や関係企業など、関係者の処罰と
二度と改竄や不当な国有地販売などが起きないような仕組み設計を
進めてほしいですね。
一つでも欠けたら日本はアフリカのどこかの国に言われたように
中世の暗黒国家です。
マゼラン星人二代目 says:
3月 29, 2018
外交の季節になだれこんでほとぼりが覚めるのを待つ。(かんばしい成果があろうとなかろうと、森友問題は焦点から外れてゆく)
実に見えすいた計算ではあるが、こんな簡単な手に国民はやられてしまうのか。
マゼラン星人二代目 says:
3月 30, 2018
>外交の季節になだれこんでほとぼりが覚めるのを待つ。
今回の喚問で火消しになると思ってる感覚がどうしても理解できない。
この薄気味わるい自信の根拠は何か、と考えたときにほとんどの人はこれ以外には思いあたらないのではないか。
>今回の喚問
野党の追及が甘い、という論調も理解できない。野党を貶れば間接的に政権を擁護できると考えているのだとすればなおさら。
「改竄前の文書を見たか見なかったかも言えない」
とか、
「政権の関与を否定できさえすれば「誰が何故」についてはどうでもいい」
とか、
「「廃棄した」は「廃棄する規則がある」を意味する」
とかいった
そういった奇観、そのシュールさが国民の前に示された時点で既にして与党ないしは政権の敗北なのだとは、どうして考えないのか。
信頼の回復とは疑惑の払拭を通じてのみ可能なのであって、「疑惑の払拭」とは、疑いを抱いている側に挙証責任をなすりつけることでは出来るものではない。(事は司法ではなくて政治なのだから、先生の仰るとおりそれこそ魔女狩りよろしく「疑わしきは疑われた側の不利に」でいいのではないか)
>魔女狩り
本来、不穏当な類推。
別に命まで取ろうというのではない。「火あぶり」だの「鉄の処女」だの「三角帽」だのも出てこない。ただ、国民の視線は痛かろうと。ただそれだけのこと。
この程度のことをやれ「魔女狩り」だの「人民裁判」だのいうのは一種の飛躍であって、本物の「魔女狩り」や「人民裁判」の恐しさや陰惨さを実はわかってない証左ではないか。
マゼラン星人二代目 says:
4月 2, 2018
>事は司法ではなくて政治なのだから
実のところ、何も「政治」を司法の外部として持ちだすこともなかった。
もともと「司法」のルール内でも「挙証責任の転換」という概念もあるのだし、そうでなくても「疑わしきは罰せず」の法理は「疑わしいものは相変わらず疑わしい」という心証と両立する。
いずれにしても、迫田さんとか谷さん、そして場合によっては安倍昭恵さんとかを国会に呼ぶことに難色を示すうえで、ことさらに「魔女狩り」や「人民裁判」を持ちだすのは、ためにする屁理屈でしかないことには変わらない。
>「疑わしいものは相変わらず疑わしい」
佐川さんの言い分はわかった。でも、悪いけど、これでは何もわからない。もっといろいろな人に話を聞きたい。
マゼラン星人二代目 says:
4月 1, 2018
(いつになくしつこい私)
森友はTPPに比べて小さい、と嘯いた大臣がいるそうです。
森友(文書)問題という甚しき大問題に輪をかけて大きな問題があるとの由。
そうですか。国難に次ぐ国難、内憂外患の目白押し、というわけだ。
それなら、政権与党の方々に問いたい:
オールジャパンの挙国一致内閣を立ちあげて枝野さんなり志位さんなりに首相ポストを差しだすくらいのことをせずして、どうしてこれを乗り切れるか。
>森友(文書)問題という甚しき大問題
文書主義が溶けると、中世とか暗黒とかいう以前にそもそも国家の体をなさない。(それこそ、「日本がなくなってしまう」)
>オールジャパン
日ころから共産まで。
玉田泰 says:
4月 4, 2018
先生の見解は全くその通りだと思います。
総理のあの軽率な強弁さえなければ、事態はこれほどまでに泥沼化しなかったのではないでしょうか。
あの答弁は自ら炎上の火種を作った感があります。
しかし「お土産は書いて消せるマグネットシート」とは自らを風刺しているのでしょうか?(笑)