中野剛志さんの新著

「世界を戦争に導くグローバリズム」

が発売されました!

 

読みやすく、刺激的で、かつ内容が充実している。

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中野さんの議論は

根本となる世界観・歴史観がしっかりしているので

時事的な話題を扱ったとしても

その場限りのものにはならない。

 

ヒット作「TPP亡国論」など、

TPPが締結されたあとにこそ

その真価が明らかになるはずです。

 

さて、今回の本は

帯の文句にもあるとおり、

「アメリカの衰退」がキーワード。

 

20世紀後半の世界では

アメリカを中心とする自由主義諸国と、

ソ連(現ロシア)を中心とする社会主義諸国の対立、

いわゆる「冷戦」が展開されましたが、

1980年代末、社会主義諸国では体制崩壊が続発。

1991年には、ついにソ連がなくなってしまいます。

 

つまり20世紀末、アメリカは名実ともに世界のナンバーワンになったことに。

 

そして、わが「コモン・センス完全版」でも指摘したように、

一介の主権国家でありながら

それを超越した世界国家たらんとするのが

建国いらいのアメリカの特徴です。

 

 

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いいかえれば1990年代、

アメリカは自国がついに世界国家となったように思い、

それに基づいた国際戦略を展開するにいたった。

 

これが「アメリカ一極主義」、

ないし「グローバリズム」です。

 

だとしても、一つの国が世界全体を仕切るなどということが

そう長続きするはずはない。

 

だいたい1990年代になると、アメリカの国力はむしろ衰退の兆候を示していましたし、

社会的な格差もどんどん広がりはじめていた。

 

そして2010年代、

アメリカもこの現実を受け入れざるをえなくなる。

 

経済面では新自由主義的なグローバリズムを維持するとしても、

世界全体を仕切ろうとするような振る舞いは控えて

アメリカ大陸という特定の地域におけるナンバーワンであればそれでよい

という状態にまで

順次、手を引いてゆく。

 

これが、現在起こりつつある変化の本質だ!

と、中野さんは説くわけです。

 

だとしても。

20年間にわたり、自国の価値基準を普遍的なものと見なして

世界を仕切ろうとしたあとで

や〜めた、と手を引いたらどうなるか。

 

覇権(=主導的な支配権)の真空状態とも呼ぶべきものが

世界各地で発生します。

 

そして「自然は真空を嫌う」というのは

永遠不変の真理。

 

つまりは世界のあちこちで

アメリカが手を引いたあとの覇権を握ろうとする動きが表面化、

それが武力衝突、

さらには戦争にいたる危険が増大することに。

 

だから「世界を戦争に導くグローバリズム」というわけです。

 

いったん広げた大風呂敷は

トラブルなしには畳めない

 

こんなふうに言い換えても良いでしょう。

では、具体的にどこで、どんなトラブルが起きるのか?

 

本の後半では

東アジア、中東、ロシアの各地域について分析が展開されます。

そして尖閣諸島については、以下のコメントが。

 

尖閣諸島を巡る攻防は、経済的に無価値な無人島を巡る

無意味な争奪戦などではない。

尖閣諸島の強奪によって、中国は、東アジアの覇者として認知され、

地域覇権の地位を得ることができるのである。

そうなれば、日本は、

中国に対して従属的な地位に甘んじなければならなくなる。

(231ページ)

 

シビアな予測ですが、

冒頭でも述べたように

中野さんの議論の真骨頂は

根底をなす世界観・歴史観がしっかりしていることにある。

 

この本で言えば

国際戦略における「現実主義」「理想主義」の概念です。

 

明日はこれについて取り上げましょう。

ではでは♬(^_^)♬