昨日の話の続きです。

 

ドイツ首相アンゲラ・メルケルが

安倍総理について「手強い人物」と言った。

だから安倍総理は優秀なのであり、

彼をバカ扱いする者は、

バカでなければ反日である。

 

この主張は、失礼ながらツッコミどころ満載です。

政治家の評価は、他の政治家から何と言われたかで決まるものではないし、

メルケルがどんな文脈、およびどんな意図で「手強い」と言ったかも分からない。

 

しかし最も重大な問題はこれ。

 

この発言の根底には

外国人、

とりわけ欧米の白人の評価を持ち出せば

自分の主張に箔(はく)が付き

権威が高まるだろう

という発想があります。

 

これは近代日本人、

とくに戦後日本人、

わけても反日日本人などと(保守派から)呼ばれる人々の行動パターンと

ハッキリ言って瓜二つ!!

 

納得のゆかない方は、

「アンゲラ・メルケル」を

ヒラリー・クリントン

コンドリーザ・ライス、

あるいは

キャロライン・ケネディに置きかえてみることです。

 

──いったいこれは、何を意味するのでしょうか?

結論はみなさんでお出し下さい。

 

福田恆存さんは、1955年に発表した

「自信を持とう」という文章でこう述べました。

 

劣等感にせよ優越感にせよ、

自分の国を他国と比較して安心するという、

こんなバカげた病癖から、

もうそろそろ脱出しても良かろうではないか。

 

自分が他人と較べて、

劣っていようと優っていようと、

自分は自分です。

(原文旧かな、表記を適宜変更)

 

福田さんがこれを書いてから

もうすぐ60年となりますが、

日本の保守派はあいかわらず自信がないんですね。

 

ひょっとすると

「首相をバカ呼ばわりする者は

バカでなければ反日」

というのも、

「今さら首相批判に回ったら、

オレはバカか反日ということになるんじゃないだろうか・・・」

という

切ない魂の叫びを

投影したものかも知れません。

 

私は正直なところ、

学者や言論人の中で

そもそも安倍総理をバカと呼んだ者がいるのか、

具体例を思いつけずにいますので。

 

ではでは♬(^_^)♬