メアリー・シェリーの傑作

「フランケンシュタイン、または現代のプロメテウス」

天才科学者

ヴィクトル・フランケンシュタインが

科学の力で新たに生命をつくりだそうとする物語。

 

・・・と書くと

「そんなことは誰でも知っている!」

(©保守の重鎮、またはユダヤ陰謀論者)

という声が聞こえてきそうですが。

 

上の記述には

あんがい知られていないディテールが含まれています。

 

「フランケンシュタイン」というと

われわれはとかく、

この科学者がつくりだした怪物、

または人造人間を連想しがち。

 

もっと正確に言えば

たいていの人が連想するのは

1931年の映画版に登場した

ボリス・カーロフ演じる怪物の姿でしょう。

あれが一種、定番になりましたからね。

 

しかし「フランケンシュタイン」は

実際には怪物をつくった科学者の名であり

怪物の名ではないのです!

 

ならば怪物の名は何か。

怪物には名がないのでした!

 

というわけで、

「フランケンシュタインの(つくった)怪物」と呼ばれたのですが

いつの間にかカッコの部分が落ちてしまい

「フランケンシュタインの怪物」

そして

「フランケンシュタイン」となった次第。

 

つまり怪物は

本来、フランケンシュタインではないにもかかわらず

なしくずしにフランケンシュタインと呼ばれているのです。

 

裏を返せば

自分の本当の名前、

つまりアイデンティティを模索しつづけるのが

この怪物の宿命。

 

フランケンシュタインのキャラクターに

時代を超えた魅力があるのは

これが大きいと思います。

 

「アイ・フランケンシュタイン」に登場する怪物も

むろんその例外ではない。

いや、「われはフランケンシュタイン」というタイトルに暗示されるとおり、

この作品はまさに

怪物が自分のアイデンティティを見つけ出そうとする物語なのです。

 

ところで。

1931年の映画版に登場した怪物のメイクは

ジャック・ピアースという人が考案したもので

映画を製作したユニバーサル社の登録商標。

 

「フランケンシュタイン」自体の著作権は

とうに消滅しているので

この物語をモチーフにした作品をつくることは自由なのですが、

例のメイクを使う場合には

ユニバーサルの許可が必要となります。

 

ついでに1931年版の怪物は

うなり声をあげるだけの愚鈍な存在のごとく描かれていますが

原作では高度な知性を持っていることになっていました。

 

「アイ・フランケンシュタイン」の怪物は

クールなタフガイとして描かれますが、

これは逸脱ではなく、むしろ原作に忠実なのです。

 

では、今日もスチールをどうぞ。

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『アイ・フランケンシュタイン』 9月6日(土)より新宿バルト9ほかにて全国ロードショー!

© 2013 LAKESHORE ENTERTAINMENT GROUP LLC AND LIONS GATE FILMS INC.

 

右側の美女については、明日以後の記事で紹介します。

服装が示すように科学者ですが、

割烹着を着ていなくて良かったですね!

 

そして映画の公式サイトはこちら。

 

ではでは♬(^_^)♬