アメリカ共和党全国大会で

ドナルド・トランプが大統領候補として正式指名されました。

 

これを受けてトランプは

約1時間15分の演説を披露。

全編見ましたが、なかなかの名調子です。

 

ご覧になりたい方はこちらを。ただし字幕なしです。

 

いや、内容に問題なしとはしません。

物事を過度に単純化する

人々の不安をことさら煽る

「外部の敵」を設定し、それを倒せば万事解決と構える

といったポピュリズム的アジテーションの要素が

随所に表れています。

 

ちなみにトランプ演説における「外部の敵」は

1)テロリスト

2)不法移民

3)官僚主義に陥ったワシントン政府

4)既得権益層の手先となり、国民を裏切った政治家

5)アメリカの寛大さにつけこもうとする諸外国

6)バラク・オバマ大統領

7)ヒラリー・クリントン

とまとめられるでしょう。

 

だとしても、名調子であることは否定できない。

イギリスの「エコノミスト」紙も

「危険なぐらいに出来の良い演説」と評しました。

 

記事本文はこちらを。

 

いわく、

トランプはアメリカの現状を

絶望的で滅亡寸前であるかのごとく描き出したあとで、

自分が大統領になりさえすれば

偉大なる復活がすぐにでも達成できるだろうと説く。

 

予備選挙における原稿なしのスピーチでは

トランプはしばしばトンデモな事実誤認をしでかしたり、

イスラム教徒の入国禁止をはじめとする

どう見ても憲法違反としか思えない政策を説いたりした。

 

だがクリーブランド(注:共和党大会の開催地)での演説は違う。

今回の演説は細心の注意を払って準備されており、

その構成はときに見事でさえあった。

 

原稿作成には、熟練のスピーチライターや法律家たちが関わったに違いない。

彼らはトランプ主義の本質を理解したうえで

都合よく選ばれた統計データ、

情に訴えるエピソード、

法の支配にたいする尊重といったテクニックを巧みに駆使したのだ。

 

ハイ、まったく賛成です。

 

しかもトランプ演説には

正論としか言いようのない点すらある。

 

18分50秒目あたりで、彼はこう言い切るのです。

 

さあ、アメリカ復活のプランを披露しよう。

われわれのプランと

敵どものプランの最大の差は何か?

われわれのプランは、アメリカ第一に徹するのだ!

(会場の聴衆から「USA!」コールが起きる)

われわれのモットーはアメリカニズムだ!

グローバリズムではない!!

自国第一を心がけない政治家が指導者の地位にいるかぎり

他国がわれわれに敬意を払うことはない!

このことを肝に銘じてくれ!

われわれは不当に低く扱われるのだ!!

 

・・・はたしてこの結論(最後の4行)は間違っているか。

 

自国第一をどのような形で追求するべきか、

という具体的な方法論については

議論の余地がいろいろあるでしょう。

自国第一主義をあまり露骨に打ち出すと、

かえって国益に反する(=自国第一が達成できない)かも知れません。

しかしこの結論、基本的に間違っていないと思います。

 

平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼するというのはたやすい。

国境や国籍にこだわる時代は過ぎ去ったというのもたやすい。

しかし。

 

真に信頼しうるのは自国(民)のみであり、

それは国境や国籍にこだわることによって維持されるというのも

偽らざる世界の現実ではないでしょうか。

 

この現実を見ようとしないかぎり、

わが国の末路はこうなるでしょう。(↓)

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ではでは♬(^_^)♬