アメリカのポンペオ国務長官は2日、

1987年にソ連(当時)との間で結ばれた

中距離核戦力(Intermediate-range Nuclear Forces, INF)の

全廃条約について、

ロシアに破棄を通告したと発表しました。

 

いわく。

残念なことにロシアの重大な違反によって条約はもはや有効ではない。

米国の国益を守るためだ。

他国が義務を無視する場合に米国が見過ごすことはない。

米国は有効性のある軍縮を推進する。

元の記事こちら。

 

ロシアも同日、条約破棄の意向を表明。

両者の歩み寄りがなければ、条約は6ヶ月後に失効します。

 

北朝鮮の公式ニュースサイト

DPRKニュースサービスは、

これについて以下のようにツイート。

 

Cow withdraws from nuclear weapons treaty with Pig.

“Why?” asks Pig, “When you know it will mean more nuclear weapons across the farm?”

“I am a stupid and bloodthirsty animal,” replies cow.

 

【日本語訳】

牛と豚が、核兵器について条約を結んでいたものの、

牛が脱退を通告した。

 

「なぜだ?」豚がたずねた。

「そんなことをしたら農場が核兵器で一杯になるぞ、分かっているだろう?」

 

牛は答えた。

「オレはバカで血に飢えた生き物なんだよ」

ご丁寧に牛の画像まで添えられた元のツイートはこちら!

 

北朝鮮とアメリカは今月末、ベトナム中部のリゾート地ダナンで

第二回の首脳会談を開催する予定。

日程は最終調整中とのことですが、25日(月)が有力と伝えられます。

関連記事こちら。

 

にもかかわらず、上記のようなツイートをしているのですから

今回の会談でも、非核化の進展は期待できそうにありません。

 

実際、国連安保理の専門家パネルは1月末、

北朝鮮が核・ミサイル開発を継続しているという

最終報告書をまとめたとか。

 

いわく。

寧辺(ニョンビョン)の核施設で

去年2月から11月の間に新たな施設や水路の建設が衛星画像で確認された。

 

(北朝鮮南部にある)平山(ピョンサン)のウラン鉱山施設でも

新たに採掘したような形跡があり、

北朝鮮が現在も核・ミサイル開発を継続している。

 

北朝鮮は去年の米朝首脳会談以降も

海上で積み荷を移し替える『瀬取り』によって

石油製品を密輸する制裁違反を繰り返していて、

少なくとも50隻の船舶と160の企業が密輸に関わった疑いがある。

 

韓国が国連に無断で

制裁対象の石油製品を

北朝鮮の開城(ケソン)工業団地に大量に持ち込んでいた。

元の記事こちら。

 

ある安保理関係者によれば

南北事業をめぐる専門家パネルの調査に

韓国は強く抵抗したそうです。

関連記事こちら。

 

金正恩は1月、

トランプから親書を受け取り、

内容に満足したとも伝えられますが、

こうなると、アメリカをナメているとしか思えません。

 

しかるに問題は、

北朝鮮がアメリカをナメるのにも

それなりの根拠があるのではないか、ということ。

 

いわゆる「瀬取り」に関与しているのは

主として中ロの船舶と伝えられますが

アメリカの国家情報局が1月31日

局長(Director of National Intelligence, DNI)名義で発表した報告書

「世界における脅威の分析」(Worldwide Threat Assessment)には

こう書かれているのです。

(※)現在の国家情報局長はダニエル・R・コーツ氏。

 

モスクワは北京との戦略的関係をより強化するだろう。

元の記事こちら。

 

保守界隈の一部には

安倍総理の進める日ロ平和条約交渉について

中ロの離反を狙った巧みな外交戦術とか評する向きがあるものの

そんな擁護論などタコのタワゴトにすぎないことが

アメリカによってしっかり暴露された次第です。

 

連中、あれで現実を直視しているつもりなんだよなあ。

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報告書の原文にあたってみると、

さらにこんなことが書いてあります。

しかも序文の冒頭に。

 

中国とロシアがここまで強固に結束しているのは

1950年代半ば以来初めてである。

両国の国益や戦略方針は多分に一致しているので

2019年、関係はいっそう強化されるだろう。

 

中ロ両国が覇権志向を強めるにつれて、

今まで確固たるものと思われていた安全保障の基盤が揺らぎ、

地域紛争発生のリスクが高まっている。

中東や東アジアでは特にそうだ。

報告書をご覧になりたい方はこちら。

 

先に紹介した毎日新聞の記事によると、

プーチンは2018年5月、

中国メディアにたいしてこう発言。

 

(私と習近平は)ウオッカをあおりながら

ソーセージを一緒につまんだ。

私の誕生日をともに祝ってくれた首脳は彼だけだ。

 

はたせるかな、

習近平が最も頻繁に訪問する外国の首都はモスクワなのだそうです。

 

「ちょっと、個人的な信頼関係構築でも負けてない?」(※)個人の感想です。

 

ついでにロシアは昨年秋、

北朝鮮にたいして

非核化への具体的なロードマップを提示すれば

原子力発電所を提供しよう

と秘密裏に持ちかけていたことが判明!

関連記事はこちら。

 

北朝鮮はそう簡単に核を放棄したくないだろうし

中国もこれについては(朝鮮半島にたいするロシアの影響力が強まるので)

反対するだろうから

ロシアの提案通りになる可能性は低いだろう、

とはアメリカの専門家の弁。

 

ただし中国が反対するとなると

通商問題で中国とぶつかっているトランプは

むしろロシア提案に賛成しかねない、という見解もあります。

 

何にせよ、金正恩にとっては決して悪くない話。

北朝鮮は北朝鮮で、

けっこう足場を固めているのです。

 

のみならず。

中ロはアメリカにとっても、無視できない脅威となってきている模様。

先の報告書「世界における脅威の分析」の5〜6ページをどうぞ。

 

すでに中国は、アメリカの基幹インフラにたいし

局地的・一時的な機能不全を起こさせるに足る

サイバー攻撃能力を持っている。

攻撃の具体例としては、

たとえば天然ガスのパイプラインを数日から数週間にわたり

使用不能にすることが想定される。

 

すでにロシアも、アメリカの基幹インフラにたいし

局地的・一時的な機能不全を起こさせるに足る

サイバー攻撃能力を持っている。

攻撃の具体例としては、

たとえば電力供給を最低数時間ストップさせることが想定される。

2015年および2016年、

ウクライナでは類似の事例が見られた。

アメリカのインフラにいっそう大規模な打撃を与える力を持つという

長期的な目標のもと、

モスクワはわが国のインフラ構造を調べ続けている。

 

一般に公開された文書の中で

アメリカが中ロのサイバー攻撃の脅威について

ここまで踏み込んだ記述をしたのは

今回が初めてだそうです。

関連記事はこちら。

 

さらに中距離核戦力についても、こんな記事が。

 

アメリカはINF条約を

ロシアが違反しているから破棄すると決めたので、

アメリカ自身は中距離核戦力をまだ用意しておらず

これから新たに開発することになります。

 

大変困ったことに、

アメリカには使えそうな中距離弾道ミサイルの

潜在的な候補が碌(ろく)にありません

迎撃試験用の標的ミサイルはありますが

実戦兵器への転用は能力的に無理があります。

 

結局、ロシアや中国の中距離弾道ミサイルに

中距離弾道ミサイルで対抗するつもりでいるならば、

今から全く新しい中距離弾道ミサイルを開発する必要があります。

元の記事はこちら。

 

巡航ミサイルを転用するのであれば

候補はいろいろあるとのことですが

要するに安全保障におけるアメリカの優位は

すでに揺らいでいる恐れが強い。

 

中ロが結束して立ち向かってきた場合

引き下がらないとも限らないのです。

 

しかもトランプは例のアメリカ・ファースト的発想で

同盟国(とくにヨーロッパ)との関係をギクシャクさせているうえ、

政府機関閉鎖をめぐる一件が示すとおり、

国内でも政権基盤がぐらついている。

 

中ロとの連携を強化しておけば

うまく相手を丸め込む形で

核を放棄することなく平和条約締結に持ってゆけるかも知れない!

 

金正恩がそう踏んだとしても

あながち間違いとは言えないのではないでしょうか。

 

しかるにわが国は

戦後日本型の平和主義にとらわれたまま、

そんな状態になりつつあるアメリカにたいし

現地妻的な依存・従属を決め込んでいるのですぞ。

 

「真実に直面しなさい! でないと後になるほどツライわよ!」(※)お姉さまのお言葉です。

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平和主義から脱却し、

自立した富国強兵路線へと転換しないかぎり

北方領土返還や拉致被害者奪還どころか

国の存立すら危うくなる、

これこそ、わが国のいつわらざる現状ではないでしょうか。

 

むろん、そのためにも必要なのは経済活性化。

DPRKニュースサービスに敬意を表して、

本日は以下の小咄で締めくくりましょう。

 

牛と豚が、デフレ脱却の方法を検討していたものの、

牛が消費増税を通告した。

 

「なぜだ?」豚がたずねた。

「そんなことをしたら農場がますます貧しくなるぞ、分かっているだろう?」

 

牛は答えた。

「オレはバカで財政均衡論に取り憑かれた生き物なんだよ」

 

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ではでは♬(^_^)♬