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安倍総理は消費増税について

リーマン・ショック級の出来事がないかぎりやる

と明言しています。

関連記事はこちら。

 

言い替えれば

放っておいても国民の貧困化が進み、

日本がいっそう衰退するような事態にならないかぎり

国民の貧困化が進み、日本がいっそう衰退するような政策を取る

とまあ、そういう次第。

 

爽快です、総理! 最高のメリーゴーランド!!」(※)お姉さまのお言葉です。

 

平松禎史さんはこれについて

ブログで以下のようにコメント。

 

それ(=リーマン・ショック級の出来事)ってなんでしょう?

米中または米朝戦争勃発?

静岡から九州にかけての南海トラフ巨大地震? 関東直下型大地震?

日本経済が大打撃を受ける世界恐慌?

(中略)

しかし、政府のこれまでの説明からすると、そんな壊滅的な事が起こっても

「だから消費増税が必要だ」と言いかねません。

元のブログ記事こちら。

 

最後のオチが冴えていますが、

平松さんの予想に一つ追加すべきものがあります。

つまり、アメリカとイランの武力衝突。

 

なにせイランとオマーンに挟まれたホルムズ海峡

日本に来るタンカーの8割が通過します。

1970年代、

高度経済成長が終わるきっかけとなったのも

第四次中東戦争を引き金とした石油危機でした。

 

そしてイランは5月8日、

2015年に締結した核合意について

履行の一部を停止すると宣言、

6月末までに解決策をまとめるよう

欧州各国に求めています。

関連記事こちら。

 

核合意のメンバーは

アメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシア、ドイツ(※)。

国連の安保理常任理事国(Permanent Member)+1ヶ国なので

P5+1と呼ばれますが、

EU参加国が3つ、その他3つでもあるため

E3+3とも呼ばれます。

 

(※)ただしアメリカは2018年5月8日、核合意から離脱。

その意味では、現在の合意はP4+1、またはE3+2です。

ブレクジットのあとはE2+3となりますが、それは別の話。

 

よって「欧州各国」とは

具体的にはイギリス、フランス、ドイツを指しますが

解決策がまとまらない場合、

日本も無関係ではいられない。

 

しかるにわが国は、

今年のG20で議長国を務めます。

ついでに自民党が先週発表した

「令和元年政策パンフレット」は、

こんなことを謳っているのですよ。

 

世界の真ん中で 力強い日本外交

ホントなんだよ、これが。

 

ロシアとの平和条約交渉がみごとに行き詰まろうと、

北朝鮮に「無条件で首脳会談を」と媚びたあげく

「厚かましい」とバカにされようと

トランプに「誘惑攻撃」をかけたつもりで

さんざん組み伏せられようと

なおこれを言えるのが、現政権の爽快なところです。

 

しかも口先のでまかせならともかく、

どうも本気で信じているらしい。

 

見よ、ニッポンの妄想崛起!!

 

というわけで、どうぞ。

 

首相が12日からイラン訪問 緊張緩和「シンゾーしかいない」

(産経ニュース、8日配信)

 

安倍晋三首相は12~14日まで3日間の日程でイランを訪問する。

現職首相のイラン訪問は昭和53年の福田赳夫氏以来、約41年ぶり。

首相はロウハニ大統領だけでなく、イランの最高指導者ハメネイ師とも会談する方向だ。

米国とイランの間で軍事的緊張が高まる中、

両国と友好関係を築いている立場を生かし、

緊張緩和に貢献したい考えだ。

河野太郎外相も首相に合わせてイランに入る。

 

訪問が固まったのは、5月下旬のトランプ米大統領の来日時だ。

トランプ氏は「ぜひイランに行ってほしい。シンゾーしかいない」と首相に要請。

これを受け、首相はイランと関係が悪化している

中東諸国の首脳級と相次いで電話会談し、環境整備を図った。

イラン側からも5月中旬に来日したザリフ外相から訪問要請を受けた。

元の記事こちら。

 

アメリカとイランの武力衝突が

わが国にもたらすリスクをさておいても

上級国家の旦那様から

そんなふうに持ち上げられては

現地妻、張り切らないわけにはゆかないでしょう。

 

「だって、ご主人様に尽くすのが自立の道だもの」(※)お姉さんの見解です。

 

産経新聞の元論説委員長、樫山幸夫さんいわく。

核合意をめぐる緊張状態の打開につながれば、

安倍外交は世界にその力量を示すことができる。

元の記事こちら。

 

出たぞ、世界の真ん中で力強い日本外交!!

ただしそれはあくまで

緊張状態の打開につながれば、の話。

 

樫山さんも、すぐ後にこう書いています。

しかし、ことが簡単にいくかどうか。

 

ならば、樫山さんの予想はどうか?

 

双方の主張をそれぞれに伝え、直接対話を促すことになろう。

事態打開のために独自の調停案を提示することができれば理想的だが、

イランとの核交渉にあたってきた「P5プラス1」

(国連安全保障理事会常任理事国にドイツを加えたグループ)

に日本は加わっておらず、期待薄だろう。

 

「メッセンジャー外交」になるかもしれないが、

米国とイランによる直接対話の窓口が閉ざされていることを考えれば、

それだけでも重要な役割だ。

子供の使いではないのだから、

首相としても双方の主張を伝えるだけでなく、

〝仲介者〟の資格を逸脱しない範囲で両者の間を調整、

働きかけを行いたいところだろう。

 

・・・おいおいおい。

言っちゃ何ですが、

この予想のどこから

「簡単にいくかどうか」という言葉が出てくるんですかね?

 

もともと核合意のメンバーですらない国の首相が訪問したぐらいで

緊張状態の打開などできるわけがない、

そう言ったも同じじゃないですか。

 

ついでに「メッセンジャー外交」とは要するに

「子供の使い」レベルの外交ということですよ。

すなわち

メッセンジャー外交になるかもしれないが

子供の使いではないのだから

という箇所は

子供の使いになるかもしれないが

子供の使いではないのだから

と読み替えねばならない。

 

認知的不協和大賞ものだな、これも。

 

「ねえ、令和ニッポンってどうしてこんなに爽快なの?」(※)お姉さまのお言葉です。

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ちなみに樫山さんによれば、

1985年にも、

当時の中曽根総理がレーガン大統領に頼まれて

アメリカとイランの仲介役を果たそうとしたことがあるとか。

 

イスラム過激派組織「ヒズボラ」によって

レバノンで拘束されているアメリカ人の解放を働きかけたらしい。

ただし中曽根さん本人がイランに行ったわけではなく、

ある大物外交官OBに親書を託して送り込んだそうですが、

向こうの国会議長ラフサンジャニの反応は冷淡で、

仲介は失敗に終わっています。

 

レーガン大統領はこの結果に失望、

貿易摩擦でのアメリカの態度が厳しさを増したということですから

安倍総理のイラン訪問も

世界に外交の力量を示すどころか、

通商交渉で旦那にさらにいじめられる顛末になる可能性が高いと言わざるをえない。

 

なにせ今回の問題は人質解放とは難易度が違う。

核開発です。

ついでに、こちらの記事をどうぞ。

 

「イランが米軍攻撃計画」米司令官が見解

(産経ニュース、9日配信)

 

マッケンジー米中央軍司令官(海兵隊大将)は7日、

中東に展開中の原子力空母エーブラハム・リンカーン艦上で同行記者らに、

同空母の5月の中東派遣発表に関連し、

イランがイラク駐留米軍や船舶の攻撃を計画していたとの見方を示した。

 

マッケンジー氏は、同空母を中心とする空母打撃群の派遣がなければ

「攻撃が実行に移されていた可能性が高いと分析している」と述べた。

複数の米軍幹部はAPに、

イランの艦船、潜水艦、地対空ミサイルなどは5月初旬に

「高度の(軍事的)準備状態」に入っていたことを明らかにした。

元の記事はこちら。

 

それから、こちらの記事も。

 

イラン、対話提案「誠意なし」=安倍首相訪問前、米大統領を非難

(時事ドットコム、8日配信)

 

イラン政府は8日、米国がイラン最大手の石油化学企業や

その子会社などを新たに制裁対象に加えたことを受け、

トランプ大統領の対話の提案に「誠意がない」ことを示すものだと非難した。

 

イラン外務省のムサビ報道官は8日、声明を出し

「イランと対話の用意があると述べたトランプ大統領の言葉に

誠意がないことを示すのに1週間もかからなかった」と深い失望を表明した。

元の記事こちら。

 

だいたいアメリカ国防総省は5月15日、

イラク(つまりイランの隣国)に駐在している

アメリカ大使館・領事館スタッフのうち

「緊急性の低い業務にあたっている」者については

民間の輸送機関を使って

できるだけ早く国外に退避せよと指示しているのですぞ。

関連記事こちら。

 

核合意に参加していないうえ

戦後平和主義すら脱却していないわが国が

こんな状況に乗り込んでいって

何か成果を挙げられると思った人、手を上げて!!

 

「でもいいの、愛するって耐えることだから」(※)お姉さまの言葉です。

 

カール・フォン・クラウゼヴィッツが喝破したとおり

戦争とは「他の手段を用いて継続される政治的交渉(つまり外交)」。

言い替えれば外交は

「友好的な手段を用いて継続される戦争」にほかなりません。

 

戦争と外交とは

何やら相反するものであるかのように見なされがちですが

実際には表裏一体というか

相互補完的なものなのです。

 

これは何を意味するか。

 

そうです。

事と次第では戦争(武力行使、および武力による威嚇を含む)も辞さず!

という意志と能力を持たない国は

じつは外交も満足にできないのですよ!!

 

そしてわが国は戦後平和主義のもと、

戦争に関する意志と能力を憲法で放棄している。

目下、自民党が提唱している憲法改正案でも

この点は変わっていません。

 

で、何が力強い外交だって?!

 

爽快だろ、うん。これが戦後日本なんだよ。

ちなみに樫山さん、

中曽根さんの仲介工作と

今回のイラク訪問を比較して、こう述べています。

 

異なるのは、今回は、

安倍首相とトランプ大統領のきわめて良好な関係を知ったうえで

イランの側から仲介を要請してきたことだ。

前回のように、第3者である日本の関与にイランが拒否反応を示すということはありえない。

 

あるとすれば、むしろ米側だろう。

トランプ大統領は首相のイラン訪問を要請、歓迎しているというが、本心はどうか。

東京とテヘランの良好な関係に米国は過去、水を差す行動を取ったことが何度かあった。

 

つまり仲介が成功しようが失敗しようが

旦那からDVを受ける恐れがあるのです。

 

しかもイラン側が安倍総理について

「第三者のように振る舞っているが、要はアメリカの回し者ではないか」

と(私の関知するかぎり正しく)判断したら、

樫山さんの分析に基づいても、拒否反応を示すことはありうる。

 

しかし恐るることなかれ。

樫山さんによれば、わが国にはスゴい切り札があるそうです。

どうぞ。

 

前回と異なるもう一つは、

ピークを過ぎたとはいえ、

日本の国力が1985(昭和60)年当時とは比べものにならないほど強くなったことだ。

 

おいおいおい。

1985年、日本のGDPは1兆3800億ドルで

世界全体の12%、

アメリカに次いで2位だったのですぞ。

関連記事こちら。

 

2017年、GDPは4兆8600億ドルとなりました。

が、世界全体に占める比率はどうなったか?

順位こそアメリカ、中国に続く3位ですが

6.1%にまで落ちているんですよ!!

関連記事こちら。

(※)こちらの記事によれば、1985年のGDPは

1兆3980億ドルとなっています。

および、こちら。

 

まさかとは思いますが、

樫山さん、

単純に金額だけ比べて

「比べものにならないほど強くなった」とか

書いているんじゃないでしょうな?!

 

まあ、それくらいの度胸がなければ

力強い日本外交を夢想、いや妄想することなどできないのでしょうが、

その樫山さんもこう結論づけています。

 

(安倍総理のイラン訪問が)成果をあげれば、

トランプ大統領との間も、

過剰な歓迎攻めなど必要としない真の信頼関係が実現するし、

失敗に終われば、ピエロになるだけだろう。

 

ハイ、語るに落ちましたね。

総理とトランプの間には、未だ「真の信頼関係」など存在していないのです。

というわけで、あとは総理のお手並み拝見といきましょう!

 

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