7月20日の記事
「増税を肯定する民意」では、
最近行われたFNNの世論調査において
2019年の消費税10%引き上げに賛成する者が50%を超えた
ことを紹介しました。
しかるに同じ調査では
現政権の経済政策を評価しない者も50%を超えている。
となると、
経済の現状に不満を持ちつつ、消費増税には賛成するというのが
わが国の民意になるものの
消費増税を実行すれば景気はいっそう落ち込むこと確実なのですから
これはつまり
国民は経済の再活性化を望みつつ
同時に経済を落ち込ませたがっている
ことを意味します。
なんとも困ったパラドックスなのですが・・・
さらにスゴい世論調査データが出ました。
太郎さんもコメントで取り上げていた
7月15日から17日にかけて
有権者1448人を対象に行われ、
717人から回答を得たとのことですが、
こんな結果となっています。
たとえば、
アベノミクスを加速させるために
10兆円を超える(であろう)事業規模の経済対策を行うことへの評価は
「評価する」が24.0%なのにたいし、
「評価しない」が52.2%!!
当の経済対策において
リニア中央新幹線の建設工事前倒しをはじめとする
大規模な公共事業を行うことへの評価も
「評価する」が28.9%なのにたいし、
「評価しない」が55.5%!!
アベノミクス自体については
48.4%が支持、
40.9%が不支持となっていますが
経済の再活性化を望みつつ
政府の積極財政は否定する
というのが、わが国の民意だと判断せざるをえません。
のみならず。
なんと81.9%の回答者が
赤字国債の発行に否定的な姿勢を見せています。
「経済対策は必要だが赤字国債をなるべく発行せず行うべきだ」
と答えた人が63.8%。
「赤字国債を発行するくらいなら経済対策はすべきでない」
と答えた人も18.1%にのぼりました。
「赤字国債を大量に発行してでも経済対策を打つべきだ」
との回答は8.5%にとどまったとか。
三つの世論調査の結果に表れた
民意をまとめると、以下の通りになります。
1)経済は再活性化せよ!
2)ただし積極財政は反対だ!
3)公共事業にカネを使うな!
4)赤字国債を刷るべからず!
5)消費税10%引き上げには賛成だ!
言いかえれば、
経済の活性化につながることはやらず
経済をさらに悪くするのにつながることだけをやって
経済を良くしろ。
・・・どうやるんですか、ンなこと?!?
「知るわけないだろう! そんなのはXXXXが考えればいいことだ!」
(伏字部分には政府、官僚、日銀、エコノミストなど、お好みの言葉を入れてください)
なんて答えが返ってきそうですが、
民意がこれでは
アベノミクスは永遠に道半ばですよ、ハッキリ言って。
どんな国民も
自分たちのレベルに合った政府しか持てない
という名言にならえば
どんな国民も
自分たちのレベルに合った経済しか持てません。
そして日本国民のレベルに合った経済は
終わりなきデフレかも知れないのです。
やっぱり戦後日本の末路はこれじゃないかなあ・・・(↓)
ではでは♬(^_^)♬
9 comments
Guy Fawkes says:
7月 23, 2016
取り上げられた各メディアのワケワカな世論調査と本記事を拝読してまたひとつ似た様な感慨を持った過去を彷彿とさせました。
佐藤先生が『僕たちは戦後史をしらない』で「保守派のファンタジー」と看破した4年前に文春新書から書籍化された
香山健一を中心に中沢事件(東大駒場騒動)で西部先生と共に東京大学を辞した公文俊平、
そして大平・中曽根政権下のブレーンを務めた佐藤誠三郎東大名誉教授で構成された保守派知識人集団グループ1984年の
『日本の自殺』という論文集で巻末の評文に原発や公共事業等へのいい加減で我儘な日本国民の世論に言及した上で
「この国は不敬な世代によって滅ぼされようとしている」と中野剛志さんが切り捨てていました。
当該論文への評価はさておき、私的にはこの中野さんの推察に意味深長さを感じました。
玉田泰 says:
7月 23, 2016
結局のところ、初めて行った高級レストランでツケで喰わせろと息巻いているようなモノですよね。
自分の言っていることが常識外れのわがままだと気付いていない。
それが民意なのだとしたら、モンスタークレイマーそのものですね。
それってデフレマインドにも通底していると思います。貯金はため込んで、モノやサービスを欲しがると言う。とにかく安く売れと言う要求はデフレスパイラルしか呼び起こさないのに。
そこまで日本人は心が貧しくなったのでしょうか?
福岡ワマツ says:
7月 23, 2016
世論調査で明らかになったのは、「民意」を政治に反映させると選択を誤る、ということだと思います。直接民主主義の危険性ですね。住民投票やら国民投票やらの。
「民意」なるものは所詮、新聞、ラジオ、テレビ、ネット等から大衆へ発信された情報の集合「痴」の反映でしかないと思います。しかも、その情報の恐らく大半は利害関係者による宣伝広報でしょう。それゆえ「民意」に依拠して選択の正否を判断すれば、その選択は恐ろしく愚かなものにもなり得ると思います。
それゆえに、議会での自由な(思考停止のない)議論により賢明な選択を模索する代議士の役割が重要だと思います。
だからこそ、「どんな国民も自分たちのレベルに合った代議士しか持てない」という現実を直視する必要があると思うのです。
ただ、「自分たちのレベル」を向上させるというのも、大変骨の折れる一大事業だとは思います。自らの思考停止や逆説に向き合わねばなりませんから。
カインズ says:
7月 23, 2016
「俺たちは金を出さない、政府も金を使うな。しかし、経済を良くしろ。」ということですから、そうなると、お金は天から降ってこないわけですから、またぞろ「外資や観光客を呼び込め」という話になってしまいますね。もっとも、その話も中国の爆買いブームが過ぎ去り、外需に依存することの危険性が明らかになったわけですが。
多くの日本人にとって、公共事業は「クソ」になってしまっているのでしょうね。公共事業と聞いただけで、鹿しか歩かない道路、無駄な箱物、金権政治といったイメージが頭に浮かび、条件反射的に反対となるのでしょう。そして、公共事業の良い面を語ると変態性癖者のように扱われる。デフレの原因が需要不足であることや、それを解決するために公共事業が必要だといったマトモな議論がもっとされないと、どうにもなりませんね。
せい says:
7月 23, 2016
4年ほど前の、私が未だにベスト回だと思っている、中野剛志チャンネル桜出演最終回では、水島社長自ら「団塊の世代はもう消えてもらって死んでもらうしかない」と結論付けておりました。あれから一歩進んで二歩下がるという状況を鑑みるに、やはりこれしかないのかなという思いがします。
福岡ワマツ says:
7月 25, 2016
せいさんが仰るように、団塊の世代の残念さについて異論はないのですが、「団塊の世代の死滅」を以て我が国の好機とはならないと思いますよ。
なぜなら、彼らが死ぬまでに育み築いてきた思想体系や人材などといった遺産が我々の社会に遺されるからです。
彼らの遺産が社会に強い影響を与え続けるならば、彼らが死滅するといえども、彼らが存命の頃と同様の社会運営が、形を変えて繰り返し営まれるだけ、ともなりかねません。
例えば、彼らが死ねば、「構造改革」「グローバリズム」などといった社会運動が弱体化するのでしょうか。それは恐らくないと思います。なぜなら、それらの運動には他の世代も加担していると考えるからです。
それゆえ、重要なことは、彼らの思想体系における思考停止や矛盾などに対して、異議申し立てをすることを通して、彼らの思想体系を克服し、葬り、弔うことではないでしょうか。
葬儀は、死者のためだけでなく、生者のためにも必要です。
SATOKENJI says:
7月 25, 2016
葬儀は、死者のためだけでなく、生者のためにも必要です。
なかなかの名言でした。
Guy Fawkes says:
7月 25, 2016
憚りながら葬儀とは畏れ多いと思われますが、昨今「生前に」自身の地位を自ら返上された御方がいらっしゃられましたね。
私如き愚民が大変僭越ですが、人それ自体や思想体系を克服する葬いの過程でかけがえのない大切な存在を巻き添えにしない様に心掛けなければならない事も肝要ではないでしょうか。
自らが深淵の怪物…ゴジラと化する事のない様に。
たけまん says:
7月 27, 2016
1)経済は再活性化せよ! → 内心は経済は良くなって欲しいけど、日本経済は成熟しちゃってるし、少子化で人口も減少していくのだから、望みはほぼないよね。
5)消費税10%引き上げには賛成だ! → 内心は消費税は上げて欲しくないけど、日本の借金は1000兆円もあり、このままでは国が破綻してしまうから消費税引き上げは仕方ないよね。
というのが悲しいですけど世間一般の大多数の考え方なんでしょうね。
三橋先生や藤井先生を筆頭に、いろんな所で言論活動をして、1)~5)の認識の間違いを正そうしておられるのですが、やはりメディアの宣伝効果はとてつもなく大きいですから、この流れを覆すのは容易ではないですよね。。。