〈awesome〉(オーサム)

(形容詞)畏敬の念をあらわした、畏敬〔畏怖〕させる、恐ろしい。

研究社「リーダーズ英和辞典」第二版より。

 

ある親しい友人より、

こんな質問が来ました。

いわく。

 

安倍総理はアメリカ議会での演説において

TPPの価値を awesome と表現したらしい。

辞書を引いてみたら、不適切きわまりない言葉としか思えないが、

アメリカ人はこれをどんなニュアンスで受け取るのか?

 

なるほど。

冒頭の定義を観るかぎり

不適切きわまりないというコメントにも説得力があります。

 

しかしご安心を!

安倍総理がどんな意図で awesome と言ったかはともかく、

ほとんどのアメリカ人は

冒頭で記したようなニュアンスでは受け取りません(笑)。

 

ならば、どういうニュアンスで受け取るのか?

これです。

「TPPって、マジでイケてるじゃん!」

 

たしかに awesome は本来、

大真面目というか、厳粛な意味合いで使われていましたが、

1980年代あたりから大学生を中心に

どうでもいいようなことについて、わざとこの表現を使うのが流行ります。

 

「え、まだ冷蔵庫にビールが残っている? それは awesome だ!」

「バットマンの映画、アクションがガチで awesome だったぜ!」

・・・という感じ。

 

で、これが定着するんですな。

私の関知するかぎり、

今や(若者の)バカ話専門のフレーズという感があります。

 

実例をあげましょう。

ちょうど先週、「ピッチ・パーフェクト」(PITCH PERFECT)という映画を試写で観てきました。

タイトルを訳せば「音程バッチリ」。

 

アメリカの某大学にある

女子アカペラ・グループ「バーデン・ベラーズ」

(歌だけでなく、楽器の音まで口真似して、ついでに踊るという連中)が、

メンバー同士のケンカやら、ライバルの男子グループとの争いやらを乗り越えて、

全米大学選手権で優勝する・・・

という青春ミュージカル・コメディです。

 

しかるに私のカウントが正しければ、台詞に「awesome」が8回出てきました。

どれも「イケてる」「すげー」「ガチヤバ」といったニュアンス。

 

とくに素晴らしいのが8回目。

選手権の決勝戦、いよいよ舞台に出るとき、

ベラーズのリーダーになったベッカという子がメンバーにこう告げるのです。

 

I LOVE YOU ALL, YOU AWESOME NERDS!!

(アタシたちってイカれてるけどサイコーよ、そうでしょ!)

 

ベラーズのメンバーは

個性派と言えば聞こえはいいものの、

ちょっと個性的すぎる面々(つまり変わり者)がそろっているので

ベッカはこう言ったのですが、

要するに awesome とはこんなときに使われる言葉なのですよ。

 

で、TPPの価値ねえ・・・

Awesome です、総理、まさに awesome でございます。

 

ちなみに「ピッチ・パーフェクト」の公式サイトはこちらです。

 

ではでは♬(^_^)♬

 

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(↑)オレンジ公も awesome な気分になっているようです。