昨日の記事
「中国は米ロ双方と手を組む、のかも知れない」でも
ちょろっと取り上げた
今村(前)復興相の
「東北で良かった」失言事件ですが・・・
なんというか、
しょうもない話としか評しえません。
そもそも今村大臣、
4月4日の記者会見で
自主避難者は自己責任である旨を
口走ってしまった。
おまけに J-CASTニュースが4月5日に配信した記事によると
問題のやりとりはこうなっているのです。
記者「帰れない人はどうするんでしょうか」
復興相「どうするって、それはもう本人の責任でしょう。本人の判断でしょう」
記者「自己責任ですか。(今村復興相、再び「え?」と聞き返す)自己責任だとお考えですか」
復興相「自分はそうだと思いますよ」
赤文字の部分にご注目。
記者は「帰らない人はどうするのか」と聞いたのではありません。
「帰れない人」と言っているのです。
ヾ(℃゜)々\(◎o◎)/被災地に帰れないのが自己責任か、おい\(◎o◎)/(゜;)エエッ
『右の売国、左の亡国』の
政治経済用語辞典では
自己責任
自助努力
自立をうながす
創造的復興
といった言葉について
本当の意味を暴露・・・
いや定義しましたが、
今村大臣、これらの定義が的確であったことをみごとに証明してくれました。
ちなみにこの一件については
挑発した記者が悪いという擁護論もあるようですが
いやしくも政治家、
とくに大臣たるもの
ジャーナリストのツッコミにたいして
余裕を持って受け答えできないようでは話にならない。
アーネスト・ヘミングウェイの名言にならえば
腹が据わっているとは、圧力のもとでも優雅さを失わないことだ
(BY GUTS I MEAN GRACE UNDER PRESSURE)
であります。
そして今村大臣、
わずか三週間後にこう言っちゃったんですよね。
これ(=東日本大震災)はまだ東北で、あっちの方だったから良かった。
これがもっと首都圏に近かったりすると、莫大なですね、甚大な被害があったと思う。
そりゃあ、首も飛びますわな。
なお、これについても
失言でいちいち辞任にまで追い込みたがるマスコミが悪いという擁護論があるようですが
今村大臣を辞任に追い込んだのはマスコミではありません。
安倍総理です。
こちらの記事をどうぞ。
首相、迷わず「更迭だな」 パーティー向かう前に判断
(朝日新聞デジタル、4月27日配信)
更迭の決断は早かった。
今村氏が、所属する二階派のパーティーで、
東日本大震災について「東北で良かった」などと発言したのは25日午後5時半ごろ。
官邸内で経済財政諮問会議に出席していた
首相と菅義偉官房長官にもすぐに情報が入った。
2人は会議の後、すぐに対応を協議。
首相は迷わず、「更迭だな」と口にした。
菅氏も「あの発言はかばいきれない」と考えており、判断は一致した。
パーティ会場についた総理が
開口一番、今村発言について謝罪する形で
更迭の意思を実質的に表したのは6時40分過ぎ。
発言の1時間10分後という素早さでした。
というわけで
失言で大臣を辞任に追いやるのは間違っているとお考えの方は
マスコミではなく総理を批判しなければなりません。
現にパーティ主催者だった二階幹事長はそうしています。
二階氏、首相に不満 今村氏の更迭「いきなりですよ」
(朝日新聞デジタル、4月28日配信)
二階氏の「(今村大臣の)首を取るまで張り切らなくて良い」との発言は
(マスコミではなく)首相官邸に向けたものではないか、
と質問を受けた際に、
否定せず、「いきなりですよ、いきなり。それは当たり前じゃありませんか」と応じた。
けれども今村前大臣、
なんでこんな発言をしてしまったのか?
最も簡単な説明は
本人の不見識のせい
というものでしょうが、
じつはもっと根深いものがあります。
というわけで、産経デジタル「iRONNA」に寄稿しました。
編集部題して、
\(◎o◎)/「東北でよかった」失言を誘引した安倍政権の逆ギレ論法\(◎o◎)/
(※)実際の記事に顔文字はついていません。
前回寄稿したときの
矛盾に満ちた戦後保守の「ゴマカシ」を暴く籠池証言のインパクト
もそうでしたが、
iRONNA編集部、私が最初につけたものよりも過激なタイトルをつけるのですよ。
何せ特集のテーマまでこれですからね。
\(◎o◎)/復興大臣はバカしかいないのか\(◎o◎)/
とまれ、ぜひご覧下さい。
最後にひとつ。
東日本大震災が起きたのは民主党政権下でした。
よって復興大臣も、最初は民主党系の政治家が担当しています。
正式な初代復興大臣は平野達男さんですが
その前に防災担当大臣だった松本龍さんが
「東日本大震災復興対策大臣」(通称)として
実質的な初代を務めました。
ところが松本大臣も、失言で辞任している!
・・・最初からケチがついていたわけですが
これは今村失言の背後に
「安倍政権の逆ギレ論法」がある、
という論旨を否定するものではありません。
なぜそうなるのかは、いずれまた。
ではでは♬(^_^)♬
8 comments
コバ says:
4月 30, 2017
政権の気のゆるみというマスコミ(?)の分析には違和感を感じていましたが…その違和感の正体がこれなんだと非常に納得できます。
逆ギレ論法面白いですね。自分も日常生活レベルで不安や不満を感じないようにこういう三段論法を心の中で頻繁に使っている気がします。心の励ましや落ち込まないための自分の中での言い訳ならよいかもしれませんが、あんまりやってると現実逃避ですね…そして政府が現実逃避しているのならこれはもう…
積極財政はしたくない→東北なんか見捨てたいし耐震化もやりたくないけど税収のメインである首都圏は壊れてほしくない、といったおまぬけな思考回路からこういう詭弁が失言として表出するんでしょうね☆
記者とのやり取りに関しての大臣の三段論法はこんなでしょうか?
確かに元の住んでた町が荒廃し元の生活にもどるのが大変で避難生活を余儀なくされている自主避難者もいる。
→ただし避難する必要がないような自主避難者も一部いるし震災に対してなるべく国費を投入したくない。
→よって全員自己責任
福岡ワマツ says:
4月 30, 2017
今回の記事で佐藤さんが指摘なされた事を、次のように理解するのは適切なのかどうかについて教えて頂けませんか。
Aという事象(現実)があり、Bという事象(仮想現実)があると設定する。
そして、BがAよりも過酷であることを根拠に、Aを肯定的に評価する。
この論法(仮に「過酷」論法とする)によるAの肯定は無理である。
上記のような整理による理解でよろしいのでしょうか。
上記の整理が仮に適切として、一つ妄想が崛起いたしました。ひょっとして、これは「本土決戦」における歴史認識の議論についても当てはまるのではないか、と。
その場合には、「過酷」論法を使う方はきっと次のように仰るでしょう。
「これはまだ沖縄で、あっちのほうだったから良かった。これがもっと首都圏に近かったりすると、莫大なですね、甚大な被害があったと思う」
とは言え、首都圏での本土決戦(=B①)が過酷であることを根拠に、現実(B①を中止した点)を肯定するのは無理があるように思います。現実を肯定したいのだとしても、根拠を別のものにするべきだという意味です。
いや、妄想に付き合わせてしまって失礼を致しました。
SATOKENJI says:
4月 30, 2017
そのご理解で良いと思いますよ。
想像上の事象Bが、
現実の事象Aより過酷であることは
事象Aが過酷でないことの根拠にはならない
と言っても良いでしょう。
福岡ワマツ says:
4月 30, 2017
早速のご返答、ありがとうございました
GUY FAWKES says:
4月 30, 2017
今回の記事と福岡ワマツさんのご意見を基に改めて第二次安倍政権に一貫したメンタリティとは次の様なものと言えます。
「自分達以上に明々白々な劣っている野党がいることによって自分達の政権継続、
ないしはアイデンティティが担保される(と思い込んでやまない)」ということですな、
この様なこと今更振り得るのもしょうもないお話でありますが…
※なお、今回の「逆ギレ論法」につきましては昨今話題の『平松テーゼ©️』もご参考にされることを推奨します。
それにしても、本記事で取り沙汰された今村復興相と松本復興相(菅内閣)…稲田防衛相と一川防衛相(野田内閣)…
若輩の節穴目を凝らして見ると、民進・共産党の野党勢がリアリズムを保持しない一方で、
自民党と政府与党の「民主党政権化」が急加速で早まっていると考えるのは、いくらなんでも考えすぎでしょうか…?(苦笑)
博史 says:
5月 1, 2017
iRONNA 拝見しました。
政治経済用語辞典でいうところの
「ヒステリカル イフ」
ですな
ぶひ says:
5月 3, 2017
全く関係ない話なんですが
とんでもないバカ(自民その他)の矛盾や欺瞞を指摘する考察を深くすればするほどに
当のバカ達には勿論、その支持者達の脳の許容量を越えてしまい言葉が届かず、挙句に無党派層の目にも付きづらい結果になるんだろうなと、ダンス氏のブログを読んでいて思いました。
チャンネル桜視聴者の大多数も何となく美しい日本を想像し、それに溺れたいだけの右の亡国最前線ですし。
日本人って元からこんなに頭悪かったんですかね。
玉田泰 says:
5月 18, 2017
都合の良い作り話で現状肯定するということでしょうか?
「下には下がある」という発想は、全くの後ろ向きでしかありませんね。