昨日の記事「自衛隊は『わが軍』たるべし」

こんな感想がありました。

いわく。

 

もし自衛隊が「軍」であると

現状のままで公式に認定できるのなら、

憲法改正は不要ではないのか?

 

いろいろな回答が可能ですね。

 

まず。

1)憲法改正とは、自衛隊の扱いを変えるためだけに行われるものではない。

憲法は国の基盤をなすもの。

日本の存立と繁栄を確保するうえで明らかにマイナスであり、

かつ内容を変更しないかぎり当該のマイナスが取り除かれないと判断された条文は

国防や安全保障がらみのものでなくとも

改正の対象となるべきです。

よって、「自衛隊の軍隊認定可能=憲法改正不要」とはなりません。

 

つづいて。

2)憲法九条の規定が、自衛隊の行動に制約を与えていることは否定しがたい。

これは自衛隊を「軍隊」を認めるかどうかとは別個の問題です。

「国際紛争を解決する手段としての戦争(武力行使、武力による威嚇を含む)の放棄」と、

「国権発動の手段となりうるような戦力の不保持、および交戦権否認」が謳われている以上、

自衛隊が「わが軍」であったとしても

他国の軍隊と同じように行動できるわけではないのです。

ここでも「自衛隊の軍隊認定可能=憲法改正不要」とはなりません。

かつて吉田茂が、自衛隊を「戦力なき軍隊」と形容したことも想起されるべきでしょう。

 

ただし。

3)現在のシステムを変更しなくとも、物事がうまく機能する(ないし、うまく機能する方向に進む)ことは、保守主義の立場を取るかぎり喜ぶべきことである。

エドマンド・バーク風に言えば、

現在のシステムに弊害があったとしても

全否定になど走らず、

最小限の修正でやってゆく道をさぐるのが保守主義者。

「自衛隊の軍隊認定可能=憲法改正不要」にはならないとしても、

「九条のもとでの自衛隊の軍隊認定可能」は素直に喜ぶべきではないでしょうか?

 

これについては、おなじみ

「新訳 フランス革命の省察」をどうぞ。

 

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しかし「自衛のための実力組織」を

軍隊ではないと言い張るとは

わが国のパラドックスはつくづく根深いものがありますね。

 

ではでは♬(^_^)♬