先週の「新日本経済新聞」では、
「スター・ウォーズ」に登場する重要な概念
THE FORCE の日本語訳について取り上げました。
この言葉、
今では「フォース」とカタカナ表記にするのが
すっかり当たり前になりましたが
かつては理力、原力、力場、霊力などと
いろいろ意訳されていたのです。
で、
こういった意訳(とくに理力)のほうが
THE FORCE という概念の本質を
うまく捉えていた可能性について論じたのですが。
スター・ウォーズ同様、
ちょうど最新作「スペクター」が公開されている
007シリーズにも似たような話があります。
ご存知の通り、
007は主人公ジェームズ・ボンドのコードネーム。
英語では「ダブルオー・セブン」と読みます。
ただし日本では
長らく「ゼロゼロ・セブン」と読まれてきました。
「フォース/理力」の場合と異なり
この場合は「ダブルオー・セブン」のほうが
「ゼロゼロ・セブン」よりも正式と認めるべきでしょう。
もっともシリーズ5作目「007は二度死ぬ」では
これを「ゼロゼロ・セブン」と発音した場面があるそうですが、
それはちょっと脇に置きます。
というのも「007」には
もう一つ、もっと古い日本語読みがあったのです!
すなわち「ゼロゼロ・ナナ」。
映画シリーズとしての007が最初に世界的な人気を博したのは
1960年代はじめのこと。
「ゼロゼロ・セブン」という日本語読みも
これに呼応して生まれたものですが、
イアン・フレミングによる原作小説シリーズは
その前から邦訳されていたんですね。
で、
映画版が流行りだす前に
原作のファンとなった人々は
007を「ゼロゼロ・ナナ」と読んでいたのです。
ちなみにこれらのファン、
「ゼロゼロ・セブン」という読み方に文句をつける。
いわく。
われわれは「ダブルオー・セブン」の
正しい日本語読みとして
「ゼロゼロ・ナナ」を考案したのだ!
しかるにゼロゼロ・セブンとは何事か?!
日本語読みと英語読みをゴチャマゼにしたデタラメではないか。
ジェームズ・ボンドのコードネームは
英語ならダブルオー・セブンであり、
日本語ならゼロゼロ・ナナなのである!!
この主張、
あまり世間には受け入れられなかったようですが
どうしてどうして、一理ある。
これらのファンたちは
日本語と英語、
あるいは日本とイギリスの距離を
しっかりわきまえたうえで
007の世界を深く楽しんでいたと言えるでしょう。
ボンドのコードネームについて
本当はダブルオー・セブンと読むことを承知しつつ
ゼロゼロ・ナナと読んでみせる。
なかなか粋だと思いませんか?
ではでは♬(^_^)♬
8 comments
Guy Fawkes says:
1月 19, 2016
お忙しい中申し訳ありませんが、佐藤先生は歴代のジェームズ・ボンドを演じた俳優では誰を推しますか?
私は世代的にもリブート作として設定が一新されたダニエル・クレイグと、
やはり初代のショーン・コネリーでしょうか。
作品では『ロシアより愛をこめて』『007は二度死ぬ』
『カジノ・ロワイヤル』『スカイフォール』ですかね。
SATOKENJI says:
1月 19, 2016
ショーン・コネリーはやはり別格として、ロジャー・ムーアがけっこう好きですね。
シリーズが一番、ハチャメチャになった時期のボンドですが、
あの荒唐無稽さには独特の味わいがありました。
あとは1990年代前半のブランクを乗り越え、シリーズの再活性化に貢献したピアーズ・ブロスナン。
作品では「ロシアより愛をこめて」「ゴールドフィンガー」「私を愛したスパイ」を挙げます。
Guy Fawkes says:
1月 20, 2016
ロジャー・ムーア時代は脇を固める役者陣の強烈な濃さが印象的ですね。
「死ぬのは奴らだ」で唯一生存?したブードゥーの呪術使いであるサミディ男爵、
「黄金銃を持つ男」こと、昨年逝去されたクリストファー・リー演ずるスカラマンガ、
両方に出演したコメディリリーフのペッパー保安官。
「ムーンレイカー」はスターウォーズ旧三部作が始まった頃のSFブームに乗じたらしいですね。
「オクトパシー」でのモード・アダムス演じる盗賊団の女首領とのボンドのロマンスは
生まれた時代とは隔絶していますが憧れます(笑)
ピアーズ・ブロスナンの凄い所は冷戦後のボンドないしはスパイ映画を復活させた事ですね、
私の同世代は007と聞くと口を揃えて「ゴールデンアイ」と言います。
SATOKENJI says:
1月 20, 2016
「ムーンレイカー」は完全にSFブームあやかりでしょう。
なにせ前作「私を愛したスパイ」のエンド・クレジットをよく見ると、
JAMES BOND WILL RETURN IN FOR YOUR EYES ONLY
(ボンド映画、次作は「ユア・アイズ・オンリー」)
と書いてあるのです。
つまり本来は、「私を愛したスパイ」(シリーズ10作目、1977年)の次に
「ユア・アイズ・オンリー」(12作目、1981年)をやる予定だったのですが、
そこに「ムーンレイカー」(11作目、1979年)が割り込んだわけですね。
Guy Fawkes says:
1月 20, 2016
本当ですね、IMDBのトリビアでも「スターウォーズの興行的成功を受けて…」とあります。
ちなみに「ムーンレイカー」の悪役であるヒューゴ・ドラックスを演じた
フランスの名優、ミシェル・ロンズデールは私の最愛の一冊である
フレデリック・フォーサイスの処女作にして最高傑作である
「ジャッカルの日」の実写映画でエドワード・フォックス演ずる暗殺者、
ジャッカルを追跡するフランス司法警察のルベル警視役でした。
派手なアクションは皆無ですが、味のある良い映画なんですこれが。
お身体も痛む中、長々とお付き合い頂きありがとうございました。
ちょうど一ヶ月後の新著書、楽しみにしております。
たかゆき says:
1月 19, 2016
オー ゼロ れい ♪
オー :アルファベットの第15字
ゼロ :zero(英語)
れい :零 (日本語)
ゼロゼロセブンって まさに
英語読み
じゃあないのかしら??
日本語読みなら、、「れいれい なな」。。。
ちなみに 零式艦上戦闘機(れいしきかんじょうせんとうき)
鬼畜米英はゼロファイターと 呼んだとか、、
https://ja.wikipedia.org/wiki/零式艦上戦闘機
ゼロ戦って 呼び方にも
ある種の 距離感を ぼくは 感じるのだ♪
SATOKENJI says:
1月 19, 2016
「ゼロ戦」の例ではありませんが、ボンド・ファンのみなさん、
「ゼロ」という読みは日本語化されていると判断したのではないでしょうか。
007について、「レイレイ・ナナ」という読みが広まったことはないようです。
たかゆき says:
1月 19, 2016
理解できます♪
「ゼロゼロ ナナ」という響きには
共鳴できる者にしか(ぼくも 含む)
感じ取れない 言霊が
宿っているのだ♪