フランスで発生した

ISIS(イスラム国)による連続テロ事件は、

世界的に大きな衝撃を呼んでいます。

 

テロリストを撲滅せよ! という主張が高まるのはもとより、

難民・移民の受け入れをめぐる問題も

これによっていっそう深刻化するに違いありません。

 

共和党系のアメリカ大統領候補、マイク・ハッカビーさんなど、

ISISが浸透している国からは、 誰一人アメリカに入国させるな!

というスローガンを表明したほど。

 

・・・この問題が厄介なのは、

例によって、正解が存在しないことです。

 

「テロは許されない」というのは、むろん正論。

しかし、ならば具体的にどうするのか。

 

同時多発テロいらいの「テロとの戦争」の経緯が示すとおり、

武力によるテロリスト撲滅は至難。

というか、たいがい事態を悪くしてしまいます。

 

ゆえに「暴力では何も解決しない、報復の連鎖を断ち切れ」というのも正論。

だとしても、テロリストが話し合いに応じると思いますか?

 

そんな中、

メキシコ出身の映画監督、ギレルモ・デル・トーロさんが

11月14日、非常に考えさせられるツイートをしていました。

 

デル・トーロさん、父親が誘拐されたことがあるそうです。

むろん、家族にとっては恐ろしく辛い時期。

そこに警官が二人やってきて、

二種類のオファーをしたというんですね。

 

どんなオファーかと言うと・・・

 

1)5000ドル払ってくれたら、誘拐犯が逮捕されたときに〈面会〉させる。

その際、警察は犯人たちを椅子に縛り付けたうえで、

15分間、席を外す。

そして部屋には、鉛の棒が用意されている。

 

つづくオファーはこれ。

 

2)10000ドル払ってくれたら、検挙の際、 犯人全員を確実に殺す。

さらに殺害の証拠、または記念として、

彼らが死んだ様子を撮影したポラロイド写真集を提供する。

 

デル・トーロさんいわく。

僕たちはオファーを拒否した。

絶対にノーだと言ったんだ。

犯人たちに憎しみを感じてはいたし、

父が誘拐されたのはひどく辛かったけど、

暴力の悪循環に入り込むのはまっぴらだった。

 

幸いなことに、デル・トーロさんの父親は誘拐から72日後、無事に解放されました。

し・か・し。

 

数ヶ月後、デル・トーロさんは

やはり誘拐の被害にあった何組の家族と

レストランで会食しました。

互いに支え合うためです。

 

その席上、何人かの人々が

ふいに長いテーブルの隅に集まりました。

デル・トーロさんが「どうしたんだ?」と聞いたところ、

返事はこうだったとか。

 

ちょっと写真を見ているんだよ。

 

ふたたびデル・トーロさんご本人の言葉を紹介しましょう。

僕は自分の席から動かなかった。

連中が何を見ているのか、確かめる気もしなかった。

誰か、警察にカネを払った者がいたのだろうか?

知りたくもなかったんだ。

 

正論だけが幾つもあって、

正解が一つもない世界では、

こんなことも起きるのです。

ではでは♬(^_^)♬