ご存知のとおり、
イギリスが国民投票によって
EUからの離脱、
いわゆるブレクジットを決定しました。
1990年代ぐらいから
世界各地で強まっていたグローバリズムにたいして
ノーを突きつけたわけです。
グローバリズムがさまざまな弊害を伴うことは
すでに明らかとなっていますので、
その点でブレクジットには
評価すべき点も多い。
しかし一方で、離脱決定によって
世界の市場では6月24日、
215兆円の資産が失われたと報じられます。
さらに離脱派は
イギリスは毎週3億5000万ポンドをEUに払っているが
離脱すればこれを国民保健サービス(NHS)につぎこめる
と主張してきたものの、
イギリス独立党党首のナイジェル・ファラージは
国民投票後のテレビ番組で
確約したわけではないと発言!
ツイッターでは
離脱に賛成票を投じた連中は、これを繰り返し見て反省しろ
という声も出ました。
反グローバリズムだからといって
ブレクジットを手放しで評価することもできないようです。
それはさておき。
離脱実現が確実と報じられた際に、
ファラージ党首は勝利宣言を行いました。
このスピーチが興味深い。
これは本物の人々の勝利だ!
普通の人々の勝利だ!
まっとうな人々の勝利だ!
われわれは多国籍企業と戦った!
巨大銀行と戦った!
大政党とも戦った!
嘘、腐敗、不正とも戦った!
そして今日、
誠実で実直な愛国心が勝利を収めようとしている!
・・・と、なかなかの名調子で煽ったあと、
こう締めるのです。
6月23日を
われらのインデペンデンス・デイ(独立記念日)として
歴史に刻もうではないか!!
これはどう見ても
アメリカのSF映画「インデペンデンス・デイ」(1996年)における
大統領のスピーチとそっくりなのです。
地球を制圧しようとするエイリアンにたいし
人類がアメリカ大統領の指揮のもと、
7月4日(つまりアメリカの独立記念日)を期して総反撃に出るというアレですが、
劇中で大統領は
7月4日を全人類のインデペンデンス・デイにしようではないか!!
と締めました。
しかもファラージ党首、
離脱運動はヨーロッパ全体のためにも行ったとも述べています。
つまり6月23日はヨーロッパ全体のインデペンデンス・デイということに。
英国の反グローバリズムは、
ハリウッド娯楽大作を地で行く形で実践されたのです!
現に離脱派の中には
投票が行われる前から
国民投票の日を「インデペンデンス・デイ」と呼ぶ人々がいたという話。
・・・だとしても。
人類がアメリカ大統領の指揮のもと、一丸となってエイリアンに立ち向かう
というのは、じつはグローバリズムではないでしょうか?
ちなみに「インデペンデンス・デイ」は
今年になって20年ぶりの続編がつくられました。
題して「インデペンデンス・デイ リサージェンス(復活)」。
日本では7月9日公開とのことですが
イギリス公開はなんと
ブレクジットの決まった6月24日。
いささか出来過ぎではないでしょうか?
イギリスの「エコノミスト」紙など
「インデペンデンス・デイ リサージェンス」の映画評を
国民投票が行われた6月23日に掲載したのですが、
記事の冒頭
映画評掲載と国民投票の日が重なったのは偶然にすぎないものの、
せっかくなので、われわれはEU残留を断固支持することを明記しておく
と、わざわざ断り書きをつけたくらいです。
なおエコノミストの映画評、
「インデペンデンス・デイ リサージェンス」について
マンガチックでおバカな作品と割り切れば楽しめる
と言っておりました。
ではでは♬(^_^)♬
6 comments
Guy Fawkes says:
6月 26, 2016
当時はVHS(ビデオテープ)でしたかな?
小学生だった私がレンタルビデオ店でインデペンデンス・デイのパッケージ裏の解説には
「クリントン大統領も絶賛した」との宣伝が非常に印象に残っておりました。
ちなみに中野剛志さんが3年前に横浜のカルチャーセンターで開催した講座の資料では、
ブッシュJr.政権に独善的な軍事行動が強行された一方で、
中国のWTO加盟を筆頭にクリントン政権時代は経済的なグローバリズムが強く推進されたとあります(苦笑)
SATOKENJI says:
6月 26, 2016
あの映画の大ヒットは、1996年のクリントン再選を勢いづけたと言われます。
たろう says:
6月 26, 2016
グローバル化を推進する政治家も反グローバル化の政治家もそれぞれにくっついてる民衆も、数千兆円の金を動かせることが出来るグローバル金融投資家達の手の平の上で踊ろされてるだけなのでしょうか?
福岡ワマツ says:
6月 28, 2016
「では『日本版インデペンデンス・デイ』はいつなのだろう。」
今回の記事を拝見しながら、そんなことを考えました。
この疑問には次のような疑問も含まれると思います。
① 日本においてどのような状況になれば、インデペンデンス・デイといえるのか。
② その日は過去に存在したのか。それとも未来に到来するのか。
③ 「主権回復の日」は「インデペンデンス・デイ」に値するのか。
③については、「値しない」のではないかと思います。
なぜかといえば、「主権回復の日」は”Restoration of Sovereignty Day”と表現されるそうですが、その一方で、”independence”が”freedom from political control by other countries”という意味らしいからです(Oxford Dictionaryより)。
なにより、在日米軍が駐留してますからね。
①については、「外国駐留軍の撤退」なのかなと思います。
そうだとすると、戦後体制離脱派は「在日米軍が撤退を完了する日を、われらのインデペンデンス・デイ(独立記念日)として歴史に刻もうではないか!!」と息巻きそうなものです。
が、しかし、日本の「保守的」な政権は日米同盟に「希望」を見出し、「思いやり予算」を増やしちゃうかもしれませんね。
ご参考までに、下記URLで防衛省HPの「在日米軍駐留経費負担の推移(グラフ)」をご覧頂くと興味深いですよ。う〜む、増えてるような…。
http://www.mod.go.jp/j/approach/zaibeigun/us_keihi/suii_img.pdf
SATOKENJI says:
6月 28, 2016
そのうち「デペンデンス・デイ」(従属記念日)という映画がつくられたりして・・・
福岡ワマツ says:
6月 28, 2016
その映画が、「デペンデンス・デイ」(従属記念日)に至る過程の原動力を「キッチュによる思考停止」として描いたなら、相当シビレると思います。