さて、「インデペンデンス・デイ」の魅力についてですが。

 

ずばり言ってしまえば、この映画のパワーは、

臆面のなさ

にあると思うんですね。

 

エイリアンの地球襲来から撃退までを3日間でまとめてしまう構成といい、

人類が総反攻に出る日を、ちゃっかりアメリカ独立記念日にしたことといい、

荒技ともいうべき設定で、アメリカ大統領を反攻作戦の先頭に立たせたことといい、

その大統領に、「今年から7月4日は、全人類の独立記念日だ!!」とぶち上げさせたことといい、

7月4日の夜明けが、時差を無視して全世界で同時に来ることといい、

 

あんたら、そこまでやるか?!

 

・・・ってなもんでしょう。

 

でも、やる。

この映画はやるんです。

 

バカにするのは簡単です。

しかし「インデペンデンス・デイ」の臆面のなさには、間違いなく迫力がある。

 

おいおい、と思いつつ、しっかり乗せられるわけです。

なぜか。

作り手が信じているからです。

 

「アメリカは世界の先頭に立つ存在であり、かつ世界全体を凝縮した存在である」ということを

 

この信念の強さが、あの国の本質だと思うんですね。

 

ご存知のとおり、アメリカは移民によって作られた人工国家。

「生粋のアメリカ人」なんてのは、煎じ詰めれば先住民、いわゆる「インディアン」しかいないのです。

 

そこに新たな国を作る。

それも宗主国、イギリスを敵に回して。

よりどころとなるものは何だ?

 

自分たちの信念しかないんですよ!!

 

そしてアメリカという国は、移民が集まってくれなければ発展しえなかった。

つまりは自分たちが、

「一介の主権国家であると同時に、それを超えた世界国家である」

ということを信じねば、やってゆけないのです。

 

この信念が、往々にして独善や欺瞞と化すことがあるのは事実です。

しかしアメリカ(人)の信念に立ち向かいたかったら、

それに対抗できるだけの信念をこちらも持たねばならない。

 

そして、その信念を臆面もなく表明して突き進む。

これが必要。

向こうはそうしているんだから。

 

「ほらさ、アメリカ人って単純でバカだからさ〜」

なんて斜に構えて、カッコつけているつもりの連中なんざ、頭から食われるのがオチ。

 

ところがここで、面白いパラドックスが生まれます。

 

「アメリカ人の信念に立ち向かえるだけの強力な信念を持った人間」って、

当のアメリカ人とどう違うのでしょう?

 

これがアメリカという国の、一筋縄ではゆかないところ。

あの国は、自分に歯向かう者を「アメリカ人」に作り替えるのです。

 

このメカニズムについては、『コモン・センス 完全版』のプロローグ、

「星条旗の理想と矛盾」

で詳しく論じました。

 

興味のわいたアナタは、こちらをクリックどうぞ!

 

ちなみに『コモン・センス』、

断固イギリスと戦って独立すべし!!!

とアジりまくった本ですが、

著者トマス・ペインは、じつはイギリス人。

アメリカにやってきて、わずか一年でこれを書いたのです(マジですよ)。

 

ところが『インデペンデンス・デイ』を監督したローランド・エメリッヒも、アメリカ人ではありません。

ドイツ人です。

 

これを知ったうえで観ると、映画のアメリカ万歳ぶりは、ますます興味深くなりますね。

 

とはいえ『インデペンデンス・デイ』、あくまで理屈抜きの娯楽大作です。

難しいこと考えずに、気軽に観るのが一番!

書いているうちに、私もまた観たくなりました。

 

あの大統領の演説が好きでしてねえ・・・

 われわれは黙って滅亡を受け入れたりしないぞ!

 とことん戦ってからでなければ、消えてゆかないぞ!

 今年から7月4日は、

 アメリカのみならず、

 全人類の独立記念日になるんだ!!

 

ついでにクライマックス、「ジョリー・ロジャー」(海賊旗掲揚)と呼ばれる場面も好きです。

敵母船のコンピュータ・システムに、防御機能を麻痺させるウイルスをぶち込むのですが、

そのとき向こうのモニターにはドクロのマークが映り、アゴの骨を上下させて

「わはははは・・・」

と笑うのですよ。

 

なに、エイリアンにドクロのマークの意味が分かるのかって?

 

だから臆面もない映画だって言ってるでしょうに!

ではでは(^_^)v