かのエドマンド・バークは

『フランス革命の省察』において

革命派が軍の統制を取れなくなりつつある危険性を指摘しました。

いわく。

 

国民議会(=革命派)の政策は信じがたいまでに自滅的だ。

事態は悪化の一途をたどるだろう。

 

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フランス革命の省察

 

しかるに『新訳 フランス革命の省察』の帯には、こう書かれています。

この迷走、この混乱!

いまの日本とどれだけ違う?

 

ここで想起されるのが、

南スーダンでのPKOをめぐる自衛隊の日報隠蔽問題。

共同通信は7月19日の午前2時、こんな記事を配信しました。

 

稲田氏、組織的隠蔽を了承 PKO日報、国会で虚偽答弁

南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報を廃棄したとしながら

陸上自衛隊が保管していた問題で、

稲田朋美防衛相が2月に行われた防衛省最高幹部による緊急会議で、

保管の事実を非公表とするとの方針を幹部から伝えられ、

了承していたことが分かった。

複数の政府関係者が18日、明らかにした。

防衛省・自衛隊の組織的隠蔽を容認した形になる。

記事全文はこちら。

 

見出しにもありますが

これが正しければ

防相は国会で嘘の説明をしたことになり

いよいよ事態はまずくなります。

 

ところが。

産経デジタルが7月20日に配信した記事によれば

防衛省幹部の多くは、この情報に否定的なのだとか。

いわく。

 

ある省関係者は報道を受けて稲田氏の会議記録を精査したが、

該当する会議は見当たらなかったという。

自衛隊最高幹部の一人は「(稲田氏は)絶対に承知していない」と否定する。

別の幹部も「稲田氏は一貫して情報の公開を指示しており、隠蔽する理由がない」と語る。

 

ン???

 

すると「防相が隠蔽を容認」というのは

稲田大臣の立場を悪くするための偽情報だった可能性も出てきます。

 

ならば共同通信に情報を提供した

複数の政府関係者とは何者なのでしょう。

産経の記事によれば・・・

 

(防衛)省内からの告発である可能性が高いほか、

稲田氏や黒江氏(事務次官)に不満を持つ陸自幹部が

情報源ではないかとの見方がくすぶる。

防衛省幹部は

「特別防衛監察の結果、陸自が一方的に責任を押し付けられるのではないかと思い、

情報をリークしたのではないか」と疑心を募らせる。

 

(稲田大臣は)防衛省・自衛隊内で求心力を失っており、

格好のスケープゴートになったとの見方もある。

(カッコは引用者)

記事全文はこちら。

 

産経新聞とは立場が正反対のはずの日刊ゲンダイもこう報道。

 

今回の一件、情報の出元は自衛隊の上層部だとみられている。

防衛大臣に就任後、現場をバカにし、

勝手なことをやってきた稲田大臣に対し、自衛隊幹部はカンカンになっている。

怒りを募らせた制服組は、稲田朋美防衛相を辞任に追い込むつもりだ。

 

そこで紹介されている自衛隊関係者の発言はこうです。

 

8月3日の内閣改造で外されるのは確実だから、

放っておいても稲田大臣はいなくなります。

でも『このまま“円満退社”させたくない』と多くの自衛隊幹部が腹の中で思っている。

と同時に、安倍首相に重用されているだけに、

万が一の留任の可能性を潰すために、関係者が内情をリークしたとみられています(。)

記事全文はこちら。

 

産経と違って日刊ゲンダイは、

日報隠蔽をめぐる今回の情報は正しい

ことを前提にしていますが

防衛省、ないし陸上自衛隊が防衛大臣をつぶしたがっている

という点では、両者の見解はきれいに一致する。

 

だが本当のところ、

稲田大臣はどれだけ文句を言えた義理か?

 

日刊ゲンダイが伝える、大臣の振る舞いはこうです。

 

政策についてロクな知識がないのに、

制服組を見下すような態度を取り、いつも高圧的に命令する。

皆、『なんだ、あいつは』『やってられねぇ』と怒りを募らせていました。

(自衛隊関係者のコメント)

 

トドメは、自衛隊員が九州北部の豪雨で救助活動に汗をかく中、

約1時間も防衛省を不在にし、

ルンルン気分で支援者との“ランチミーティング”に行っていた一件。

怒りを通り越して呆れ返った自衛隊員も多かったという。

 

それだけではありません。

さる6月27日、

都議選の応援演説を行った稲田大臣は

自民党候補への投票を呼びかける際、

こう明言しました。

 

しっかりと、その、えー、活躍を、自衛隊ができるというのも、

地元の皆様方、そして都民の皆様方の協力があって、

初めてしっかりと連携があるということが、私は重要だと思っておりますので、

防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いをしたい。

あらためて、動画はこちら。

 

大臣にその自覚があったかどうかはともかく

これは

防衛省や自衛隊は特定候補の当選を要求していい

と認めたにひとしい。

 

しかし誰かが当選すれば、誰かが落選するのが選挙ですから

これは

防衛省や自衛隊は特定候補の落選を要求してもいい

ことになるでしょう。

 

だがここまで来れば

防衛省や自衛隊は、気にくわない大臣をつぶそうとしてもいい

ことになりませんかね?

 

私の関知するかぎり

今回の顛末はまったくの自業自得、

ないし自爆としか言いようのないものなのです。

 

稲田大臣の言動が信じがたいまでに自滅的だから、

事態が(大臣にとって)悪化の一途をたどるだけの話。

 

だ・か・ら、

『右の売国、左の亡国』と言うのですよ!

 

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とはいえ安倍内閣、

いよいよ火だるまでは。

やはり今年の夏は「反安倍炎上の季節」になりそうです。

 

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ではでは♬(^_^)♬