『右の売国、左の亡国』のサブタイトルは
ご存じのとおり
2020年、日本は世界の中心で消滅する。
現状のように
構造改革とグローバル化の名のもと
「日本」の否定を進めてゆけば
遠からずわが国は
国としての主権や国民としてのアイデンティティを喪失、
主観的には「世界の中心」で咲き誇るつもりで
客観的には(事実上)消滅してしまうだろう、
ということです。
最もありえそうなシナリオは
アメリカに飲み込まれる
というものですが
国際情勢の変動次第では
中国に飲み込まれる
ことだって起きるかも知れません。
日本支配で結託した米中に飲み込まれる
という顛末も想定しえます。
そして本が刊行されてからの内外の情勢は
まさに日本消滅への道を敷き詰めはじめた感がある。
朝鮮半島情勢が緊迫したまま膠着する一方、
韓国には北に宥和的といわれる政権が誕生。
片やアメリカのトランプ政権は
あいかわらず国内的にも対外的にもガタついているうえ
中国とロシアの双方にたいして宥和的。
にもかかわらず、わが国の政治は
いかんともしがたくGDPの様相を強めるばかり。
どうなる、ニッポン?!
・・・だからというわけではないのですが
この1日に発売された
財界展望新社の雑誌「ZAITEN」7月号に
私の写真入りインタビュー記事が掲載されました。
「ざいてん」というと
七福神のひとつとして知られる弁財天みたいですが
むろん「財界展望」の略です。
弁財天ともかけてあるのかも知れませんが。
インタビュー記事の題名(編集部がつけたものです)は・・・・
「右の売国、左の亡国」現状では日本消滅は避けられない。
そのものずばりではありませんか。
記事では本の内容を踏まえて
戦後日本の構造的問題を語り、
今後の展望(ないし、その欠如)を示したのですが
自分でもあらためて実感したのは
現在の「右売左亡」的状況は
保守と左翼・リベラルが一緒につくりあげたのだ、ということ。
つまりですな。
戦後の保守というのは、現実的だが筋が通っていない。
アメリカとソ連が冷戦を繰り広げる中、
復興と発展を達成するには親米路線しかないというのは妥当な判断なのですが
その結果、
親米(または対米従属)を前提としてナショナリズムを説くハメに陥っているからです。
逆に左翼・リベラルは、非現実的だが、その枠内では筋が通っている。
平和憲法さえ掲げていれば国の存立と繁栄が守られると構えるのは
間違いなくナンセンスな観念論だとしても
この発想、形式論理的な整合性や一貫性は持っているのです。
自国を打ち負かして占領した国に尻尾を振るのがナショナリズム、
なんて支離滅裂には陥っていませんからね。
と、すると。
保守と左翼・リベラル、それぞれの勢力が
ちょうどいいくらいのバランスで拮抗すると
全体としては
現実的で、しかも筋が通っている
スタンスが取れているように見えるのです!!
これがすなわち、日本に繁栄をもたらした55年体制の本質。
しかしですな。
上記の説明からも明らかなように
これはあくまで
たまたまバランスが絶妙だったのでそうなった
というだけの話。
保守であれ、左翼・リベラルであれ
現実性と、論理的な整合性や一貫性を両立させることに
独力で成功しているわけではないのです。
そして1990年代、
冷戦終結とバブル崩壊をきっかけに、このバランスが崩れだした・・・
何もかも、うまく行かなくなって当然ではありませんか。
ところが保守も、左翼・リベラルも、
あいかわらず全ての問題を相手側のせいにばかりして
自分の抱える矛盾には目を向けようとしない。
だ・か・ら、
『右の売国、左の亡国』と言うのですよ!!
きたるトークライブ
「歴史に筋を通す〜勝手にしやがれ、天下国家!」でも
ここらへんの話がクローズアップされるかも知れませんね。
ではでは♬(^_^)♬
4 comments
poti says:
6月 4, 2017
むしろ、消滅した後の事を真剣に考えるべきなのかもしれませんね。
国破れて山河在り。中国になるにせよ、アメリカになるにせよ、
日本民族が鏖にでもならない限り、この島の上で生き続ける人々はおりますから。
SATOKENJI says:
6月 4, 2017
それが正しい保守の姿勢だと思います。
メイ says:
6月 13, 2017
「日本消滅」という言葉を目にしただけで、心に痛みが走り、悲しみが湧き上がって来る。
ものを考える時には、感情的になってはいけないと思うのに・・。
玉田泰 says:
6月 29, 2017
一般論で語られているためか、読みやすい記事でした。
先生の日頃の論を知らない人にとっては十分、新鮮で衝撃的な内容でしょう。
でも正直、上記まとめ以上の新味はあまりなく、少しがっかりかな?