アレハンドロ・ホドロフスキー監督は1929年、
チリのトコピージャという町で生まれました。
炭鉱の町なのだとか。
しかし彼は、いわゆるラテン系ではありません。
ロシア系のユダヤ人 なのです!
というと、1917年のロシア革命で祖国を追われた、
いわゆる「エミグレ」(亡命者)が連想されますが、
そうではないらしい。
それどころか父親のハイメ・ホドロフスキーは共産主義者。
革命後のロシアの指導者、スターリンを熱烈に信奉しています。
ならば、どうしてチリにいるのか?
映画では説明されていませんが、
ある資料によれば、金(カネではありません。ゴールドのほうです)を求めてやってきたとか。
黄金狂の共産主義者というのもスゴい話ですが、
現実にはうまく行かなかった。
ハイメは一介の雑貨店店主にすぎません。
挫折したハイメの現在の夢は、
チリで独裁的権力を振るっている大統領、
カルロス・イバニェス・デル・カンポ(通称イバニェス)を 暗殺する こと!!
片や、母親のサラ・ホドロフスキーはオペラ歌手志望だったのですが、
これも現実にはうまく行かなかった。
サラは一介の専業主婦です。
一家の写真はこちら!
(C) photos Pascale Montandon-Jodorowsky
(C) “LE SOLEIL FILMS” CHILE・“CAMERA ONE” FRANCE 2013
しかし親孝行というべきか、
ホドロフスキー監督、映画の中で両親の夢を叶えてあげるんですね。
ハイメには大統領暗殺のチャンスをあげる。
映画の中盤、彼は妻子を捨てて、イバニェス大統領を殺す旅に出るのです。
サラには歌うチャンスを。
彼女の台詞はすべて、オペラ調の歌になっているのです!
息子を呼ぶときさえ、
♬アレハンドロ〜
とくるんですよ。
サラ役の女優パメラ・フローレスは、実際にオペラ歌手なのだとか。
ちなみにハイメ役の俳優は、
ホドロフスキーの息子ブロンティス。
自分の子供に、自分の親を演じさせるというのが、メビウスの輪みたいで面白い。
「リアリティのダンス」という題名の意味も、
そろそろ見えてきたのではないでしょうか。
四六時中、踊っている人はいません。
踊るというのは、ある種、非日常的なこと。
ところがホドロフスキー、
映画の中で両親を「ずっと踊らせる」ことにしたのです。
とはいえこのダンス、一筋縄じゃ行きません。
つづきはまた明日!
ではでは♬(^_^)♬