オバマ大統領が

「弱体化させ、最終的に破壊する」と宣言した

イスラム過激派組織、ないし萌芽状態の国家・イスラム国。

 

そのイスラム国には目下、

日本人男性・湯川遙菜さんが拘束されているわけですが。

 

畏友・中野剛志さんより

彼の人生について、すごい記事が出ているぞ!

との教示がありました。

 

読んでみたら、たしかにすごい。

それによると湯川さん、シリアに渡る際

「人生で成功する最後のチャンス」と周囲に語ったそうです。

 

穏やかで親しみやすい人柄とのことですが

これも少年時代にいじめられていた結果とか。

 

いじめの経験から、心を読まれないようにしたり、

寂しく辛くても心を読まれないように明るく振る舞い、

辛さを見せないことが技というか、本心を隠す事が身についてしまった。

 

と、本人がブログに書いているとのこと。

 

高校卒業後、ミリタリーショップを開業したものの、

数年後に倒産。

夜逃げしたあげく、ホームレスとなって

公園で一ヶ月近く過ごしたそうです。

 

2008年には自殺を図り、

自分の局部を切り落とす。

奥さんに止められたそうですが、その奥さんも亡くなったとか。

 

ここで湯川さん、自分の名前を変えます。

「正行」から、現在の「遙菜」に。

自殺に失敗したときは、

今後は女性として生きようと思っていたとのことなので、

女性ふうの名前にしたのでしょう。

 

その後はなんと

川島芳子(1907〜1948)の生まれ変わり

を自称するにいたる。

 

ご存知の方も多いでしょうが、

川島芳子は清朝の第14王女だったものの、

日本人・川島浪速(かわしま・なにわ)の養女となった人物。

中国語名は金璧輝と言います。

 

やがて男装し、満州国の自警団司令官に就任。

満州国の皇帝・溥儀は彼女の縁者にあたりますから、

いろいろな意味でちょうど良かったのでしょう。

「女性の活用」、このころから始まっていたわけですな。

 

「東洋のマタ・ハリ」

「満州のジャンヌ・ダルク」などと呼ばれ、

一種、スター扱いされます。

 

歌やダンスも得意だったそうで、

レコードを発表したこともありますし、

ダンスホールに入ると、踊るのをやめなかったと伝えられます。

ただし華やかな外見とは裏腹に

本人は「自分は政治的に利用されているだけ」と思っていた形跡が強い。

実際、そうだったのでしょう。

 

溥儀の生涯を描いたベルナルド・ベルトルッチの映画

『ラストエンペラー』にも、

彼女をモデルにした(としか思えない)「イースタン・ジュエル」という人物が登場。

 

「東洋の宝石」なる華麗な名前ですが、

満州映画協会理事長・甘粕正彦の愛人のうえ

溥儀の皇后・婉容とはレズの関係という

かなり大胆な描き方をされていました。

実名を出せなかったのも道理。

 

まあベルトルッチは、

退廃した生活を送る特権階級の美女

が大好きな人なので、自分の趣味に合わせて脚色したということでしょう。

 

それはさておき、興味深いのは

川島芳子も17歳で自殺未遂をやっていること。

しかもその直後に髪を切り、男装を始めたとか。

このとき彼女は「女を捨てる」という決意文を書き、

それが新聞に掲載されたそうです。

 

ならば湯川さんのやったことは

川島芳子がやったことをちょうど裏返したことに。

さすがに女装まではしていないようですが

名前を変えて男を捨てたということでしょう。

 

とはいえ湯川さん、

川島芳子がどんな運命をたどったかご存知なのでしょうか。

 

第二次大戦終結後、彼女は「漢奸」(かんかん)、

つまり中国への裏切り者として逮捕・訴追されたあげく

1948年3月25日、銃殺刑に処せられたのです。

 

昨日の記事のタイトルではありませんが

「人生に敗れた女」なんですよ!!

 

妹のようにかわいがっていた李香蘭(山口淑子)にたいして

「僕のようになってはいけない。今の僕を見てみろ。

利用されるだけされて、ゴミのように捨てられる人間がここにいる」

と手紙に書いたとまで言われています。

 

同時に川島芳子は男装していたのですから、これは

「人生に敗れた女」の正体はたいがい男である

という、昨日の記事の結論を裏付けるものでもあるのですが。

 

川島芳子の生まれ変わりを自称していたということは、

湯川さん、

どこか死を覚悟で中東に向かったのかも知れません。

 

ただし川島芳子については

じつは処刑されずに生き延びた

という生存説も根強い。

 

処刑された女性の身体つきや髪の長さが

まったく別人のようだったという話があるのです。

湯川さんも助かるといいのですが。

 

なお湯川さんの人生について、元の記事をご覧になりたい方はこちらをどうぞ。

 

ではでは♬(^_^)♬