『戦後脱却で、日本は「右傾化」して属国化する』

で書いた通り、

1)明らかに無理があるタテマエ

2)〈みんなが共有しているはずだ〉という点を根拠に「崇高にして達成可能な、美しい理想」のごとく絶対化し、

3)そのような姿勢を取るうえで都合の悪い一切の事柄を、汚物のごとく見なして排除したがる態度

というのが、

政治用語としてのキッチュの定義となります。

 

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しかるに明らかに無理のあるタテマエを絶対化している以上、

キッチュな姿勢のもとで行われる政策は

遅かれ早かれ、失敗を運命づけられている。

 

とはいえキッチュな姿勢に従うかぎり、

そのような失敗は、本質的に起こり得ないはずなのです。

 

起きるはずのない失敗が起きてしまう!

キッチュな人間は

これにたいしてどう反応するでしょう?

 

お分かりですね。

失敗したと認めさえしなければ

失敗したことにはならないという態度を取るのですよ。

 

自己正当化をはかるうえで

この態度はじつに便利なもの。

 

なにせ客観的に見てどこまで負けがこんでいようと

ムキになって意地を張り続けていれば

負けたことにはならないのですから

あとはとことん、分からず屋に徹すればよろしい。

 

しかるにお立ち会い。

4月6日の毎日新聞は、次のように報じています。

 

<アベノミクスを成功させる会>消費増税先送り容認論が大勢

 

安倍晋三首相が検討する来年4月の消費増税の先送りを巡り、

自民党の勉強会「アベノミクスを成功させる会」が6日開かれ、

先送りの容認論が大勢を占めた。

ただ、党内では財政再建を重視する立場から

慎重論(=予定通り増税すべきだという立場)も少なくなく、

容認派と慎重派のさや当てが激しくなりそうだ。

(中略)

谷垣禎一幹事長は4日の記者会見で「今重大な事態ということではないと思う」と指摘。

5日の総務会でも党税調幹部らが

「先送りはアベノミクスの失敗を告白しているようなものだ」と異論を唱えた。

(カッコは引用者)

 

記事全文はこちら。

 

先送りはアベノミクスの失敗を告白しているようなものだ!

・・・いいですねえ、この論理。

 

すると何ですか?

増税を先送りしさえしなければ

アベノミクスは成功していると

みんな納得するはずだ、

そういうことですな?

 

失敗したと認めさえしなければ

失敗したことにはならない。

 

客観的に見てどこまで負けがこんでいようと

ムキになって意地を張り続けていれば

負けたことにはならない。

 

絵に描いたようなキッチュではありませんか。

 

しかしここまで来れば

増税を先送りしたところで

アベノミクスは成功していると

みんな納得するはずだ

という、さらなる詭弁が出てくるのは時間の問題。

 

アベノミクスが失敗したせいで先送りするのではない!

世界経済の厳しい状況にかんがみ

国際社会への貢献を果たすべく

苦渋の決断で先送りするのだ!!

とか何とか、

テキトーな理屈をつければいいのですよ。

 

実際、民進党の岡田代表は

与党の党首でもないくせに

すでにそんな趣旨の発言をしています。

 

嘘だろうと思ったアナタはこちらを。

 

そんなわけで、

とりあえず消費税の10%引き上げは延期されるのではないかと思われますが

失敗したと認めさえしなければ

失敗したことにはならないという根本の態度を改めないかぎり

大した意味はないと言っておきましょう。

 

ではでは♬(^_^)♬