昨日の記事
「【要出典】大作アニメ「国の名は」始動!」では
主題歌の作詞をあの東田剛さんが担当、
タイトルは「云云云世」になるとお伝えしました。
「云云云世」は
うんぬんぬんせではなく
でんでんでんせと読むことは
もはや自明でしょう。
しかるに
たもつまもる(←この名前がすでに秀逸)さんからも
「云云云世」の詞が提案されました。
どうぞ。
やっと目を覚ましたかい?
それなのになぜ安倍降ろしやしないんだい?
「遅いよ」と怒る保守
これでも安倍のこと信じてきたんだよ
黒田が異次元緩和してきたんだよ
国の法や規制邪魔だ 穴開けたいよ
内部留保溜め込んで 離したくないよ
浜田岩田ペラ 飯田山本
デフレ加速して何を言えばいい
国の云云云世から僕は
国を壊し始めたよ
その武器一丁を使うことも出来ずに外交したんだよ
国が全全全部無くなって
フィリピンになったって
もう構わない また他から移民入れるさ
むしろ0からまた建国してみようか
アニメ映画「国の名は」には挿入歌として
「売国と亡国のサンバ」
「最終兵器マッキンダーZ(富国と強兵ブギ)」
「堂々めぐりロンド」
なども盛り込まれるそうですが
たもつまもるさんの歌詞も
東田剛バージョンに勝るとも劣らぬ出来と言えるでしょう。
デモ録音を聴いたドゥテルテ大統領が
国が全全全部無くなって
フィリピンになったって
の箇所に唸り、
「このくそったれが、地獄へ落ちろ」
と笑ったという未確認情報も寄せられています。
・・・しかしですな。
ここで注目したいのは
むしろ0からまた建国してみようか
という箇所。
1960年代末から1970年代にかけて
革命志向の極左映画を撮り続けた
ジャン=リュック・ゴダール監督は
1966年の作品
「彼女について私が知っている二、三の事柄」に
こんなナレーションをつけたのです。
私はヒロシマを忘れ、
ベトナムを忘れ、
最低賃金制を忘れ、
住宅危機を忘れ、
インドの飢饉を忘れる。
私はすべてを忘れてしまった。
ただ次のことだけは忘れまい。
すべてが私をゼロに戻そうとしているのであり、
したがってそのゼロからこそ
再出発すべきなのだということだけは。
(朗読はゴダール本人)
賢明なるブログ読者のみなさまには
もはやお分かりでしょう。
「ゼロからの再出発」というのは
左翼的革命思想の典型なのです!
イギリスの科学史家・科学哲学者スティーブン・トゥルミンは
この発想を
「ご破算で願いましては神話」
(THE MYTH OF CLEAN SLATE)と名づけましたが
まさにこれこそ
グレート・リセットだの
オールクリアーだの
抜本的構造改革だのといった主張の原点。
論より証拠、
ゴダールのナレーションは
細かい語句を変えるだけでこうなるのです。
私は敗戦のトラウマを忘れ、
対米従属の現実を忘れ、
デフレ脱却の失敗を忘れ、
TPPでトランプにハシゴを外されたことを忘れ、
中国崩壊論の狼少年ぶりを忘れる。
私はすべてを忘れてしまった。
ただ次のことだけは忘れまい。
すべてが私をゼロに戻そうとしているのであり、
したがってそのゼロからこそ
日本再生すべきなのだということだけは。
・・・いかがです、この思考停止ぶり。
昨今の保守派(の一部)に見られる風潮そのものではありませんか。
これを裏付けるように
東田剛バージョンの「云云云世」には
以下の一節がありました。
君の云云云世から僕は
国を壊し始めたよ
その騒がしい詭弁と痛みが改革なんだよ
そんな革命前夜の僕らを
みんな「保守」と言うんだろ
もう迷わない 君のハートに星条旗
君は僕からニッポンを奪い取ったの
だ・か・ら
『右の売国、左の亡国』と言うのですよ。
なお云云云世的改革の末路については
こちらの本でも論じています。
ではでは♬(^_^)♬
6 comments
たもつまもる says:
2月 27, 2017
不名誉な歌詞を記事にして頂き誠に有難うございます笑
冷戦崩壊とともに生まれた私のような世代としては、
いわゆる親米保守と言われる方々の日米同盟神話論に辟易しておりました。
いつか中野剛志氏が仰っていたことですが、
彼らの右脳と左脳の間にはまだベルリンの壁が挟まっているそうです笑
見たくない現実は壁で塞いでしまい、空虚な理想論はグローバルに日本社会を駆け巡る
というわけですな
右の売国、左の亡国、頭の壁を取り払い彼らに現実を直視させてやりましょう。
それができるの日本に数少ない中道の保守のみであります。
GUY FAWKES says:
2月 27, 2017
>「ゼロからの再出発」というのは左翼的革命思想の典型なのです!
>「ご破算で願いましては神話」(THE MYTH OF CLEAN SLATE)
>私は敗戦のトラウマを忘れ、対米従属の現実を忘れ、デフレ脱却の失敗を忘れ、TPPでトランプにハシゴを外されたことを忘れ、中国崩壊論の狼少年ぶりを忘れる。
「過去を持っていない、記憶を持っていない個人というのがいるでしょうか?
勿論、そんな人間がいるとしたらそれは人格喪失者ということになります。
とすれば過去を否定した国家が骨格、つまり人格を持つことができるのか?
恐らくできないわけですね、その限りにおいては自己喪失になる筈なわけです」
ー浜崎洋介 2016年表現者シンポジウムにて
しかし何度繰り返しても未来を変えられないその様は『君の名は。』というより、まるで原作が10年以上前に刊行され
3年前トム・クルーズ主演でハリウッド映画化もされたライトノベル作品『All You Need Is Kill』ですな。
http://dash.shueisha.co.jp/feature/allyou/
今思うとこの作品で主人公が最後にヒロインに対してとった行動はまるで戦後日本を終わらせたかの様に見えます。
(ご存知でなければすみません)
SATOKENJI says:
2月 27, 2017
何度繰り返しても未来を変えられないのは
公開中の「君と100回目の恋」もそうですよ。
博史 says:
2月 27, 2017
云々を「でんでん」しなければならないことを規定する政令が1月24日の臨時閣議で決定され、即日施行された模様です。仮に「うんぬん」と発音すると粛清されるという罰則付きのため要注意。
せい says:
2月 28, 2017
中野剛志最後の桜討論でも、お二人で仰っておられましたね。グレートリセットの発想は、毛沢東の言った「真っさらな白い紙にこそ一番美しい字が描ける」と同じだと。左も右も、自分の意見や立場は変えずに、みんな保守的ですけれども。
ここで中野さんにもう一度仰って頂きましょう。「お前がリセットしろと。」
玉田泰 says:
3月 10, 2017
2)それにしても「ご破算に願いましては」神話はもはや、保守派にも待望されているのでしょうね。いやそれこそ、保守派が積極的に求めているのかも知れません。まさに翼賛!