ルー・リードの名曲

「ストリート・ハスル」の第一部

「ワルツのマチルダ」では、

同名の女性が

バーでセクシーな若い男を見つけ

自分の部屋に連れ込む様子が描かれます。

 

どうもマチルダ、

しょっちゅう男遊びをしているらしい。

一晩、つきあう報酬は80ドル。

 

リードの歌詞いわく。

 

カウンターに置かれた紙幣を

彼が握りしめる様子を見ながら

彼女はジーンズをはいたまま

熱くなっていた

 

この生々しさがルー・リードなんですよ。

 

マチルダと男は

行きずりの愛を交わし、

翌朝別れるのですが・・・

 

何かが変です。

 

どちらもまったく後悔はなかった

 

とのことですが、

愛を交わす場面で、リードはこう歌っている。

 

男はマチルダを抱き上げて

荒っぽく

この世の外へと連れて行った

 

とかく人から陰口を言われるマチルダだったが

彼にとっては、ただの遊び相手以上のものだった

 

彼はマチルダを優しく抱いたが

彼女はいつまでも喜びに達しないようだった

 

明確な説明はありません。

しかしマチルダは、

この男に殺されたのではないでしょうか?

 

抱かれた、

というか、犯されたのはその後。

だから「いつまでも喜びに達しない」のでは。

 

最後の一行

どちらもまったく後悔はなかった

は、こうなると衝撃的です。

 

殺した男の側には、罪の意識がない。

マチルダは死んでいるのだから、後悔しようがない。

 

そしてリードは、

このすべてがありきたりの出来事であるかのように

素っ気なく歌います。

 

これが素晴らしい。

 

派手でドラマチックな歌い方をするより、

こんなふうにサラッと歌われたほうが、

マチルダの孤独と、痛みと、悲しみがずっと心に沁みるのです。

 

歌が終わると、

女声のスキャットが、

マチルダへのレクイエムのごとく流れる。

 

そのあとで第二部「ストリート・ハスル」に入るのですが・・・

これについてはまた明日。

 

ではでは♬(^_^)♬