「FRONT JAPAN 桜」、いかがでしたか。
共演の銀谷翠さんが精神科医ということもあって、
これまでの回とは違った面白さが出たと思います。
なにせ「(心因性)遁走を続ける戦後日本」のくだりでは
チャンネル桜のスタッフが
今日はスゴい話になりましたね!!
と感嘆していましたので。
ちなみに番組中で紹介した
トランプ暴露本の某愛読者ですが
あれは本当に
北朝鮮の公式ツイッターアカウントが投稿したものです。
DPRK News Service というのですが
北朝鮮外務省のサイトへのリンクまで
ちゃんとプロフィールの下に貼られていますからね。
ついでに投稿された1月8日は
エルヴィス・プレスリーや
デイヴィッド・ボウイの誕生日ですが
じつは金正恩の誕生日でもあります。
プレスリーは「キング」と呼ばれ、
ボウイも「ファシズムを強く信奉している」と発言したことがありますので(※)
この二人と誕生日が同じというのは
なかなか因縁めいた話。
ひょっとして、あの本が誕生日プレゼントだったのかな?
(※)のちに「いやだな、ただのホラさ」と撤回。
それはともかく。
番組では『ロスト・ハイウェイ』と
『スパイダー 少年は蜘蛛にキスをする』
という二本の映画を引き合いに出して
戦後日本の精神病理を論じました。
しかるに移民問題についても
じつに参考になる映画が
1月19日より公開されます。
イギリス・フランスの合作映画
『パディントン2』。
・・・え、何?
クマのパディントンを主人公にしたファミリー向け映画が
本当に移民問題について参考になるのかって?
なるんですよ、これが。
『パディントン2』、
私は昨年末、試写で観ましたが
じつに素敵で楽しい作品です。
いや、最高に面白かった。
というわけで
純粋なエンターテインメントとしても
大いにお勧め。
しかし、この映画には
たんなるエンターテインメントを越えた含みがある。
【注意:この先、多少のネタバレがあります】
ご存じの方も多いでしょうが
パディントンはイギリスの作家マイケル・ボンドが生んだキャラクター。
ロンドンはパディントン駅にいた言葉をしゃべるクマが、
ブラウンさんという夫婦に拾われて
家族の一員となる。
出会いの場所にちなんで「パディントン」と名づけられたクマのまわりでは
つねにいろいろなトラブルが起きるものの
温厚で礼儀正しいパディントンの性格もあって
最後には万事丸く収まる、というのがお定まりです。
しかるにパディントン、もとはペルーの生まれなんですよ。
つまりは移民ならぬ移熊。
で、映画はここをさりげなく強調しているんですね。
たとえばブラウン家の近所に
「カリーさん」という人が住んでいますが、
原作をめぐるウィキペディアの項目では
この人物、こう説明されています。
けちで意地悪。よく人の真似をしたがる。
パディントンを「クマ公」と呼び、一応悪者代表だが、
特に差別しているとか嫌っているとかではないようである。
パディントンが病気のときはお見舞いに来るなど、優しい一面も見せる。
ところが『パディントン2』のプレスシートに記載された
カリーさんの設定はこちら。
ブラウン家の隣人。
会員は自分一人だけの”街を守る会”の会長。
クマは危険な動物だからと
パディントンを嫌っている。
そうです。
映画のカリーさんは差別主義者になっているのです。
「街を守る会」というのも
つまりはクマなど追い出してしまえ、と叫んでいる次第。
クマを「移民」に置きかえれば
隠された意味は明らかではありませんか。
つづいて骨董屋の「グルーバーさん」という人物をめぐる
ウィキペディアの記述はこちら。
ココアと菓子パンをパディントンにおごってくれる友達。
パディントンを「ブラウンのだんな」と呼ぶ。
さてお立ち会い。
グルーバーさんをめぐる、映画プレスシートの記述はこちら!
アンティークショップの店主。
自身も移民だったために、
パディントンの良き理解者で、
何かと親身に相談にのってやる。
そうです。
『パディントン2』には
パディントン=移民、
パディントンの理解者=先輩移民、
パディントンの敵=反移民の差別主義者
という図式が、さりげなく盛り込まれているのです!
温厚で礼儀正しいというパディントンの性格も
こうなると新しい含みを持つ。
つまり、
移民はこんなに善良なんだから
嫌って追い出そうとしたりせずに受け入れてあげましょう
というメッセージになるのです。
さらに!
今回の映画で、パディントンは冤罪により刑務所送りとなるのですが
そこで仲良くなった囚人たちに勧められて
一緒に脱獄します。
ところが仲間の囚人が国外逃亡をめざすのにたいして
パディントンは「冤罪を明らかにしたい」とイギリスに留まる。
ずばり、出ていかないわけです。
そして最後は、
晴れて名誉回復したパディントンにたいして
ブラウン家の近所の人々が
あなたが来てから、この街は明るく楽しくなった
と、感謝のパーティーを開くのですよ!
・・・あらためて書いておきますが
『パディントン2』は、じつに楽しく素敵な映画です。
本当に良く出来ている。
ただしこの作品に
移民受け入れを肯定するメッセージが
盛り込まれているのも間違いありません。
現在のヨーロッパで
移民問題が深刻化しているのを思えば
ここにはいろいろ考えさせられるものがあると言えるでしょう。
しかも外国人の増加は、わが国にとっても、だんだん他人事ではなくなりつつある。
とはいえ長くなったので、
この先は次回としましょう。
それまではこの4冊をどうぞ!
ではでは♬(^_^)♬
最後に、銀谷さんとのツーショットをどうぞ。
2 comments
ネームナヤーム says:
1月 13, 2018
佐藤さん、こんにちは。
昨日のFrontJapan桜、特に「引きこもりは憲法違反?」での話しを伺っていて、なにか「座敷牢」のイメージがふと思い浮かんで来ました。また、年始のキャスター討論での小山和伸先生の祟り思想の着眼点も大変刺激になり、そこから思い浮かんだのは、日本は長い歴史の中でも負の出来事は秘匿する傾向が強かったのではないか?という思いがあります。ですので想定を上回る負の出来事に対してはスピリチュアルなどで無理矢理辻褄を合わせてたのかなぁと… 先日、お正月の映画特番でラストサムライをやってましたが、勝元の台詞で「恥」についての語りがあり、もし日本人が「恥」というものに強い執着心があるとすると、なんと言うか、恥を恥じてしまうという悪循環にも陥りやすいのではないかなと感じました。ですが逆に考えますと、ここまで神経質な民族が歴史に大汚点を残す恥知らずな事をしでかすのかと普通に思いました。以上ですが、今回も刺激になるお話しありがとうございましたm(_ _)mそれでは ´ω` )/
フランク says:
1月 22, 2018
自覚的か無自覚的かは定かでないとはいえ、結果として移民推進プロパガンダとして機能してしまう、という事でしょうか。そう、例えばこちらも自覚的か無自覚的かは定かではないとはいえ、「君の名は。」が結果として地方在住の若者に対する上京プロパガンダとして機能してしまうのと同じように。