リチャード・カーティス監督・脚本の映画

「アバウト・タイム 愛おしい時間について」を観てきました。

 

題名は直訳すれば

「時間について」ですが、

「潮時」という意味にもなります。

 

舞台はイギリス。

主人公ティム・レイクは、

法律を専攻している普通の若者です。

 

しかし彼の一族には秘密がある。

男子は21歳を過ぎると、

過去に戻れるようになるのです!

 

と言っても、戻れるのは自分自身の過去だけですが、

やり直そうと思えばやり直しは自由。

ティムは自分の時間移動能力をどう使うか? という話。

 

これからご覧になる方のために

ストーリーの詳細をバラすことはしません。

 

しかし簡単に要約してしまえば、

これは(本来)取り返しのつかないことに取り返しがつく喜びと、

取り返しがつかないからこそ見出せる幸せについての話なんですね。

 

軽快、かつロマンチックなタッチで

深いテーマを追求した素敵な映画です。

 

ついでに、今の日本のあり方に重ね合わせると、

いろいろ考えさせられる。

 

「失われた20年」なるフレーズが定着していることが示すとおり、

現在のわが国には

「バブル崩壊以後、えんえん時間をムダにしてしまい、そのせいで行き詰まった」

という気分があります。

 

あのときこうしていれば、

政治も経済も、もっと良くなっていたのに・・・

そんな仮定はいろいろ可能でしょう。

 

消費税など、なんと1970年代末に

「1980年から5%で実施」というプランがあったのです。

その通りに導入していたら、

8%や10%への引き上げなど、

あるいは検討せずにすんだかも知れません。

 

私も「アバウト・タイム」を観ていて、

本当にこうやって過去をやり直せたらいいな・・・と思いました。

しかし、先にも書いたように

映画の真のメッセージは、

「人生には、取り返しがつかないからこそ見出せる幸せがある」

というものなんですね。

 

戦後日本についても、

取り返しのつかないことは多々あると思います。

「再生」をいくら謳ったところで

戻ってこないものは戻ってこないのです。

 

でも、だからこそ見出せる幸せもある。

今の時代を生きてゆくうえで、

この発想は重要ではないでしょうか。

 

戦後の抱える問題を直視したうえで

なお戦後を「愛おしい時間」と呼べるようになったら、

素晴らしいとは思いませんか?

 

ではでは♬(^_^)♬