昨日の記事

「なぜ平成日本が衰退したかを考える(with 中野剛志、施光恒、柴山桂太)」

で提起した

日本人はいつから疲れたのか?

というテーマについて

半ライス大盛さんからコメントがありました。

どうぞ。

 

確かに、最近疲れを感じます。

労働観の相違なのでしょうか?

勤勉は美徳なり

とは一昔前の事で、最近は労働は悪い事のような、働き方改革?

そういう風潮を感じます。

頭で理屈で理解はしますが、心がついてゆかない。

そこに疲労感を感じるんじゃないでしょうか?

24時間働けますか? なんて時代は労働時間長かったけど

疲労はしてなかったような・・・

 

疲れを感じるかどうかは

個人差もあるでしょうし、

年齢も当然、影響してきます。

 

たとえば少子高齢化が進めば

疲れやすい年代の人々の比率が高まるため、

社会全体に「疲れた」感が強まってもおかしくないでしょう。

 

いつまでたってもデフレから脱却できないとか

どんなに改革をやっても物事が良くならないといった

堂々めぐり的状況が続いても

「疲れた」感は強まると思います。

すべては徒労にすぎない、ということになりますので。

 

関連して注目したいのが

半ライス大盛さんのコメントに出てきた

「24時間、働けますか」。

 

これは栄養ドリンク「リゲイン」

2007年に発表したCMコピーですが

バブル期の1988年〜1992年にかけて大ヒットしたコピー

「24時間、戦えますか」をリバイバルさせたものです。

 

しかるにリゲインが

1992年と2007年のほぼ中間にあたる

1999年に使ったコピーはこれ。

 

その疲れにリゲイン。

あるいは

たまった疲れに。

 

ついでに2008年のリーマンショックを経て

ブラック企業が社会問題化した2014年になるとこうです。

 

3,4時間、戦えますか?

 

(×_×)(>_<) そこまで落ちるか (>_<)(×_×)

関連記事はこちら。

 

リゲインのCMの変遷から見るかぎり

日本人は1990年代初頭までは元気が良かったが

1990年代末になると疲れはじめ、

2000年代後半、一時的に盛り返したものの

2010年代、いよいよ本格的に疲れたことに。

 

しかしですな。

チオビタドリンクは1990年代初頭、すでにこんなCMを流しているのですよ。

(※)動画の紹介文によれば1990年。以下同じ。

 

暗いうちから起き出して

不平不満を口にせず

働いて、働いて

夢と希望を大切に

働いて、働いて

やっとここまで来たけれど

働くだけが人生か?

お疲れさまのニッポンに

愛情一本、チオビタドリンク。

 

画面に映し出されるのは

でっかい荷物を載せた大八車を引いて

坂道を上ってゆく中年男性と

大八車を後ろから押している中年女性を描いたアニメです。

動画はこちら(7分57秒より)。

 

のみならず。

 

その少し前(1988年)に放映されたCMでは

二段ベッドの下で寝ている小学生ぐらいの女の子が

上で寝ている姉(やはり小学生ぐらい)にこうささやく。

 

お姉ちゃん、

お父さんね、

いつも仕事って疲れた、疲れたって言っているでしょう。

かわいそうね。

そんな会社、明日辞めちゃえばいいのにね。

お姉ちゃん、そう思わない?

(先の動画の6分46秒目より)

 

このCMの別バージョンでは

姉妹の母まで、チオビタドリンクをこっそり飲んでいたことになっています。

 

さらに「お疲れさまのニッポンに」の直前に入っていたCM(1989年)はこちら。

30代ぐらいの女性が

薬局に来て、おずおずと言うんですね。

 

あの〜、すみません。

愛情を下さい。

ないんですか?

じゃあ、いいです。他を探します。

(7分45秒目より)

 

出て行こうとする女性の姿にかぶせて

「愛情一本、チオビタドリンク」という

ナレーションが入ります。

 

こちらのCMの変遷から見るかぎり

日本人は1980年代後半、

つまり昭和の終わりごろから

疲れ始めていたと言わねばなりません。

 

昨日のブログで紹介した

奥山和由さんの発言も

こちらの線に近いでしょう。

 

1993年はじめの時点で

日本人が疲れている感じがすると語ったのですから。

 

しかしこうなると、奇妙なことになってくる。

1990年前後、

日本人は一方で「24時間、戦えますか」と意気込みつつ

他方では「愛情を下さい。ないんですか?」とか

「働くだけが人生か? お疲れさまのニッポンに」と

息切れしていたようなのです。

 

活気と疲弊がこんなふうに同居するとは

一体どういうことなのか?

 

例によって、簡単に答えが出る問いではありません。

ただし1990年前後

わが国に活気と疲弊の同居が見られたとすれば

今後、いよいよ疲弊の色を濃くしてゆくであろうわが国で

突如として異様な活力が噴出しないとも限らないのでは。

 

もっともそれが

国を良い方向に導くかどうかは

まったく別の話ですが・・・

 

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ではでは♬(^_^)♬