『平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路』

おかげさまで快調な滑り出しです!

 

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Amazonでは発売日、9月15日の朝から

日米安全保障部門で売れ筋ランキング1位。

昨日、16日には、ほしい物ランキングでも1位になりました。

 

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同じAmazonの外交・国際関係部門でも

トップ10にしばしばランクイン。

これを書いている時点(17日18:00)では7位です。

ありがとうございます!

 

「激論! サンデーCROSS」でも紹介していただきました。ケヴィン・メアさんも読むとのこと。

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チャンネル桜「FRONT JAPAN桜」では

第一章の内容を抜粋して紹介しましたが、

こんなコメントまでいただきました。

 

佐藤先生は日本一のCriticかもしれませんね。

論理構築力のレベルが高すぎて

私みたいな凡人にもとても分かりやすいです。

ジョークも上手いし。

 

sayaさんもかわいい。

このコンビ好きです。

 

「平和主義は貧困への道」買わなきゃ。

爽快な末路?

なんで「爽快」なんだろ。(中略)

あんまり本を読まない人間なのですが、応援する意味でも読んでみます。

 元のコメントはこちら。

 

別のコメントでは、「サクラ最良コンビ」との声も!

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みなさん、ありがとうございます!!

 

さて。

9月12日、こんな記事が出ていました。

 

自民 石破氏が近未来短編小説掲載 「イシバ内閣」の未来

 

自民党の石破茂元幹事長(61)は12日、

自身の党総裁選の特設サイトに自らの公約が実現した場合の

近未来を描いた短編小説

「柔らかい日本 あるいはイシバ内閣にワタシ達が夢想する未来」を掲載した。

 

石破氏は登場しないが、

石破氏の公約が実現された場合の社会像と

一致していることが分かるようになっている。

作者は架空の人物「瀬崎亮子」だが、

石破派の赤沢亮正、平将明両衆院議員を中心に作成した。

元の記事はこちら。

 

しかるに私の興味を引いたのが

この小説の主人公が子大生のシングルマザーだということ。

何を隠そう、シングルマザーは

『平和主義は貧困への道』でも非常に重要な意味を持つ概念なのです!!

 

ひょっとして、このお姉さんも・・・

表4美女

 

これはもう、読んでみるしかないだろう!

 

記事にもあるとおり、

「柔らかい日本」は、石破さんの総裁選特設サイトにアクセスすれば

PDFを簡単にダウンロードできます。

ご覧になりたい方こちら。

 

全25ページですが、

うち6ページはイラストなので

すぐに読める程度の分量。

(※)1ページ目の前にもイラストがあるので、イラスト点数は全7点。

 

とはいえ、作者の「瀬崎亮子」さんには悪いのですが

「柔らかい日本」と来ただけで

(ちなみにURLにも「novel_soft_japan」とあります)

不吉な予感がしたと言わねばなりません。

 

そもそも novel とは長編小説のことなので

英語の使い方がみごとに間違っているのですが

(短編小説のことは short story と言うのです)

それはまあ、脇に置きましょう。

真の問題はこちら。

 

ありていに言って、

今の日本は相当に負けが込んでいるというか、

良くて停滞、悪ければ衰退の状態が続いている。

もっと端的に言えば・・・

 

「落ちるかどうかじゃない、どこまで落ちるかなんだ」(※)個人の感想です。

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「イシバ内閣にワタシ達が夢想する未来」と謳ったからには

この小説は当然、

わが国が没落の運命を脱却することを前提にしているわけですが・・・

 

脱却のキーワードが「柔らかい」なのか?

そもそも、国が「柔らかい」とはどういうことなのか?

 

ついでに言えば、

「私達」でも「私たち」でも「わたしたち」でもなく

「ワタシ達」という妙に中途半端な表記が

使われているのも気になるところ。

 

さあ、小説の内容やいかに?!

 

舞台となるのは(明記されてはいませんが)今からだいたい20年後、

つまり2040年前後の日本。

主人公のシングルマザーは「中山」という二十歳の女子大生です。

ちなみに子供の名は悠希(ゆうき。男児か女児かは不明)で、二歳。

 

女子大生でシングルマザー!!

生活に追われて風俗バイト、

果ては貧困まっしぐらという感じですが

「ワタシ達が夢想する未来」ではそうはならない。

ならば、どうなるか。

 

中山嬢、母親、および祖父母(父方か母方かは不明)とともに

さる地方都市に住んでいる。

人口減少でさびれているだろうという感じですが

そうもならない。

 

なんでも中山嬢が小さいころ、地方への移住ブームが起きたんだと。

で、「テーマパーク(!)みたいに特色のある都市」が全国に生まれて、

地方創生というやつが成功したらしい。

東京では専業主婦だった中山嬢のママも

ネイルサロンを開き、店を三つ持つほど繁盛しているとか。

 

交通インフラ、および地方の都市インフラを

猛烈な勢いで整備しないかぎり

(つまり超弩級の積極財政に打って出ないかぎり!

そんなことはありえないだろうし、

20年やそこらで人口減少に歯止めがかかるはずもない。

出産年齢にあたる女性の数そのものが減少しているためです。

 

要するに2040年代の日本で

地方都市がそこまで繁栄するとは信じがたいのですが、

まあ、いいでしょう。

「夢想」と銘打ってあるんだから。

 

ネイルサロンを経営する母親と、

東京で働いているという父親のおかげで、

中山嬢はシングルマザーでも

カフェでちょっとアルバイトするくらいで

あとは学業(ホテルの仕事をしたいそうな)に打ち込める。

 

「人を好きになるのはむずかしい」ということなのか、

悠希の父親となった男と結婚する気はないらしい。

 

ついでに2040年代の日本は

なぜか知りませんが

高齢化にともなう医療や介護の問題もすべて解決され、

人々は80代になっても元気で働いているんだと。

きっと認知症も根絶されたんだろうな、うん。

 

で、それらシニアの人々が地域ぐるみで子育てを支援してくれるから

シングルマザーで学生でも何ら困らないんだと。

 

早い話、中山嬢は

1980年代的な繁栄が

SF的ハイテクのもとで甦ったかのごとき

バラ色のお花畑的世界で、

生活の心配など何もすることなく

希望にあふれた幸せな日々を送っているのであります。

 

笑うな! 笑うな! 作者みずから、夢想だって言っているじゃないか!!

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まあ何というか、

1960年代〜1970年代にかけてよく刊行され、

1980年代、集英社コバルト文庫の人気に支えられて大きく盛り上がった

中学・高校生向けジュブナイルSFの世界をきれいになぞったうえで、

昨今の社会問題を申し訳程度に盛り込んだ程度の代物

としか評しようがありません。

(※)「瀬崎亮子」さんの正体と報じられた赤沢亮正・平将明両議員は、

前者が1960年生まれ、後者が1967年生まれと、

ちょうどジュブナイルSFに親しんだ世代に属します。

 

元ネタがかくも古い以上、

石破茂さんが目下掲げている政策との関連性も

まったく表面的なものとしか思えないのですが

「夢想」ですからよしとしましょう。

注目したい点は別にあります。

 

つまり「柔らかい日本」なるものが

かりに実現可能だとして

本当に望ましいかどうか。

 

というのも、中山嬢は

「悠希の父親(つまり一緒に子供をつくった男)」について

何かしてほしいとは思っていない

と明言するのです。

年に一、二回くらい、三人で出かける程度の接触しか保っていないんだと。

 

それどころか、こうくる。

悠希と過ごす多くの時間の中で、

悠希は父親が一緒に住んでいなくとも寂しいとは思っていないのが分かる(。)

 

あのさ、中山サン。

一緒に子供をつくるところまで深入りした男にたいして

何かしてほしいとは思わないこと自体、

寂しいことだって分からないか?

 

ついでに「悠希と過ごす多くの時間」と言っていますが、

物語の中で、このシングルマザーはほぼ全編、悠希を他人に預けっぱなし。

でなければ大学に出席したり、バイトに出たりできないもんねえ。

で、何が「多くの時間」なの?

 

そりゃ悠希ちゃんも、父親が一緒に住んでいなくとも寂しいとは思わんだろうさ。

一緒に住んでいる母親とだって、たいして多くの時間を過ごしちゃいないんだから。

ついでに祖母(つまり中山の母)はネイルサロン経営で忙しいはず。

 

のみならず。

中山の父(つまり悠希の祖父)は東京で働いているので、

月に一度か二度、4〜5日やってくるぐらい。

 

父親がいないのを寂しく思う以前のレベルだね、これは。

悠希ちゃんが一番接触しているのは家族の誰でもなく、

保育所のスタッフと、子育てを支援する地域の高齢者(※)なんだから。

(※)これは無料ボランティアではなく、パートタイムの仕事らしい。

 

そして二十歳の未熟さというべきか、

中山嬢はこれに問題をまったく感じていない。

 

ハッキリ言ってやろうじゃないですか。

「柔らかい日本」で描かれているのは

人と人が完全にカネでしかつながらなくなった、寒々とした社会ですよ。

中山嬢、ないし「瀬崎亮子」さんが

それを「自由」だと思いこんでいるだけの話。

 

そろそろ、この画像行こうか!!

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とはいえ、いかにお花畑的ファンタジーに突っ走ろうと、

現実から逃げ切ることはできない。

 

瀬崎亮子さん自身も、おそらく気づいていないであろう

興味深いポイントを指摘しておきましょう。

 

「柔らかい日本」の世界では

東京の人口の半分ぐらいは外国人ということになっています。

中山嬢の住んでいる地方都市にも

中国のお客様がたくさん来るのだとか。

 

となると、2040年代の日本は外国人がたくさん住んでいるのでしょう。

 

だがお立ち会い。

悠希の父親となった男について、

作者の瀬崎さんは名前を出さない。

それどころか、「日本人である」とも明記しておりません。

これは何を意味するのでしょう。

 

・・・「柔らかい日本」って、

日本人が自由の幻想のもと消滅してゆく世界なんじゃないのか?!

 

余談ながら中山嬢、

難しい英気の読み書きは苦手だが

日常会話ぐらいは普通にできるそうな。

しかるに言葉を話せるが、読んだり書いたりできない状態は「文盲」と呼ばれます。

彼女は自分が文盲レベルの英語力を持っていることを自慢しているのです。

 

おあとがよろしいようで・・・

 

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