水曜日です。

「新日本経済新聞」、私の記事の配信日。

いつも通り、9:00ぐらいからご覧になれるでしょう。

 

今週のテーマは「発送電分離という責任放棄」

 

安保法制をめぐる騒動、

通称〈墓穴リレー〉が展開されている陰で

とんでもないことが起こりました。

 

電力の発電部門と送電部門を別会社化する

「発送電分離」

別名「アンバンドリング」

2020年より実施するという

改正電気事業法が成立したのです。

 

これについて、ある新聞はこう報道。

 

大手電力会社の送配電部門を

発電部門から切り離す「発送電分離」を

平成32年4月に実施するための

改正電気事業法が17日、参院本会議で可決、成立した。

電気料金の引き下げ

サービスの多様化につなげる

電力システム改革の総仕上げと位置づけられている。

 

電力小売りは28年4月に全面自由化することが決まっている。

今回の法改正では大手電力が保有する送配電網を

新規事業者も公平に利用できるようにする。

事業者間の競争を促し、料金引き下げやサービスの向上に結びつくと期待される。

 

もとの記事をご覧になりたい方はこちら。

 

・・・なるほど、なるほど。

良い話のようではありませんか。

 

ところがですな。

アンバンドリングについては、上記の記事では触れられていない

いくつかの事実が存在します。

列挙しましょう。

 

1)日本でアンバンドリングを行うべしという主張は

1990年代後半から主張されてきたが、

エネルギー政策通の元参議院議員・加納時男さん(※)によれば、

その背後にはアメリカのエネルギー資本や金融資本があった。

 

(※)1990年代半ばに東京電力の副社長だった方です。

 

2)アメリカ通商代表部は、2000年と2001年の規制改革要望書で

日本にたいしてアンバンドリングを強く求めた。

 

3)1996年にアンバンドリングを行ったカリフォルニア州では、

2000年に電力危機が発生、輪番停電に追い込まれた。

そして関係者の誰一人として、これについての責任を認めようとはしなかった。

 

4)アンバンドリングを行えば、たしかに当初、電気料金は下がるが

いったん値下げした後、値上げとなった例もある。

それどころかアメリカでも、アンバンドリングを行った州は半数以下。

しかもやってみて、やめた州まで存在する!

 

5)日本でアンバンドリングが行われるのは、これが初めてではなく、

1941年から1951年にかけても試みられた

結果は加納さんによれば「惨めな失敗」だった。

 

現在のわが国では

これが

電気料金の引き下げやサービスの多様化

をもたらす

望ましい改革と見なされるらしい。

これをパラドックスと呼ばずして何と呼ぶ。

 

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みなさん、

〈電力システム改革の総仕上げ〉

などというフレーズを

断じて真に受けてはなりません。

 

メルマガではこの点をさらに論じます。

ぜひ、ご覧ください。

 

ではでは♬(^_^)♬