2013年に出した

『僕たちは戦後史を知らない』で、

私は

この国は今なお「敗戦直後」を生きている

と指摘しました。

 

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なぜか?

戦後日本は

本来ならば敗戦直後に処理しなければならなかった

国のあり方をめぐる方向性の確立を

ずるずる先送りしたまま

今までやってきてしまったからです。

 

だからこそ

『戦後脱却で、日本は「右傾化」して属国化する』という

悲劇的にして喜劇的な事態が生じているのですよ。

 

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占領は属国化の究極形態ですから

これは

戦後脱却で、日本はいよいよ「敗戦直後」へ回帰する

と言い替えることもできるでしょう。

 

その兆候はすでにしっかり表れています。

 

たとえば占領初期、

墨塗り教科書というものがありました。

 

1945年9月20日、

文部省(現・文部科学省)の出した

「終戦ニ伴フ教科用図書取扱方ニ関スル件」

という通達によって始められたもので

要は占領軍の方針に合わない箇所を

墨で黒く塗りつぶしたというもの。

 

墨塗りとなった箇所を削除した

新しい暫定教科書が出来上がったのは

早いものでも1946年2月下旬だったと言われます。

 

サンプルをご覧になりたい方はこちらを。

 

しかるにお立ち会い!

2016年の日本でも、こういうことが起きているのです。

 

TPP交渉資料、全て黒塗りで公開 内容分からず 自民

環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と

関連法案の衆院特別委員会での審議をめぐり、

自民党は5日、民進党が求めていた政府の交渉資料を、

特別委の理事懇談会に提出した。

ただ、全て黒塗りされ、内容は分からない状態だった。

 

民進は、情報開示がないと十分な審議ができないとして、

甘利明・前TPP相とフロマン米通商代表部代表の会談記録の提出を要求。

自民は5日、首相官邸への報告用に論点をまとめた資料を提出したが、

全て黒塗りされ、

「TPPブルネイ交渉会合 平成25年9月」などというタイトルだけが上から貼り付けられていた。

 

記事原文はこちら。提出された資料の画像もあります。 

 

黒塗りのTPP交渉資料、

墨塗り教科書とみごとにそっくりではありませんか。

 

民進党の玉木雄一郎議員も、

ツイートでこう述べました。

 

政府からTPPの資料(一部)がやっと出てきたが、真っ黒け。

これでは有意義な審議ができない

やはり交渉に直接あたった甘利前大臣に国会に出てきていただくしかない。(後略)

 

自民党の佐藤勉国会対策委員長によれば

 公開しないという国と国との約束は絶対に逸脱できない

ためにこうなったそうですが、

だったらなぜ、資料提出自体を拒絶しないのか?

 

提出には応じておいて

中身がコレというのは

民進党、さらには国会審議をナメていると言われても仕方ありません。

 

たしかに民進党、ナメられても仕方ない政党だとは思いますが、

それとこれとは話が別。

 

ついでに「国と国との約束」とは

要するに「アメリカとの合意」のこと。

 

政府はTPP条文の日本語訳だって

なかなか公表しなかったものの、

アメリカの意向に合わないと見るや

何でもかんでも黒く塗りつぶした点で

今回のTPP資料、

まさに平成の墨塗り教科書と言えるでしょう。

 

だから言ったでしょうに、

戦後脱却で、日本はいよいよ「敗戦直後」に回帰するって!

敗戦から71年、占領はまだ終わっていないのです。

 

とはいえこの話の最大のジョークは

当のアメリカでは

今やすべての大統領候補が

TPP反対に回っていること。

 

さしずめ、

破れかかった太鼓を

太鼓持ちが必死に守ろうとしているの図、ですな。

 

ではでは♬(^_^)♬