「激論! サンデーCROSS」、

いかがでしたか。

 

(↓)収録後のスタジオにて。田母神元空幕長とは、じつは昨日初めてお会いしました。

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編成の都合により

放送時間が通常より30分短かったものの

討論セクションの時間は

45分が40分弱になったぐらいで

あまり変わっていません。

 

そのおかげもあって

充実した内容になったと思います。

 

今後も折に触れ、出演の機会があると思われますので

そこのところ、よろしく!

 

むろん次のメディア出演は

3月7日(水)の「おはよう寺ちゃん 活動中」です。

 

(↓)スタジオの窓からは朝の都心が見えて、とても気持ちよいのですよ。

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さて。

 

3月1日、

安倍総理はいわゆる「働き方改革」をめぐって

裁量労働制の拡大を法案から切り離すことを決めました。

今国会での成立を断念した形です。

関連記事はこちら。

 

裁量労働制とは

実際に労働した時間とは別に

「これだけの時間、労働したと見なす」という取り決めを

労使間で行い、

それに基づいて賃金計算を行うもの。

 

「企画業務型」と「専門業務型」の二種類がありますが、

これを導入できる職種については

けっこう厳しい制限があります。

 

で、このうち企画業務型の裁量労働制を適用できる職種に

課題解決型提案営業

裁量的にPDCAを回す業務を追加、

あわせて労働者の健康確保措置を取るというのが

今回の拡大の趣旨です。

厚生労働省の資料はこちら(6ページに出てきます)。

 

課題解決型提案営業とは

取引先企業のニーズを聴取し、社内で新商品開発の企画立案を行い、

当該ニーズに応じた 商品やサービスを開発の上、販売する業務

のようなものを指し、

裁量的にPDCAを回す業務とは

全社レベルの品質管理の取組計画を企画立案するとともに、

当該計画に基づく調達や監査 の改善を行い、

各工場に展開するとともに、その過程で示された意見等をみて、

さらなる改善 の取組計画を企画立案する業務

のようなものを指すのだとか(厚労省資料より)。

 

ちなみにPDCAとは

PLAN(計画)

DO (実行)

CHECK(評価)

ACT(改善案の計画・実行)

を繰り返すことで、業務を継続的に改善すること。

PDCAサイクルとも呼ぶそうです。

 

単純に考えれば

働く側にとって、裁量労働制はプラスにもマイナスにもなりえます。

実際にどれだけ時間がかかろうと、

あらかじめ取り決めた労働時間(みなし労働時間)分だけ賃金が来るのですから

あとは働く側の能率次第、という話になるでしょう。

 

しかし、実際にはどうも話が違う気配が濃厚。

というのも、

今国会での裁量労働制拡大断念について、

こんな報道がなされているのです。

 

今国会最大の目玉法案で後退を余儀なくされたことは、痛手だ。

自民党内からは「働き方改革のバランスが崩れた」などと

安倍首相の判断を批判する声も上がっている。

というのは、法案は、

労働者側が求めている罰則付きの長時間労働の規制などと

経営者側が求めている裁量労働制の拡大を、

いわば抱き合わせてバランスを取っていたからだ。

経営者側は早速、反発している。

もとの記事はこちら。

 

たしかに日本商工会議所、経団連、経済同友会のトップは

「非常に残念だ」(日本商工会議所・三村明夫会頭)

「期待していただけに残念に思う」(経団連・榊原定征会長)

「今回の事態は極めて遺憾だ」(経済同友会・小林喜光代表幹事)と、

そろって失望を表明しています。

関連記事はこちら。

 

ン?

 

財界サイドがここまでがっかりしているところを見ると

裁量労働制拡大、

うわべはさておき、本当はもっぱら経営者側にとって都合が良いものではないのか。

 

罰則付きの長時間労働規制の導入と

抱き合わせでバランスを取るべく提唱されている、というくらいですからね。

 

日商の三村会頭は

企業が労働者をどんどん働かせるために導入することはないと思う。

残業代をケチるために裁量労働制を考えている経営者は

ゼロとは言わないが、非常に少ないんじゃないか。

とも発言していますが、

これなど解釈次第では、ホンネの告白とも受け取れる。

 

企業が労働者をどんどん働かせるために導入することはないと思う

とした前半と

残業代をケチるために裁量労働制を考えている経営者はゼロとは言わない

とする後半は

「非常に少ないんじゃないか」という最後の但し書きがなければ

論理的に矛盾しているのですぞ。

 

実際、裁量労働制をめぐるここしばらくの騒ぎは、

要するにこの制度の拡大は

人件費をケチりつつ労働者をどんどん働かせるためのものであるということを

無理に隠そうとした結果のもののように見えます。

 

発端となったのは1月29日、

総理が衆院予算委員会で

厚労省の調査を引き合いに出しつつ、

「平均的な方で比べれば、

(裁量労働制で働く人のほうが)一般労働者よりも短いというデータもある」

と答弁したこと。

 

ところがこのデータなるもの、

一般労働者には「一ヶ月で最長」の残業時間をたずねつつ

裁量労働制の労働者には、たんに一日の労働時間をたずねた結果のもの。

ンなもの、単純比較なんてできないでしょうに。

関連記事はこちら。

 

東洋経済オンラインの記事では

専門家は「よく考えれば、そんな話はありえないということがすぐわかる」と苦笑する

と書かれているくらいです。

元の記事はこちら。

 

つまり厚労省は、

よく考えればありえないとすぐ分かるデータについて、そうと判断できない

ということになる。

 

ならば可能性は2つに1つ。

1)厚労省はきわめて愚かである。

2)厚労省は「裁量労働制で労働時間は短くなる」という印象操作を狙った。

のどちらかです。

 

「数字はうそをつかないが、うそつきは数字を使う」というやつですな。

 

これだけで十分まずいのですが

さらにまずいのがこれ。

2月14日に答弁を撤回したあと、

総理は2月20日、

(データは)当日の朝に上がってくるので、

正しいかどうかを確認することはあり得ない。

役所から上がってきた資料はある程度、信頼して答えざるを得ない。

と弁明してしまいます。

総理弁明の関連記事はこちら。

 

すでに見たとおり、

少なくとも今回の件に関するかぎり、

厚労省はアホか嘘つきのどちらかで確定しているわけですが

自分にはそれをチェックする余裕がないと公言したのです!

 

となれば、全データを洗い直すしかないじゃないですか!!

 

かくして話は泥沼化します。

1週間に25時間30分残業したはずの人の

1ヶ月の残業時間が10時間だったり、

1日に12時間45分残業したはずの人の

1週間の残業時間が4時間30分だったりと、

お笑いデータがあれこれ登場。

 

さらには2月14日の段階で

「ない」と説明されていた元の調査票まで

2月20日に出てきちゃったりするんですな。

関連記事はこちら。

 

これについては

不適切データは全体のごく一部

という擁護論もあるようですが

ハッキリ言いましょう。

ンなことは問題じゃない。

 

真に不適切なのは

アホか嘘つきのどちらかでなければ上げてこないような結論を

平然と上げてきた厚労省なのです。

データの大部分が適切だったとして

それが何を意味するんですかね?

 

当のデータを処理する人々が

不適切な知性を持っているんですからね。

 

W(^_^)W\(^O^)/裁量労働制は政府のジョーク、あっソレ!\(^O^)/W(^_^)W

 

いや、総理も粘りましたよ。

2月20日の時点では

データを撤回すると言ったのではなく、(そのデータを踏まえた)答弁を撤回した

と認知的不協和スレスレの発言。

関連記事はこちら。

 

2月22日には

全データを再精査すると表明しましたが

裁量労働制拡大を

今国会で実現させる方針は変えませんでした。

関連記事はこちら。

 

しかし2月28日になると

実態把握をしない限り、政府全体として前に進めない

と後退。

加藤勝信厚労相も

今あるデータが使えるということにはなりえない

と、事実上の敗北宣言を出します。

関連記事はこちら。

 

となれば、新しいデータがそろうまで

裁量労働制拡大が進むはずはない。

翌日、今国会での成立を断念したのも

必然のなりゆきでしょう。

 

・・・とはいえ昨年の閣僚失言ドミノや

都議選での歴史的惨敗もそうでしたが、

安倍内閣は「一強」の誉れ高いわりに

ちょっとしたことでガタガタと来るんですよね。

 

今度の件も下手をすれば

自民党総裁3選や憲法改正実現に向けた政局運営にも影響しかねない

と言われるのですぞ。

 

どうしてこうもズルズルと、事態の泥沼化が起きるのか。

これで野党が積極財政によるデフレ脱却

新自由主義やグローバリズムの抜本的見直しを掲げたら

案外あっさり、政権交代なんてことになるかも知れませんよ・・・

 

(↓)ガタが来るのか、安倍内閣?! というわけで、この4冊をどうぞ。 

『対論 「炎上」日本のメカニズム』帯付き書影

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フランス革命の省察

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ではでは♬(^_^)♬