今日から11月。
早いもので、2017年もあと二ヶ月であります。
ちなみに今週は
文化の日、11月3日(金)に
「若者と政治」というテーマで
あるBSテレビ番組に出演します。
BSですから
チャンネル桜ではありませんよ、念のため。
詳細については
放送日が近づいた段階で
あらためて告知しますが
いわゆる「若者の保守化・右傾化」が
やはりポイントの一つになりそうです。
ここで言う「保守化・右傾化」とは
10代・20代の間に
自民党を支持する傾向が高い現象を指す言葉。
現在の自民党は
急進主義的改革政党といっても過言ではありませんから
同党への支持が高まっていることを
「保守化・右傾化」と呼ぶのが適切かは
少なからず疑問の余地があります。
(↓)だから、帯に書いたでしょうに。「いまの日本とどれだけ違う?」って・・・
だとしても、
この点はとりあえず脇に置きましょう。
今回の選挙をめぐるデータを見ると、
昨今の若者の政治意識について
自民党を支持する傾向が高い
という形で単純にまとめるのが適切かどうかが、
まず問われるからです。
たとえば日本経済新聞が10月22日に発表した出口調査。
10代の有権者の支持政党と、
有権者全体の支持政党を比較した円グラフがあります。
これによると、
10代の自民支持率は39.9%。
グラフ化されていませんが、
20代は40.6%とのことです。
有権者全体の自民支持率は36%ですから
たしかに4%前後高い。
しかしですな。
もっと目立っている数字があるのですよ。
つまり立憲民主党の支持率、
ないしその低さ。
有権者全体の立憲支持率は14%。
しかるに10代の支持率は7%なのです。
20代も10%以下だったとのこと。
いいかえれば、4〜7%低い。
となると若者は
自民党を支持しているというより
立憲民主党を支持していないと言った方が正しいのかも知れません。
保守化・右傾化しているのではなく
「反リベラル化」しているのではないか、という話。
ならば、実際に自民党に投票した者の比率はどうか。
時事通信の出口調査を見ると
比例で自民党に投票した10代有権者の比率は46.1%。
同じく立憲民主党に投票した者の比率は12.7%です。
NHKの出口調査でも
自民党に投票した10代有権者は47%、
立憲に投票した10代有権者は13%と、
ほとんど同じ結果が出ました。
しかるにNHK調査をもとに
有権者全体について、
自民党に投票した者の比率を計算すると、約37%になります。
立憲民主党に投票した者の比率は、約19.4%。
政党支持率は自民が42%、立憲が8%ですから、
やはり風は立憲のほうに吹いていたことになりますが、それはともかく。
この場合は
「若者は反リベラル化しているのではなく、保守化・右傾化している」ことになり、
先の結論が逆転します。
けれども
支持政党をたずねたときは「反リベラル」が目立ち、
投票先をたずねたときは「保守化・右傾化」が目立つ
のであれば、
それはつまり
支持政党が決まっている(=政治的関心の高い)若者はリベラルを支持しない傾向が強く、
支持政党が決まっていない(=政治的関心の薄い)若者は保守を支持する傾向が強い
ことを意味するのではないでしょうか?
ひとくちに自民党支持と言っても
政治に積極的な関心を持つ若者は自民党を消極的に支持し、
政治に消極的な関心しか持たない若者は自民党を積極的に支持する
というわけです。
例によってねじれまくっていますが
いったいこれは何を意味するのか。
ここで考慮せねばならないのは
現在の若者(30歳以下)は
低迷・衰退をはじめたあとの日本しか知らないこと。
消費税導入は28年前、
バブル崩壊は27年前、
55年体制の終焉は24年前、
デフレ不況の始まりは20年前ですからね。
そして「右の売国、左の亡国」的状況や
「炎上政治」ばかり見せられてきた。
さあ、この経緯から見えてくるものは何か?
ご期待下さい。
そうそう、11月はトークライブもありますからね!
総選挙もこんな結果に終わったことだし、もう来るしかないだろう!!
ではでは♬(^_^)♬
4 comments
GUY FAWKES says:
11月 1, 2017
「若者と政治」ですか…まぁ投票先だけで思想を決めつけるだけの複雑で巧妙(笑)な技量をお持ちの方々からすれば
私と同世代の方々の投票をそう見極められるのも無理もありませんね(棒読み)
こうした結果だけで、事あるごとに左の方からは「若者のネトウヨ化!極右安倍政権に組するレーベンスボルンの落とし子だ!(詩的表現)」と忌み子扱いされ、剰え自民党に投票していても右の方からは「消費増税と市場競争を否定し、日本の繁栄を築き上げた俺様達が誘っている飲み会を断り、たばこも嗜まない、自助努力でモーレツ社員になれない去勢された腰抜けゆとり世代!」と罵られる…おっと、自分語りが過ぎました。
>となると若者は自民党を支持しているというより立憲民主党を支持していないと言った方が正しいのかも知れません。保守化・右傾化しているのではなく「反リベラル化」しているのではないか、という話。
>ひとくちに自民党支持と言っても政治に積極的な関心を持つ若者は自民党を消極的に支持し、政治に消極的な関心しか持たない若者は自民党を積極的に支持するというわけです。
>例によってねじれまくっていますがいったいこれは何を意味するのか。ここで考慮せねばならないのは現在の若者(30歳以下)は低迷・衰退をはじめたあとの日本しか知らないこと。消費税導入は28年前、バブル崩壊は27年前、55年体制の終焉は24年前、デフレ不況の始まりは20年前ですからね。
>そして「右の売国、左の亡国」的状況や「炎上政治」ばかり見せられてきた。
まず核心的なのは「反リベラル」という点です、「保守支持」ではない。
世代間格差に代表される様に今や現実の若年層(だけではありませんが)の困窮具合を鑑みればどう考えてもリベラル的政策が求められるのです。
ところが、肝心のそれらを司る政党が受け皿になっていないのは何故か?もう『右の売国、左の亡国』をお読みになった皆々様方にはおわかりですよね。
所謂・保守層と同じ様に主体性が皆無の為に、7年前の菅内閣の様に結局はやる事が売国+亡国の合わせ技になってしまい、
「ああ、じゃあ自民党の方がマシだな」と政治的関心が高い若年層はどんなに急進主義的改革が嫌でも消極的支持で自民党に、
関心の薄い若年層はそもそも自民党以外の経験ある政権政党を知らないからそこにしか投票しない。
先般の総選挙であった「自民党支持だが安倍政権は不支持」という世論調査は若年層の抱えるディレンマを如実に示している好例でしょう。
「保守層の推進する新自由主義はうんざりだ、でもリベラル諸政党は自分達が宣う事を実現できた碌な試しがないよね」という。
はっきり申し上げて『保守』とはなんなのかと考えると、私はいくら「自分はそんな大人とは違う」といくら宣っても、
またその人個人の思想や経緯がどんなものであれ、「これこそが諸悪の根源だ!」というご意見に賛同することはできません。
新自由主義にも共産主義にも否定的ですが、それらがどんな代物であれ脈々と続いてきた歴史的経緯の中で生まれ出ずった存在。
どんなに意識して否定しようが自分の中にもそれらの片鱗が潜んでいるかもしれないと考えない、
自分達の秩序と一緒に灰燼に帰しかねない様な真似はどう見ても「急進主義」でしかない。
3年前の年末に次世代の党が大敗した結果を見ても、それが理解できない様であれば戦後脱却はもちろんのこと、
『保守』を再興する機会は永遠にやってきません。
恐るるべきは某放送局の某社長とは申し上げませんが、所謂「反米保守」的な傾向の方こそこの陥穽に嵌りやすいと思っています。
「ユダヤ人差別を論じたものが殆ど全て駄目なのは、その筆者が自分だけはそんなものとは無縁だと心の中で決めてかかるからである」−ジョージ・オーウェル
とまぁ長々と書いてしまいましたが、栄えある文化の日に佐藤先生がより深く秀逸なご推察を述べてくださるでしょう。
煌々と炎上する文字通り火の海でオータムサーフィンする姿を心待ちにしております!
マゼラン聖人二代目 says:
11月 1, 2017
>「反リベラル」
ある種の保守派は「あれはリベラルではない、左翼だ」と言いたがる傾向がありますが。
それはともかく、「国会も可能な限り開かない」「所信表明演説もやらない」「代表質問も許さない」「質問時間を議席構成に比例させる」(ついでに言えば「国難突破」とか言いながら半島問題を巡る審議すらやらない」)、
こんな出鱈目を敢えてする政治勢力がお気にいりらしく、そもそも「自由主義」とか「議会制民主主義」なるものからしてわずらわしいのが本音、という意味で、「反左翼」云々以前に、やはり「反リベラル」という言いかたでいいと思う。
豆腐メンタル says:
11月 1, 2017
やはり若者の既存社会に対する批判は本来的かつ健康的なのではないでしょうか。
立場や利害に束縛されることのない結果に見えます。
中野先生の政治的マトリクスだと”右下”ですね。
現日本は正にこの”右下”が抜け落ちています。
ここに至る組み合わせは4種類。
「国民主義&保守」
「国民主義&反リベラル」
「反エスタブリッシュメント&保守」
「反エスタブリッシュメント&反リベラル」
※既存社会への批判という意味で、グローバリズムをエスタブリッシュメントと読み替えています
捻れのため一筋縄ではいかない日本ですが、既得層優位の社会に対する批判となっていると思われます。
世界各地で勃興しつつある反グローバリズムまたは反エスタブリッシュメントの日本の萌芽だと良い。
欲を言えば、もっと反骨心がいるような?
玉田泰 says:
11月 3, 2017
「反リベラル化」・・・リベラルの正体は近代個人主義だと思います。
グローバリズムの正体もまた、経済における個人主義だと思います。
その閉塞感は、個人主義が内包する虚無感から来るのだと思います。
もう、勝手にそう決め付けます(笑)。
福田恆存先生は「強烈な個人主義(ストイシズム)」と仰っています。
思えば、今回の選挙で、小池氏が凋落したのも「強烈な個人主義」を打ち出してから。
個人主義と全体主義とを含み、且つそれを超える考え方を、若者は求めているのでは?
それを僕は、仮に保守と呼びますが。