「FRONT JAPAN 桜」でも触れましたが
憲法9条の1項と2項はそのままにして
「実力組織としての自衛隊を持つ」旨の条文を追加するという形の
9条改憲案にはいろいろ問題があります。
1)「戦力の不保持」を謳った2項の規定が維持される以上、
自衛隊は「戦力なき実力組織」という
今よりさらにワケワカな存在となる。
2)自衛隊違憲論に終止符を打つための改正などというが
条文をこんなデタラメな形でいじったところで
違憲論者が納得するはずはなく、
かえって活気づく可能性もある。
3)憲法に「自衛隊」という組織名を明記してしまったら
あらためて憲法改正を行わないことには
自衛隊を国軍にすることができなくなる。
4)同様、「自衛隊」を明記する条文をつけたすのだから
この改憲案が国民投票によって否決されたら最後、
自衛隊違憲論にお墨付きを与えたにひとしい結果となる。
ちなみに同じ条文追加であっても
「国軍」の保有を明記するのであれば、
かりに国民投票で否決されても
「自衛隊」違憲論にはつながりません。
もっとも「軍」を持ちながら戦力を持たないというのは
いよいよもってナンセンスになりますがね。
で、こんなものが戦後脱却の切り札なわけ?!
W(^_^)W\(^O^)/憲法改正も宇宙のジョーク、あっソレ\(^O^)/W(^_^)W
というわけで、おなじみ鉄板印籠画像をどうぞ。
・・・とはいえ、
今回の9条改憲案にも
まことに遺憾ながら、一理なくはない。
自衛隊をちゃんとした「国軍」に昇格させるのは
百年早いのではないかと思われるふしがあるからです。
日報隠蔽もそうですが
ここで取り上げたいのは
さる4月16日、
統合幕僚監部に勤務する某3等空佐が
ジョギング中にたまたま出くわした民進党(当時)の小西洋之参院議員に
あれこれ暴言を浴びせた一件。
(※)5月7日、「国民民主党」への改編に伴って離党。
本記事執筆時点では、新たな所属政党は不明です。
この件について多くのメディアは
問題の3等空佐が小西議員に
「国民の敵」と言ったかどうかにばかりこだわる傾向が強い。
ちなみにこれをめぐっては
小西議員が「言った」と主張する一方、
3等空佐は「言っていない」と否定しています。
なるほど、現職の幹部自衛官が国会議員にたいし
「国民の敵」と言ったとすれば
これは由々しき問題。
軍隊は政府の命令によってのみ動くべきものであるにもかかわらず
そのような統制が取れなくなっていることを暗示するからです。
国会は国権の最高機関なんですからね。
そしてエドマンド・バークが断言するとおり
軍が暴走しかねないというのは
国家的危機の中でも最大級のもの。
シャレにならない話なのです。
し・か・し。
「国民の敵」とさえ言っていなければ
問題がない、ということにはならない。
財務省の某前次官ではありませんが
公表されたやりとりを見るかぎり
この3等空佐の問題も
どうしようもなく幼いことにあるのです。
くだんのやりとりについては
防衛省が発表したバージョンと
小西議員の記憶を元にしたバージョンの二つがあり
細部がいろいろ違うのですが、
3等空佐の幼稚さに関するかぎり、
どちらを見ても揺らぎません。
具体的に行きましょう。
3等空佐と出くわしたとき
小西議員は会釈しているんですよ。
だから文句をつけるにしても
紳士的につければ良いわけです。
ところが3等空佐はどう出たか?
本人の供述こちら。
小西議員から会釈された際、
私はあいさつを返すのもどうかと思ったし、
最初に見たとき、一言思いを述べたいという気持ちが高まりました。
あいさつを返したくない気持ちもあり、
無視をするのもどうかと思って、
思わず「国のために働け」と聞こえるように、大きい声で言ってしまいました。
(防衛省バージョンより。以下同じ)
指摘されるべきは
空佐が自分の感情をまったく整理できていないこと。
「あいさつを返したくない」気持ちと
「一言思いを述べたい」気持ちは
論理的に矛盾します。
これに折り合いをつけられないものだから
いきなり怒鳴るハメになるんですよ。
早い話がヒステリー。
この空佐、
ふだんから小西議員の言動に反感を持っていたとのことですが
相手が目の前に現れただけで
ここまで我を忘れるようでは
ハッキリ言って話にならない。
「先にカッとなったほうが負け」は喧嘩の鉄則でしょうが。
はたせるかな、
小西議員は冷静に返答する。
空佐自身、
この種の反論になれているように感じました
と述べているくらいです。
さあ、空佐はどう出たか?
どうぞ。
「俺は自衛官だ。あなたがやっていることは、日本の国益を損なうことじゃないか。
(中略)東大まで出て、こんな活動しかできないなんてばかなのか」
とむきになってしまい、言い返してしまいました。
「東大まで出て」というところに
何やら学歴コンプレックスがにじんでいますが(この空佐は防衛大卒)、
これは脇に置きましょう。
・・・言っては何ですが
冷静な相手にたいしてムキになってしまったところで
このやりとり、空佐の完敗なんですよ。
ンな体たらくだから
小西議員が防衛省人事局に通報したとたん腰砕けになって
こんなことを言いだす。
あなたは国民を代表する議員でしょ。
私なんかよりも、何倍もの力を持っていて、なんだってできるのに、
なんで一国民が訴えていることを聞いてくれないんだ。
一転、泣き落としになったわけです。
だいたい、「俺は自衛官だ」とタンカを切った後で
「一国民」とは何事か。
統幕の恥さらしと笑われても、抗弁できた義理ではありません。
で、さらにこう言ったんですと。
国会議員だったら、
一国民が言っていることをちゃんと聞くぐらい、いいじゃないですか。
本当にそういう行為
(人の話を聞かない、すぐ通報する、すぐ警察を呼ぶという男らしくない行為)が気持ち悪い
被害者意識にアグラをかいて居直る始末。
最後の一文など、9条信奉の左翼も真っ青のメソメソぶりじゃないですか。
これが防衛大を出た幹部自衛官なのですぞ!!
「男らしくないのが気持ち悪い」って、モロに女の発想じゃないか、おい。
はたせるかな、
この空佐はやってきた警官に謝り通し。
小西議員にたいしても、
考えの違いはあるかもしれませんが、
日々日本を良くしようとがんばっている政治活動を
冒涜するようなことを言ってしまい、大変申し訳ありませんでした
と謝罪したそうです。
無条件降伏だねえ、どう見ても。
さらには
自分はまだ未熟だな、ちゃんと社会人としてやっていかなきゃいけないな
という意味で
勉強になりました
とまで言ったとか。
小西議員バージョンでは、
ここで居合わせた警官たちから失笑がもれたそうですが
納得のゆく話と言わねばなりません。
で、最後は小西議員に握手してもらって別れたんですと!!
・・・ガキが大人にからんだあげく、
あっさりいなされて恥をかいた。
そうとしか形容しようがありません。
これが統合幕僚監部に勤める幹部自衛官ですぞ。
自分の感情をまるで制御できず、
行動に戦略性がまるでない。
だから事態がまずくなってくると総崩れになり、
厳しく叱られた子供のごとくペコペコする。
幹部がこの体たらくでは
自衛隊に国防なんか任せられませんよ。
しょうもない作戦しか立てられないに決まっているじゃないですか。
栄誉ある「国軍」の名を冠するなど百年早い!
憲法改正の顛末がどうなろうと、あんたらはしょせん「自衛隊」だ!!
・・・その意味では今回の改憲案も
あれはあれでいいのかな?
(↓)この空佐のようにならないためにも、読むべき本はこちら!
ではでは♬(^_^)♬
12 comments
拓三 says:
5月 8, 2018
日本には「名が体を表す」と言葉もある訳で…(涙)
ところで北の問題の話でホシュのお人が仰っている事ですが
「北が核を放棄しなければ米国は軍事行動に移るだろう」ってありえるの ? 私は多少なりとも過去の事例を踏まえて物事考えますが核を放棄した事例と核保有国同士の戦の事例があれば教えて頂きたいのですが ? 根拠は ? もし無ければただの願望 ? 願望にしては洒落にならないのでは ? 日本国民の命を軽ろん視しすぎでないかい ? ホシュて何 ?
右は頭にお花が咲き乱れ、
左はお花畑で蝶々を追いかけ、
どうすれば…
右の売国、左の亡国、ooの自滅…
拓三 says:
5月 8, 2018
佐藤氏の改憲案は大賛成 !!!
仰る通りで御座います。
tanza says:
5月 8, 2018
「いつまでも有ると思うな、親と在日米軍」
現行憲法は日米安全保障条約と一体のもの。
実質的主権なき国家の憲法論議から目覚めることが先決。
GUY FAWKES says:
5月 8, 2018
>「先にカッとなったほうが負け」は喧嘩の鉄則でしょうが。
>冷静な相手にたいしてムキになってしまったところでこのやりとり、空佐の完敗なんですよ。
どんなに憤懣やる方なかろうが、キレちまったらそれで終わりなんです。
「これだから自衛隊は恐ろしい、軍靴の音が聞こえてくるゾ!」と反省平和を謳う市民様方にお墨付きを与えてしまいましたなぁ…
回りくどいアプローチで恐縮ですが、件の空佐殿はフランス革命を最たるものとして大陸欧州で巻き起こった
啓蒙思想界での「理性への盲信」を批判する保守主義とは程遠い場所におられるとしかお見受けできません。
だって、その結果が狂気だろうが理性を遵守せんとする存在と感情を制御できないで本音だけおっ広げる本能ぶち撒けマンでは
ドッグファイト以前にエンストして地面にゴッツンコですよ。
>本当にそういう行為(人の話を聞かない、すぐ通報する、すぐ警察を呼ぶという男らしくない行為)が気持ち悪い
私は男ですがこういうセリフはご都合主義大好きなフェミニストや「血を流す覚悟&絶望が足りない!」系ナショナリストだけが
醜く宣うものであって自衛官(それも少佐…陸軍なら大隊、中隊長。海軍なら相当規模軍艦の副長を務められる階級!)が
口に出すものではありません。
大体にして「男らしさ」なんて自ら言わぬが花、オマケに「気持ち悪い」ってなんですかそりゃ。
国益をめぐる冷徹な戦略の次元に快いも不快も何もあって堪りますか!
…尤も、これだけを引き合いにして話すのも針小棒大とは思いますが。
ジョギング中を飲み屋さんと同じ感覚で考えられてはねぇ…
GUY FAWKES says:
5月 8, 2018
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180508-00000009-jij-m_est
イスラエル、「靴のデザート」で物議=安倍首相との夕食会で提供
なお、主体性も言語感覚も理性と本能を上手に扱う度量もない国家はこうして尊ばれ()ます。
ネタニヤフ首相「大昔はおたくの外交官が同胞を少しばかし助けてくれてありがとうな、今は見る影もないけど」
豆腐メンタル says:
5月 9, 2018
https://www.j-cast.com/2018/05/08328026.html?p=all
「甘ったれるな若者!年寄りはモーレツに働いた」 高須院長、ツイート炎上も猛反論
なおなお、ミクロとマクロの話を混同して”連続性を分断”する羽目になる愛国セレブ年長者も尊ばれ()ますよ。
外交と違って国内のこういうのは悪意があるわけじゃないのだろうけど、だからこそどうにもできないのですよね。
GUY FAWKES says:
5月 9, 2018
>「甘えが許されるのは自力で立てない幼児と老人のみ。次世代を担う若者が甘えてどうする!」「国民は餓死寸前だったんだぞ。ここまで立ち直らせたのは我々。老人を敬え」
いやぁ、流石は高須センセー。国民国家を存続させるのは美容整形の様な自由競争ですなぁ(棒)
若僧共は借金してでも苦労して御国に報いなきゃいけませんね。
>「このままでは将来近隣諸国の狼に駆逐されます。僕は若者に目覚めてほしいのです」
そうそうその通り…え?実質賃金はダダ下がりで可処分所得は雀の涙だって?
これだから戦後日本の若いヤツらは!もっと根性のある移民労働者を近隣諸国から
ジャンジャン受け入れるしかない!拒否する輩は獅子身中の虫なのだ!
高須先生ならびに中高年愛国者の皆様!これからもずっと結果的産物である
「ゼツボーが足りない」若者達を「自信を持って叱り飛ばし」てくださいませ!
あー、猿芝居するのって疲れます。
今朝録音した『おはよう寺ちゃん』でも聴きながら西部舞でも踊ります。
momo says:
5月 11, 2018
さすが、若者の貧困を餌にしてブクブクしているご老体は言う事が違いますわ。
若者よ、弱者から搾取する俺のようになれ!というマッチョイズムでしょうか。
優れた先祖から与えられた豊かな時代を過ごした甘やかされたお坊ちゃん方はゲーム感覚で人間を弄ぶのがお好きなようで。
豆腐メンタル says:
5月 11, 2018
彼の発言に現れているのは紛れもなくマッチョイズムでしょう。
愛国で装飾したマッチョなんて。。誰かさんみたいでタチが悪いですね笑。
彼の搾取具合や悪人度合いを知らないので彼自身でなく彼の発言内容を批判するにとどまりますが、今回の発言は成熟とは反対の押し付けがましく不勉強で浅薄なもの。
彼もやはりバリバリの百年早い戦後日本人セレブでしたね。
特に、国の運営には不向きな方です。
momo says:
5月 11, 2018
デフレによる実質賃金の低下は、老人の若者に対する搾取という意味で言っています。彼は無知ゆえに搾取している事実を知らないのでしょうけど。
しかし知らずのうちに搾取していて、そのお陰で個人的に豊かになって、そのせいで搾取した人々に対して横柄な態度を取るようでは、私のような搾取される側の輩に少々罵られてもいいんじゃないかな。
過去の日本人から与えられ、未来の日本人から搾取する。こんな人が愛国者なんてね。
いや、愛している国は日本じゃないのか。
福岡ワマツ says:
5月 9, 2018
彼のような人物でも少佐になれる!
日本スゴイ(笑)
夢みたいな国ですね。
shun says:
5月 10, 2018
申し訳ないんですが
日本人の違憲論争とやら、最高にアホくさいですね。
良くない言い方ですが、率直にそういう印象を抱いてしまいます。
軍事力を持たない、何より戦う勇気を持てないのなら
拉致問題も解決は出来ないし、核問題に関する発言権も犬の遠吠えレベルでしか持てないと
日本人は認識した方がいいのではないでしょうか。