改革を推進したがる人々が

問題点を指摘されたとき

しばしば使う返答に

うまく行かなかったら、また変えればいい

とか

うまく行かなかったら、元に戻せばいい

というのがあります。

 

しかし1776年、

トマス・ペインは『コモン・センス』でこう喝破しました。

 

諸君は時間を過去に戻せるか?

どんな娼婦もかつては純潔な乙女だったからといって、

娼婦を乙女に変えることができるか?

 

本書167ページより。

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世の中には

いったん変えてしまったら

元に戻すことは不可能か、

でなくとも非常に難しいこと

厳然として存在するのであります。

 

ついでにその場合、

物事をさらに変えることで

事態の収拾を図ろうとするのは

いっそう混乱を深める結果に終わりやすい。

 

前回記事のお姉さまの言葉にならえば

アウフヘーベンしてインテグレイトするつもりで

タコフヘーベンしてインタコレイトする

というところ。

 

「さあ、これを読んで骨と脳を発達させるのよ!」(※)お姉さまの発言です。

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だからこそ保守主義は

改革を進めるにあたっては十分慎重であるべし

と説くのであります。

 

事実、近代保守主義の祖エドマンド・バークを生んだ

かのイギリスすら、

目下、娼婦を乙女に戻そうとして泥沼に陥りつつある模様。

どうぞ。

 

英国:英閣議で承認 EU離脱合意案

(毎日新聞、15日配信)

 

イギリス政府は14日、

EUからの離脱の条件を定めた協定の合意案を

臨時閣議で承認しました。

 

テリーザ・メイ首相いわく。

国益にかなう決定で、英国連邦全体にとって最も利益となる。

合意案か、合意無しの離脱か、離脱しないかだ。

 

EUのミシェル・バルニエ首席交渉官いわく。

秩序ある離脱に向けて極めて重要な一歩になった。

元の記事こちら。

 

ただしBBCによれば、

閣議に参加した閣僚29人のうち

3分の1(※)は反対したとのこと。

それをメイ首相が押し切ったらしい。

(※)BLOGOSの記事によれば11人。

 

のみならず。

閣議決定の翌日、

当の離脱交渉を

ドミニク・ラーブEU離脱大臣

メイ首相の対応を不満として辞任!!

 

ラーブ大臣、

良心に照らして、提案された合意の条件を支持することはできない

とツイートしたそうな。

ンなの、ありか?!?

 関連記事こちら。

 

さらにマクベイ雇用年金大臣および

閣外大臣2人も辞任。

 

いったん閣僚になったら最後、

何があろうが椅子にしがみつく人物ばかり

極東亡国、いや某国からすると

政治家たるもの、それくらいの信念がなければ

という感もあるものの

ふつうに考えれば、これはやっぱり総崩れ。

 

♬もはやイギリスも宇宙のジョーク、あっソレ

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ブルームバーグいわく。

首相にとって深刻な打撃となり、

政権を維持するのも困難になるかもしれない。

通貨ポンドは急落した。

 今やメイ首相自身とその離脱プランの行く末は

極めて不確実になった。

 

閣議決定されたとはいえ

この合意案、議会で承認されなければならない。

それも早急に。

イギリスのEU離脱は2019年3月29日なのです。

 

しかるにラーブ前大臣、

BBCのインタビューで

離脱合意案は議会を通過しないだろうと発言!

 

野党ばかりか、

与党保守党内部からも造反議員が出るのは確実と見られるそうです。

それどころか大臣を辞任した以上

今やラーブ氏だって反対票を投じるかも知れない。

 

「落ちるかどうかじゃない、どこまで落ちるかだ」(※)個人の感想です。

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ならば、

EU離脱案の何がそんなにもめているのか?!

 

毎日新聞によると

今回の合意案には

1)イギリスに住むEU市民や、EUに住むイギリス人の権利保障

2)2020年末までを「移行期間」として、人や物の移動の自由を保障すること

3)EUへの「手切れ金」390億ポンドの支払い

などが記されてます。

 

しかし最大の問題はこちら。

アイルランド島の国境問題をどうするか。

 

同島の大部分はアイルランド共和国が占めていますが

北東部の北アイルランドはイギリスの一部。

そしてアイルランド共和国はEUに残るのです。

 

つまり2019年3月29日以後、

アイルランドと北アイルランドの国境は

イギリスとEUの国境となる。

 

片やメイ首相は2017年、

ブレクジットによって

イギリスをEUの単一市場、

およびEUの関税同盟から離脱させると表明。

 

でなければ経済活動について

EUのルールに従い続けることになりますので

当然といえば当然の話ながら

こうなるとアイルランドと北アイルランドの国境を

強化せざるをえなくなる。

 

アイルランドとイギリスが対立を繰り広げてきたのを思えば

これは紛争のタネになる恐れが強い。

 

イギリスとEUは、

いずれ包括的FTAを締結する予定ですので

それが実現すれば別に構いません。

しかし2020年末までとされた移行期間の終わりまでに

FTAが締結されなかったらまずいわけです。

 

で、合意案がこれにどう対処したかですが・・・

結論から言うと対処していません。

「移行期間中の協議で解決する」(!)とした上で

解決に至らない場合は

北アイルランドを含むイギリス全体を

とりあえず実質的に関税同盟にとどめることにしたのです。

 

イギリスの新聞「ガーディアン」によれば

EUはもともと、

北アイルランドだけを関税同盟にとどめることを提案したとか。

 

しかしこれでは

同じイギリスでも北アイルランドだけ

経済活動のルールがEU式になってしまう。

というわけでイギリスは

イギリス全体を関税同盟にとどめるよう主張。

 

しかしこれでは

イギリスは関税同盟離脱を

EUにたいする交渉カードにできることになりかねない。

アイルランド=北アイルランドの国境強化は

誰も望んでいないのですから。

 

よってイギリスも、以下を譲歩することに。

1)国境強化の恐れがないとEUが判断するまで、関税同盟を離脱しない。

2)北アイルランドはブレクジット後も

  EU単一市場のルールに近い関税合意を受け入れる。

3)同様、イギリスも「公平な経済活動」をめぐるEUの条件を受け入れる。

 

しかしこれでは

EUの単一市場や関税同盟からの離脱という

ブレクジットの目的が果たされない!!

関連記事こちら。

 

「なるほど、これはタコフヘーベンだ・・・」(※)個人の感想です。

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ボリス・ジョンソン前外相は

 (この条件では)英国は永遠にEUに隷属することになる

と議会で反対を表明。

 

けれども合意案が議会を通過しないと、どうなるか?

選択肢は以下の通り。

1)合意なしでEUを離脱する

2)総選挙で離脱のあり方に関する民意を問う

3)再度、国民投票を行う

 

しかし離脱は2019年3月29日と決まっているんですよ。

ついでに移行期間だって

延長されないかぎり2020年末まで。

 

正直、(1)〜(3)のどの経路でも

事態は泥沼化する恐れが強いのです。

 

だが合意案にしたがったら

ブレクジット自体が骨抜きになることもありうる。

 

記事の内容と直接の関係はありません。

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・・・みなさん。

国境や国籍へのこだわりをいったん捨てたあとで

ふたたびこだわりを取り戻そうとすると

事態はここまで紛糾するのです。

 

グローバリズムについて

うまく行かなかったら、また変えればいい

だの

うまく行かなかったら、元に戻せばいい

といった発想で対処するのは厳禁としなければなりません。

 

このところ「おはよう寺ちゃん」で

外国人労働者受け入れ拡大など10年早い!!

と主張しているのは、

誇張でも何でもないのです。

 

トマス・ペインが言うとおり

時間を過去に戻すことはできないんですからね。

 

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ではでは♬(^_^)♬