私が「一言一会」を連載している雑誌
「表現者」(MXエンターテインメント)の最新号が
本日、発売となります。
今回の「一言一会」のタイトルは
「汝の右手がなすことを」。
このブログでも書いているとおり
現在の日本では
〈右〉も〈左〉もみずからのあり方に重大なパラドックスを抱えており
しかもそれを自覚していない
という状況が見られます。
つまりは社会全体が
一種の統合失調(精神分裂を現在ではこう呼びます)をきたしているのですが
「汝の右手がなすことを」では
大岡昇平さんの傑作小説「野火」を題材に
このような分裂が
戦後日本の宿命的な帰結ではないかという点を考えます。
ご存じの方も多いと思いますが
「野火」は太平洋戦争末期のフィリピンを舞台に
田村という兵士の体験を描いたもの。
しかるに田村の体験は
ずばり「統合失調に陥ることで、どうにかアイデンティティを保つ」
という性格を持っているのです。
他方、「僕たちは戦後史を知らない」や
「愛国のパラドックス」で論じたとおり、
戦後日本の抱えるパラドックスは
敗戦・占領の衝撃のもと、どうにかアイデンティティを保とうとした結果のもの
という性格を持っている。
ならば戦後日本そのものが
「統合失調」状態にあると見なされるべきではないか?
ちなみに「汝の右手がなすことを」は
マタイ福音書の一節ですが
「野火」でも重要な意味を持つフレーズ。
一言一会「汝の右手がなすことを」、
ぜひご覧ください。
また「表現者」では7月31日(木)に
シンポジウムを開催します。
テーマは「隘路(あいろ)にはまるか、〈日米同盟〉」。
私もパネリストとして参加します。
他のパネリストは
佐伯啓思さん
白井聡さん
中島岳志さん
富岡幸一郎さん
そして、西部邁先生。
会場は四谷区民ホール。
18:30開場
19:00開演
21:00終演です。
会費は1500円。
参加ご希望の方は
お名前、ご住所、お電話番号、参加人数などをご記入のうえ、
郵送、ファックス、メールのいずれかにて
西部邁事務所までお申し込み下さい。
連絡先は以下の通りです。
郵送の場合 〒157−0072 東京都世田谷区祖師谷3−17−22−303
ファックスの場合 03−5490−7576
メールの場合 hyogensha@gaea.ocn.ne.jp
なおメールで申し込まれる場合は
スパムと混同されないため
件名に「表現者シンポジウム参加希望」と明記して下さい。
みなさまとお会いできるのを楽しみにしています!
ではでは♬(^_^)♬
4 comments
水野博雄 says:
6月 16, 2015
おはようございます。
7月31日の表現者シンポジウムに参加申し込みをしました。お会いできるのを楽しみにしてます。
たかゆき says:
6月 16, 2015
日本はいつから狂いはじめたのか?
東京裁判の判決という狂気の沙汰を
受け入れさせられた時からだと
考えております。
正気を失ってでもいなければ
戦後70年も世界に謝罪しつづけ
目と鼻の先の領土を占領されても
ぼんやりと眺めていることなど
できるものではありません。
ちなみに
「汝の右手がなすことを」、、
日本語訳は面白い表現をしますね。
「汝の左手がなすことは」、、、
どうなんでしょうね。。。
ぼくがお守りがわりに
持ち歩いている聖書では
But when you help a needy person,
do it in such a way that even
your closest friend will not know about it.
(Today’s English Version 4th Edition)
SATOKENJI says:
6月 16, 2015
そうでもありません。
手元にある新共同版(New International Version)の英語聖書では、
該当箇所はこうなっています。
But when you give to the needy,
do not let your left hand know
what your right hand is doing.
まったく同じですよ。
たかゆき says:
6月 16, 2015
ご指摘ありがとうございます♡
ふだん持ち歩かない
THE NEW KING JAMES VERSIONにも
以下のようにありました。
But when you do a charitable deed,
do not let your left hand know
what your right hand is doing,
that your charitable deed may be
in secret;
お守りしか信じないのは迂闊でした
お赦しあれ。