新著はすべて書き上げましたが、

目下、旅行中なので

記事の間隔が空いております。

ご了承下さいm(_ _)m

 

さて。

 

東日本大震災後、

復興促進などと言いつつ

被災地切り捨てを正当化するような主張が

政府関係者の間でも見られました。

 

岩手県の達増拓也知事

これを「国家の店じまい」と批判しましたが

思えばこのフレーズ、

新自由主義的な構造改革の本質を

ずばり突いたもの。

 

ソロバンが合わないと判断したサービスを

順次、減らしてゆくわけですからね。

で、その際によく用いられる手法が民営化。

 

地方公共団体が

公共施設などの設計・建設・改修・更新や維持管理・運営について、

民間業者に発注する

PFI(Private Finance Initiative、

民間資金等の活用による公共施設等の整備)も、

全面的な民営化でこそありませんが

民営化の一形態と見なされるべきでしょう。

 

民営化については

民間事業者のほうが経営のノウハウが優れているので

事業の効率性が高まり、コストの削減が期待できる。

よって、安くて質の高いサービスを提供することができる

といった主張がよく見られます。

 

PFIをめぐる内閣府のページにも、

そのような趣旨の説明が記載されています。

ご覧になりたい方はこちら。

 

しかし、これはどこまで本当か。

 

民間事業者が

政府や自治体にはない経営のノウハウを持っているというのは

たしかにそうでしょう。

 

た・だ・し。

民間事業者が効率性(ないし収益性)の高いビジネスを展開できるのは、

そのためのインフラが政府によって整備されたうえでのことである

というのも、

否定しがたい事実ではないのか。

 

しかも、

インフラ整備がそれ自体として収益性の高いビジネスになる

という保証はない。

というか、普通そうではないわけです。

インフラとは「縁の下の力持ち」的な存在ですからね。

 

となると、

公共性の高い事業を民営化するのは

本当に「安くて質の高いサービスを提供する」ことにつながるのか?

 

収益性重視の発想で公共サービスをやりだせば、

普通に考えて、こういうことになるでしょう。

 

1)収益が出るまで料金を上げる。

2)同じく、収益が出るまでコストをカットする。

3)上記二つをやっても、収益が出ないと判断したら手を引く。

 

けれども(1)をやったら、サービスを受けられない人々が出てくる。

(2)をやったら、サービスの質が低下する恐れが強い。

(3)にいたっては、サービスが停止する危険があります。

 

公共性の高いサービスでは、やってはいけないことばかり!!!

 

PFIってホントは、POOR AND FUCKED-UP IDEA(貧しくバカげた発想)の略じゃないのか?

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さて。

7月5日、水道法の改正案が衆議院で成立しました。

 

今回の改正の目玉の一つは

水道法24条の3(業務の委託)のあとに

24条の4から24条の13まで

10の条文を追加したこと。

 

水道事業は基本的に地方自治体がやるのですが

これによって当該の自治体は

PFIに関する法律に基づいて「水道施設運営権」を設定、

民間事業者に委ねられるようになる。

 

PFIをめぐる内閣府の説明が正しければ

これで安くて質の良い水の供給が確保されることになりそうなものですが・・・

 

本当にそうか。

 

じつは今回の改正には、こんなくだりがあるのです。

(水道法)第十四条第二項中「の各号」を削り、

同項第一号中「照らし」の下に「、健全な経営を確保することができる」を加える。 

関連資料こちら。

 

何のこっちゃ? という感じですが、

これがなかなかの曲者。

水道法14条2項、

およびその第一号はこうなっているのです。

 

2 前項の供給規程は、次の各号に掲げる要件に適合するものでなければならない。
一 料金が、能率的な経営の下における適正な原価に照らし公正妥当なものであること。

 

「前項の供給規程」というのは、

水道料金や給水装置工事の費用の負担区分など、水を供給する条件のことです。

つまり2項に記されているのは、この条件が満たすべき基準。

 

しかるにこの箇所は、改正によってどう変わるか?

こうです。

 

2 前項の供給規程は、次に掲げる要件に適合するものでなければならない。
一 料金が、能率的な経営の下における適正な原価に照らし、
  健全な経営を確保することができる公正妥当なものであること。

 

最初の変更は、まあいいでしょう。

問題はその次。

 

今までの条文において水道料金は

適正な原価に照らして公正妥当なものと定められていました。

 

それが

適正な原価に照らし、健全な経営を確保することができる

公正妥当なもの

という基準に変わったのです。

 

「健全な経営を確保することができる」とは

普通に考えて

ちゃんと利益をあげることができる

という意味になるでしょう。

民間事業者なら、とくにそうです。

 

これで水道料金が高くならないと思った人、手を挙げて!!

 

もうこれしかないよな、うん。

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「バカ野郎、だから言っただろうが」(※)個人の感想です。

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「どんなクライテリオンでも無理!!」(※)個人の感想です。

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「日本を沈没させる水までなくなったか」(※)故人の感想です。

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目下、わが国では

1381の水道事業者のうち

なんと33%が原価割れを起こしていると言われます。

関連記事こちら。

 

水道料金についても、

多少の引き上げは不可避かも知れません。

 

しかしですな。

そんな状態のもと

利潤追求を基本原理とする民間事業者を

水道事業に参入させて

料金引き上げを最小限に抑えられるというのは本当か。

 

・・・聞くだけヤボってもんでしょうが。

こうやって国家の店じまい(Ⓒ達増知事)は進んでゆくのでありました。

 

この話、あまりにしょうもないので続きをやります。

 

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