さて、PART2です。
目下、朝鮮半島で生じている対話ムードから
日本がみごとに締め出されているのは
みなさんもご存じのとおり。
しかもこれ、
言っちゃ何ですが自業自得なんですよね。
われらが安倍総理は
対話のための対話には意味がないとして
北朝鮮には圧力あるのみと
さんざん力説してきたのですから。
おまけにこれがしょうもないのは
それだけ勇ましくぶちあげておきながら
事と次第では北朝鮮と一戦交える意志も能力も
わが国にはまったくないこと。
トランプは強硬姿勢を崩さないだろうという希望、
ないし希望的観測に寄りかかって
口先だけで突っ張ってきた、
そう笑われても仕方ないのです。
ンなものだから
米朝会談が開かれることになったとたん
ガタガタと総崩れになってしまった。
WWW だから日米は「希望的観測の同盟」だと言うのだよ WWW
南北首脳会談のあとの晩餐会で
韓国側が用意したデザート(マンゴームースだそうです)に
竹島を含む朝鮮半島の地図が描かれていると文句をつけながら
会談で拉致問題を取り上げるよう依頼するみっともなさ。
はたせるかな、
板門店宣言には拉致問題への言及などまったく見られませんでした。
ついでに離散家族や親戚の再会を進めることが謳われているのですが
その開始の日付は8月15日。
これって普通に考えたら
日本人の拉致など(どうでもいいとまでは言わないが)二の次、三の次
ということじゃないんですかね?!
おまけに文在寅は金正恩にたいし、
「安倍首相も北朝鮮と対話する意思があり、
特に過去の歴史を清算して、日朝国交正常化を望んでいる」
と伝えた模様。
これが意味するところは重大です。
なにせ総理は北朝鮮について
対話のための対話は意味がない
と言ってきたのですぞ。
それが今になって
対話する意思がある
というのは、
突っ張るのをやめて譲歩するから、相手にしてくれとせがんでいるということでしょうが。
「過去の歴史の清算」(=賠償ないし経済協力)まで付記されていますしねえ。
いや、ご立派な司令塔ぶりであります。
実際、平昌冬季五輪の開会式に際し
安倍総理は北朝鮮の金永南・最高人民会議常任委員長にたいし
拉致問題の進展をうながしたものの、
「謝罪と賠償が先」と一蹴されたとか。
さらに米朝会談が決まった3月以来、
総理は日朝会談を開きたいという意向を
さまざまなチャンネルを通じて北に伝えたものの、
平壌からは「一切取り合うな」という返答があったそうです。
ところが南北会談で
金正恩は文在寅にたいし
日本と対話する用意があると伝えたとのこと。
これは何を意味するのか?
・・・分かりますね。
こちらのルールにしたがって、おとなしく振る舞うのなら会ってやってもいい
ということです。
しかも厄介なのは
日本はもはや
対話のための対話は意味がないなどと
強い態度に出られないこと。
ンなことしたら最後、
おいシンゾー、オレがノーベル平和賞を取るのを邪魔する気か?!
と、トランプから叩かれるのは目に見えている。
金正恩の完勝と言わねばなりません。
現に、こんな報道もなされています。
北朝鮮、日本の圧力非難「平和の流れ感知できず」
(産経新聞、4月28日配信)
朝鮮中央通信がこの日、
日本は朝鮮半島と地域に流れる平和の流れをきちんと感知できない
という論評を配信したらしいんですね。
いわく、
(安倍政権は)急変する情勢下で朝鮮民族や国際社会の願いは眼中になく、
自分たちの利害ばかり計算している。
南北の同胞はもちろん国際社会も、
対話ムードを壊そうとする行為を決して許さないだろう。
イチャモンとばかり言えないのがイタいところですな。
しかし!!
この厳しい状況にあって
まことに頼もしい、
ないし認知的不協和に陥っているとしか思えないのが
われらが安倍総理。
29日に配信された産経新聞のインタビューで、こう語っているのです。
昨秋の衆院選で、北朝鮮に対して圧力を最大限まで高めていくと申し上げました。
その結果として平昌五輪を契機に北朝鮮が話し合いを求めてきた。
まさに日本が国際社会をリードしてきた成果ではないですか。
決して日本が蚊帳の外に置かれていることはありません。
先日訪米し、トランプ米大統領と2日間にわたり
11時間以上、時をともにすることができました。
いかに日米の絆が強固なものであるかを示せたのではないでしょうか。
強固な日米同盟があったからこそ、
北朝鮮問題が解決に向け、動き始めた。
初の米朝首脳会談に向けても、日米は緊密に連携していきます。
いや、さすがは安倍総理!
浅野さんなど、心なしか目がうるんでいるような・・・
緊密な日米同盟のもと、
日本が国際社会をリードして、
北朝鮮を譲歩に追い込んだ。
いいなあ。
じつに素晴らしい。
祖国への誇りがわきあがりますよ。
ただし説得力があるかどうかは別の話。
こちらをどうぞ。
米朝会談「3、4週間以内に」=トランプ氏、融和ムードに自賛
(時事通信、4月29日配信)
トランプ米大統領は28日、中西部ミシガン州で支持者らを前に演説し、
北朝鮮との首脳会談について「3、4週間以内に行われるだろう」と述べ、
5月中にも開催されるとの見通しを示した。
南北首脳会談が実現するなど北朝鮮との融和ムードが進んでいることに関しては、
「(韓国の文在寅大統領が)『すべて米国の手柄だ』と称賛してくれた」と強調。
(国が没落するのは)
国家百年の繁栄をもたらすような正攻法をとろうとはせず、
自国民の財布から金を取り上げて、
これを目先の利益にふりむけ、
実際の国家の危機には目をそむけて
空想の世界へと逃避したからである。
このような姑息な手段は、
しばらくは平穏無事をもたらすかもしれないが、
いざ土壇場に追い込まれると、
国家の命取りとなって、
二度と立ち上がれないほどの破滅をこうむる原因ともなる。
──ニコロ・マキャヴェリ(中野剛志『経済と国民』より)
「バカ野郎、だから言っただろうが」
こう言っては何ですが
やはりわが国の政治は
死ぬまで森友・加計問題や
防衛省の日報問題、
ついでにセクハラ疑惑あたりで騒いでいるのが
一番いいと思いますね。
それ以上ハードな問題に立ち向かう
意志も能力もありゃしませんよ。
国辱の日4・27をめぐる、シャレにならない話でした。
(↓)空想の世界へと逃避しないために、読むべき3冊はこちら!
ではでは♬(^_^)♬
(おまけ)
あらためて、この素晴らしい saya さんの笑顔で立ち直って下さい。
16 comments
GUY FAWKES says:
5月 1, 2018
そういえば、その屈辱の日の前日である4月26日は旧ソ連ウクライナ共和国でチェルノブイリ原発事故が起きた日ですな。
東野剛「バカ野郎、だから言っただろう…真の敗戦はこれからだと!」
昨今白井聡さんの「戦後の墓碑銘」も文庫化されるようですし、「永続敗戦論」と合わせて絶望に浸かろう…
で、水風呂代わりに『震災ゴジラ!』に始まる一連の佐藤先生のご著書で存分と日本近現代の虚妄を楽しもう…
サイッコーの金(キム、と呼んでゴールデン)ウィーク!!!
豆腐メンタル says:
5月 1, 2018
カウンセリングで何よりも重要なのは「気づき」でしょうか。そろそろ認知的不協和に気づかないといけないのですが。
「お上と下々」ごっこでお互いに責任転嫁をしている限り、自由や安全や人権や権利がお遊びなのです。
今までは上手くいってた?
それは上手くいくべくして運よく上手くいってただけです。帆の無い筏だって、潮の流れにまかせていたとしても偶然目的の方向に進むことだってある。
国民が拉致されるという土壇場で、「これまでは上手くいってた」と考え(または思考停止し)行動することに何か意味があるのでしょうか。
完全なる国家を上げての認知的不協和です。
どんなバカにだって分かる話なんですよ。
shun says:
5月 1, 2018
安倍が希望的観測で動くのは
アメリカのTPP脱退の頃から変わってませんね。
有識者や、あるいは我々の如き学のない政治素人でも
脱退すると言っていたのにです。
今回も数名の有識者が対話に動くかもしれないと
言っていたのにこの有様。
しかしながら、この問題に関しては安倍個人の責任というより
我が国の米国属国体制が破綻を迎えつつある前兆なのではと思います。
北朝鮮が上手く米韓を手玉に取って核武装を成し遂げた場合、
我が属国民はあいも変わらず、不都合な現実から目をそらし続けるのでしょうか。
目をそらしながらモリカケセクハラ問題で騒ぎ
ジワジワと移民を受け入れ、滅んでいく未来しか想像できないです。
拓三 says:
5月 1, 2018
私の妄想では北、米、露、の筋書通り。トランプ出現で北の勝利。
苦虫噛んでるのは支那であります。ただし現時点の話。
しかしこの先が修羅場。
この先半島の統一に動き出す事になろうかと想いますが
米、露、中の思惑が表面化し露骨に対立構造が生まれます。
これまでシナは北に米、露が付いている事で風下に立たされた訳ですがそのぶん韓国に力を注いでいた訳です。これはなかなか面白い構図。南にシナ、北に米露、と訳の分からん関係性が生まれた事になります。ただ言える事はこの三國が手を結ぶ事は有り得ないと言う事。その構図がいつ米中対露、あるいは中露対米、はたまた米国撤退、色んなパターンが想像出来る訳ですが現実には中露は半島の隣国であり米は太平洋の向こう側。つまりその国において半島がどれほどの価値があるかで対立構造の力学が変わってくる事になる訳です。
まっ、色々と妄想する訳ですが日本が…,で.て.こ.な.い…
せい says:
5月 1, 2018
一部の保守派では、「朝鮮戦争の問題は、そもそも日本は当事者ではないので、蚊帳の外になるのは当然だ」
という論が見られました。
SATOKENJI says:
5月 1, 2018
>「朝鮮戦争の問題は、そもそも日本は当事者ではないので、蚊帳の外になるのは当然だ」
【現代日本語訳】
65年前から蚊帳の外だったのだから、今になって蚊帳の外に置かれたわけではない!
非核化と拉致についてはどうするんでしょうかね。
せい says:
5月 1, 2018
核の問題も、当事者ではないらしいです。拉致はスルーしていました。
SATOKENJI says:
5月 1, 2018
われわれはこの蚊帳とは、もともと関係がない。
ゆえに、蚊帳の外に置かれたわけではない。
なるほど、そういうことか。
福岡ワマツ says:
5月 2, 2018
我が国日本は、
身体は現実の世界を生きていながら、
精神は自閉した妄想の世界に生きているように感じます。
あるいは、
酒をしこたま吞んだあげくに泥酔しているような感も・・・。
まあ、自ら進んで杯を傾けた結果でしょうけれども。
とはいえ、どんな酒をどんだけ飲んだのかと。
酒の飲み始めには「憂いの玉箒」のつもりだったものが、
その挙句の果てには「命を削る鉋」となってしまう。
そのようなことにならなければいいのですけれど・・・。
まあ、なっちゃいそうですね(〃´o`)=3 フゥ (ダメダ、コリァ)
SATOKENJI says:
5月 2, 2018
>(ダメダ、コリァ)
コリア(朝鮮戦争による特需)で始まった戦後の繁栄が、
コリア(朝鮮戦争正式終結)で終わったりして・・・
福岡ワマツ says:
5月 2, 2018
あ~、コリァ、いかん(遺憾)わ。
poti says:
5月 2, 2018
まぁ、蚊帳の外なのはある種幸いですな。
世界中がアベにレベルを合わせて外交なんてやった日にゃ第三次大戦が勃発してこの世の終わりだ。
コバ says:
5月 4, 2018
外交は試験で、軍事力と経済力が試験勉強のようなものではないでしょうか?
富国と強兵を行った国はあと試験で集中力とひらめきがあれば十分な成果を得られると思いますが、日本の場合、経済は衰退途上、強兵は出来てない状況で総理はグローバリストですから、試験で奇跡でも起こさない限り完全に失敗するしかないかもしれないです…そういう意味で総理はそもそも蚊帳の外に出たかったのではないのでしょうか。
落ちる試験ならいっそ受けたくない気持ちは分からないでもないです。
万が一にも米国が裏口入学させてくれるかもしれないですし…。
まあ経済を回復させると豪語して出来た政権でそれにすでに失敗しているのだから、軍事力の強化なんて難問を正答できるわけないし、外交なんて日米貿易交渉のように日本を切り売りする以外方法はないでしょう…
地球儀を俯瞰する外交と豪語してましたが、何のことはない、ただ解答欄を見て問題数を把握した程度のことでしかなかったのではと思います…
ホワホ says:
5月 5, 2018
説得力はあると思いますよ。私たち日本国民はKONOZAMAなんですから
無いのは説明力ですね。(こういう区別は理系の人のほうがストンと来るのかな?)
風街マロン says:
5月 7, 2018
佐藤先生がご出演される桜は本当に面白いです。
北朝鮮が例えば、軍事的に転用できる日本の技術の提供、
それにプラスして、大量の移民受け入れと引き換えに
拉致被害者を数名返すと、言ってきたらどうするか。
そうしないで、、拉致被害者を取り戻すのが、国防と外交の果たすべき役割。
日本ときたら、(以下略、、
ラーマ says:
5月 23, 2018
「経済援助」という名の巨額の身代金を払ってまで、拉致被害者を帰国させるべきではない、と匿名の自分は思うが、実名で活動しておられる方々はこれがなかなか言いずらいもの。「なんて人情のないやつだ」と非難されてしまう。
やはり正攻法に「憲法改正」して北朝鮮から被害者を取り戻すんだという意気込みで、野党・マスコミを押し切ろうとするという大胆な手が、1番有効なのかなとおもう。マスコミは大騒ぎをするけども、一番筋が通っているから。でも、日本人は摩擦を嫌い、騒ぎになること自体が悪いことであるという「美感・皮膚感覚」の持ち主なので、正面きっての正論は国民性として不可能に近いのかもしれない。