7月24日の記事

「日本国民は安倍総理を裏切ったらしい\(◎o◎)/」でも述べたとおり

国民の支持を失いつつある政権を

あまり擁護しようとすると

現政権を支持するのは国民の義務であり

不支持に回るのは「裏切り」「謀反」である

と言わんばかりのニュアンスが

主張に入り込んでしまいます。

 

まあこれも

憲法で保障された思想・信条の自由のうち

ではあるのですが、

考えてみたいのは

このような権威主義志向、

ないし全体主義志向丸出しの発想(※)

政権擁護の役割を果たすかどうか。

 

(※)本人に自覚があるかどうかは別の話ですが

論旨に影響を与えるものではないので、この点は脇に置きます。

 

・・・考えてみるまでもありませんね。

政権にたいする不満がたまっている国民に向けて

現政権を支持するのは義務なんだ!

不支持に回るなんて裏切りだ!!

とか主張したら、

何言ってやがる、ふざけるな!!!

とばかり、怒りが爆発するのは火を見るより明らか。

 

うーん、炎上政治だなあ。

 

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つまり、このような政権擁護論は

当事者の主観的な意図とは裏腹に

倒閣運動としての役割を果たしてしまう可能性が

きわめて高いのであります。

 

しかるに政権を擁護するかに見せて

(ないし、政権を擁護するつもりで)

じつは倒閣に貢献しかねないという

偽装転向倒閣運動とも呼ぶべき振る舞いをしているのは

産経新聞の記事の筆者だけではありません。

 

ご存じの方も多いでしょうが

現在の保守派の中には

メディアと反日勢力による倒閣運動を許すな!

と叫んでいる方々もいるのですぞ。

 

この主張も、じつに興味深いものと言わねばなりません。

なぜならここには

放っておけば、国民はメディアと反日勢力による倒閣運動に共鳴し、

安倍内閣を退陣に追い込んでしまうに違いない

という前提がひそんでいる。

 

でなければ、そもそもこんなことを叫ぶ意味がない。

メディアや反日勢力が、どれだけ倒閣をめざしたところで

国民から相手にされなければそれっきりではありませんか。

 

ならば保守派(の一部。以下同じ)はなぜ、

国民はメディアと反日勢力による倒閣運動に共鳴してしまうと考えるのか?

可能性は以下のどちらかでしょう。

 

1)メディアや反日勢力とは関係なく、じつは国民の間にも、

現政権を退陣させたいという心情が高まっている。

 

2)日本国民は、よしんば現政権に不満がなかろうと、

倒閣運動のプロパガンダに引っかかって共鳴してしまうくらいのバカである。

 

とはいえ(1)の場合

メディアと反日勢力による倒閣運動を許すな! と叫んだところで

さしたる意味はありません。

 

わが日本は民主主義国家。

国民から愛想をつかされた政権は

よしんば倒閣運動を抑圧したところで、

遠からず引導を渡されるに決まっているのです。

 

これを阻止するには

現政権を支持するのは義務なんだ!

不支持に回るなんて裏切りだ!!

という例の発想に走らねばなりませんが、

くだんの発想が権威主義志向、

ないし全体主義志向丸出しであり、

ゆえに倒閣運動としての役割を果たすであろうことは

すでに見た通り。

 

ならば(2)の場合はどうか。

こちらは愚民思想丸出しと評さねばならない。

 

もし日本国民が本当にそこまでバカだったら、

自分の頭で物を考えたり、

主体的な判断をしたりせず、

ちゃんと物の分かった人々、

つまり保守派の言うことに黙って従うことこそ

日本を良くする唯一の道だという話になるではありませんか。

 

つまりこれは

政権擁護にかこつけて、保守派が自己絶対化をもくろむ主張なのです!

 

だ・か・ら、

『右の売国、左の亡国』と言うのですよ!

 

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だとしても。

お前らはしょうもないバカなんだから

自分の頭で判断するのをやめて

黙ってオレたちに従え!

と 言われて

なるほどそうかと納得する人がどれくらいいるか。

 

ほとんどの人は

何言ってやがる、ふざけるな!!!

と怒りを爆発させること確実でしょう。

 

となると

メディアと反日勢力による倒閣運動を許すな!

という主張も

当事者の主観的な意図とは裏腹に

倒閣運動としての役割を果たしてしまう可能性が

きわめて高いのであります。

 

これぞ、目下の政権擁護論の真実。

ツイッターにも、こんな卓見がありました。

 

「安倍さんは間違ってない!」

「愚民共に負けないで!」とか何とか言って、

炎上現象に加担している「自称擁護派」の人達は、

今は安倍首相にとっても、迷惑以外のなにものでもないね。

ツイート原文はこちら。

 

このまま行くと

政権擁護派が、政権から邪魔者扱いされるという

シャレにならないパラドックスが成立する日も

そう遠くないかも知れませんよ。

 

「本当に安倍政権を応援する気があるなら、政権擁護なんかしてくれるな!

あんたらが政権擁護を叫べば叫ぶほど、倒閣の日が近づきかねないんだ!!」って。

 

で、裏切られたという思いに駆られた保守派が

かわいさ余って憎さ百倍とばかり

安倍政権による倒閣運動を許すな!!

と叫び出す・・・

 

W(^_^)W\(^O^)/だからこの世は宇宙のジョーク\(^O^)/W(^_^)W

 

ではでは♬(^_^)♬

 

(↓)自己絶対化こそ、あらゆる革命運動の不可避的な帰結と言えるでしょう。

フランス革命の省察

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