KADOKAWA ちょく論
「踊る天下国家」
3号目のテーマはこれです。
「女性閣僚と風俗嬢の間」
女性の活躍とか、すべての女性が輝く社会などといったスローガンを
最近よく耳にします。
むろん、これ自体に異論はありません。
というか、
女性が輝いているようでなければ、男性だって輝いているはずはない。
どちらか一方は輝いているが、
もう片方はさっぱり冴えないというのは、
ありえないと思うのです。
しかし「活躍」や「輝き」にも、
おのずから本物とニセモノとがあるでしょう。
現在、謳われている「活躍」や「輝き」はどちらか?!
これを考えるうえで、
一方の極に女性閣僚を置き、
もう一方の極に風俗嬢を置いてみました。
前者は「天下公認の形で活躍している女性」の代表であり、
後者は「日陰者扱いされやすいが、やはり活躍している女性」の代表というわけです。
なにせ日本には目下、約35万人の風俗嬢がいるとのこと。
相応の社会的役割を果たしていなければ、そこまで大勢いるはずはありません。
両者の距離はどれだけあるのか?
・・・つまり今回の記事は
「政治とセックスの間」とも読み替えられます。
この二つには、密接な関連があるというのが私の考え。
そう思うにいたった出来事をご紹介しましょう。
1990年代はじめのこと。
たしか1992年だったと思います。
別冊宝島が、日本の子供は変わってきている! というテーマでムックを出しました。
私の記憶が正しければ、ムックのタイトルは「子どもが変だ!」。
さて。
「失われた二十年」などという表現が定着した今となっては、
バブルの崩壊(1990年秋)と同時に、日本はドンと落ち込んだようなイメージがあります。
しかし実際にはそうではなかった。
1990年代後半ぐらいまでは、楽観的なムードが支配的だったのです。
「たしかにバブルが弾けて、株価が落ちたのは痛かったけど、
日本経済の地力はしっかりしているんだから、しばらく待っていればまた右肩上がりになるさ」
と、こんな感じ。
「この景気低迷はシャレにならないぞ・・・」
という気分が広まったのは、
3%だった消費税が5%に上がり、
三洋証券、山一証券、北海道拓殖銀行があいついで破綻した1997年ごろからでした。
つまり1992年当時、
世の中はまだまだ明るかったのですが、
「子どもが変だ!」には、こんな発言が収録されているのですよ。
日本が豊かだなんて言っていられるのも、あと十年だね。
1992年の十年後、2002年と言えば、
いわゆる小泉改革がブームとなっていたころ。
地方の疲弊や、格差の拡大、貧困層の増加は、
このあたりからジワジワ始まっていました。
「日本が豊かだなんて言っていられるのも、あと十年」の予想は、みごとに的中したことに。
1990年代はじめの時点で
ここまで国の将来を正確に見通した発言を、
私はほかに知りません。
とはいえ、この予想をした人は政治や経済の専門家ではありません。
なんと風俗関係者なのです!
具体的にはラブホテルのフロント。
それがどうして、日本の未来をずばり見通せたのか?
つづきは明日のブログをどうぞ。
ではでは♬(^_^)♬
5 comments
平松禎史 says:
10月 30, 2014
風俗営業…いわゆるそれっぽいところはほとんど行ったことがないんですが居酒屋でもおもしろい人間模様がかいま見えますね。
風俗業ではないですが、ヒッチコック監督の「裏窓」を思い出しました。
足を折った主人公宅へ通う皮肉屋の看護婦が自慢気にこう言います。
「1929年の株の大暴落を予知したの。簡単よ。GM社長の看護をしてたの。病院の診断は腎臓病だったけど私は神経を疑っった。何をそんなに悩むのか?…生産過剰で崩壊。GMが日に10回もトイレに立てば終わりよ。」
akkatomo says:
10月 30, 2014
何と言いますか。売春業って生物的存在としての
人間の価値をほぼ正直に表した値段がつくと思うのですよ
だから、その価額の多寡は正直に景気の状況を表してしまう
下の値段を惜しむような、もう少しオブラートに包むならば
情実の価額を押し下げるような状態が現れたとすれば、
それはつまり人間の価値が下落してるということなのでしょう
尚、最近、東京で売春婦の値段が下がっていると風の噂に聞きましたが、
そうだとすれば、今後相当に人間の価値そのものが下落していくのだろな、と思いつつ
益田 says:
10月 30, 2014
佐藤さんに相談に乗ってもらいたいことがあります。私の名前でネット検索するとにちゃんねるの書き込みがヒットします。内容は左翼だの在日だの下らない内容です。確かに私は反原発デモに参加しておりますし、ブログでもそれを公表しています。乱文になって申し訳ありませんが、簡単に言うと、反原発を訴え続けたいけどネットの匿名の攻撃に晒されるのも精神的に辛いので、どう折り合いをつければいいか教えてほしいということです。
SATOKENJI says:
11月 1, 2014
このような問題に「普遍的な正解」はないと思います。
ここらへんで折り合いをつけようという線を、
ご自分でお決めになるしかないでしょう。
フルート says:
10月 30, 2014
「踊る天下国家」の第三回目すごく面白かったです!
(というか怖かったと書くべきかもしれませんね・・)
貧困化が最もひどいのはもちろん若者層ですけど、そもそも親の世代から始まってるんですよね・・。
今のままの経済観・倫理観で居たら、本当に日本滅亡しちゃうんじゃないでしょうか・・(子供が産めないのだからもうどうしようもない・・)。
私は「輝く女性」というワードに対して、佐藤先生の『夢見られた近代』の第十一章「さよなら日本の子供たち」の中に出てきましたキラキラネームのことが頭に浮びました。男性が輝けていない時に女性だけは輝けるかの様に思い込む思考と、自分の世代に自信がないのに(・・逆にないからこそ?)子供はなぜか光り輝ける(それも外人の様な名前になって)・・と半ば強迫観念の様に思い込んじゃう思考に、どこか似ているところがあるなと思いました。