『対論「炎上」日本のメカニズム』の第三章において
藤井聡さんは
炎上では何らかの「不都合な真実」が必ず隠蔽されるため
当の真実が明るみに出そうになるや
それを無理やり抑えつけようとする動きが表れる
と論じています。
(↑)今の日本を救うのに必要な書(達増拓也・岩手県知事)ですので、そこのところよろしく。
早い話、認知的不協和をめぐるゴマカシが始まるわけですな。
で、70〜71ページにおいて
藤井さんは代表的なゴマカシ方のパターンを挙げています。
順番に・・・
1)不都合な真実がそもそも存在しないことにする。
2)不都合な真実を指摘するヤツは「悪人」だということにする。
3)不都合な真実は(渋々)認めるが、「より本質的な真実」を別に持ち出すことで、
不都合な真実の重要性を否定する。
藤井さんは触れていませんが
ゴマカシ方(2)については
不都合な真実を信じるヤツは「バカ」だということにする
バリエーションも存在します。
しかるにお立ち会い。
安倍内閣の支持率急落をめぐっては
いわゆる「保守派」のみなさんの間に
この3パターンがすべて見られたのです!!
具体的に言えば、
支持率急落は倒閣をもくろむマスコミの捏造にすぎず、
実際には起きていない
と構えるのがゴマカシ方(1)。
支持率急落をあげつらうのは倒閣をめざす「反日勢力」であり、
それを真に受けるのは連中のプロパガンダに引っかかったバカである
と構えるのがゴマカシ方(2)。
支持率急落は確かに起きているが
現在の日本が置かれた危機的状態を思えば
総理は安倍さん以外にありえない
と構えるのがゴマカシ方(3)。
・・・何というか、
あまりにパターン通りなので
まともに取り合う価値がないのは明らかという感じですが、
面白いので少し検討してみましょう。
たとえば(1)。
内閣支持率が一ヶ月で10ポイント以上下落する現象は、
7月24日に発表されたものだけでも
毎日新聞、日経新聞+テレビ東京、産経新聞+FNN
のすべてで起きています。
してみると
政権に好意的と見られていた産経新聞すら、
じつは倒閣運動をもくろむ反日勢力だったのでしょう\(^O^)/
いやはや、油断も隙もない世の中ですが
となると新たな疑問が湧いてくる。
マスコミがかくも信用できないとすれば
彼らが「内閣支持率は高い」と報じたとき
なぜ保守派は疑ってみようとしなかったのか?!
そうです。
いわゆる安倍一強報道こそ、
政権を慢心させて気を緩ませ、
そのことでスキャンダルを誘発させようという
高度に洗練された政治的謀略だったに違いない。
保守派のみなさんにしても
よもや「褒め殺し」をご存じないことはないでしょう。
それを見抜けなかったおのれの不明を
恥じるところから始めてこそ
真の愛国の士というものであります。
続いて(2)。
まことに遺憾なことではありますが
今や安倍晋三総理ご自身も
また菅義偉官房長官も
支持率急落を客観的事実として認識されています。
総理など24日の衆院予算委員会で
支持率急落を「国民の声であり、真摯に受け止めたい」と
おっしゃっているのですぞ。
支持率急落をあげつらうのは倒閣をめざす「反日勢力」であり、
それを真に受けるのは連中のプロパガンダに引っかかったバカである
というのが正しいとすれば
それは総理、および官房長官について何を意味するでしょうか?
W(^_^)W\(^O^)/どこまで続く、この自爆\(^O^)/W(^_^)W
で、(3)。
支持率が急落した内閣は、求心力を保てなくなります。
片や最近、政権を悩ませてきた問題は
国家的危機と呼ぶにはいささか矮小なものがほとんど。
ところが安倍内閣は、その程度の問題すらスマートに解決できなかった。
だからこそ現在の状況があるのですぞ。
そんな政権が、日本の置かれている危機的状況にたいし、
的確に対処できるとはとうてい信じがたい!!
よって。
上記のパターンに沿った政権擁護論からは
以下の三点が導き出されます。
すなわち・・・
1)保守派はメディアの「褒め殺し」にコロッと騙され、浮かれていた。
2)政権中枢は、倒閣運動のプロパガンダを真に受けるほどのバカである。
3)現内閣は、日本の置かれた状況に的確に対処する能力を持っていない。
だ・か・ら、
『右の売国、左の亡国』と言うのですよ!
最後にひとつ。
エドマンド・バークは『フランス革命の省察』で、
革命の状況をこう述べました。
フランスでは、
観念論にかぶれた革命派が屁理屈で国を動かし、
社会を崩壊へと追いやる制度を築こうとしている。
彼らにとっては、
こんな主張が「道理にかなった説得力ある議論」に聞こえるらしい。
やはりここ数年、
わが国では左翼革命が進行していたのではないでしょうか?
なにせ保守の国民運動を行っているという方が
対立勢力を「反動」呼ばわりしてしまうぐらいですからね・・・
ではでは♬(^_^)♬
5 comments
Daniel says:
7月 28, 2017
>稲田防相の辞任は根源的に避けられないものと思います。避けてしまえば、今度は安倍政権の辞去、若しくは歴史上の一大汚点は避けられない。
はい、7月1日に行った予言がまた一つ当りました。内閣改造時まで交代を伸ばされたりしたらコトだなと思ってましたが、順調に辞任です。
さーて、導火線には火花が迫っています。次はどこが爆発するかな。
Daniel says:
7月 28, 2017
これは飽くまで憶測ですが、稲田大臣の辞任は、アメリカからの圧力(英語では、political pressureっていうんですよ。)と思います。
安倍総理以下、そんな判断すら出来ないと思われるからです。
尚、私が言いたいのは、日本政府の対応力のなさではなく、今こそ本気で対北、対中国の国防戦略を打ち立てるべきだと固く思うからです。この間、中国に行って、本気で思いました。この国は、本気で潰さないと、ヤバいって。
私には弟がいまして、彼と本格的な論争を行った経験があります。大括りで言いますと、私が海軍派、彼が陸軍派です。
私が、大東亜戦争では、飽くまで印度侵攻の優位性を主張したのに対し、弟は、中国屈服を言い募りました。日本陸軍は、中国を降伏させる寸前までいったんだと。
その時は、弟の論を馬鹿にしてしまいましたけど、後から考えると、彼の主張の方が、正しかったんではなかろうかと。賢しらな私の論よりも、弟の論の方が、確実だったんではないかと。
GUY FAWKES says:
7月 28, 2017
>これは飽くまで憶測ですが、稲田大臣の辞任は、アメリカからの圧力(英語では、political pressureっていうんですよ。)と思います。
>その時は、弟の論を馬鹿にしてしまいましたけど、後から考えると、彼の主張の方が、正しかったんではなかろうかと。賢しらな私の論よりも、弟の論の方が、確実だったんではないかと。
いつも横から失礼します。
現状を取り巻く政治指導者はトランプ・習近平・プーチン、そしてフィリピンはミンダナオ島に戒厳令とムスリム自治を駆使しようとするドゥテルテに、インドはヒンドゥーナショナリストのモディさん。いずれも冷徹無比な暴君と皇帝、策略家の見本市です。
現状は70年以上前の国家総力戦的次元を超越した段階にある以上、ここまで来ると以前にも申し上げました通り
これらの諸国が直接的な戦火を交えることを避けようとすれば、利用されるのは確実に主体性のないド阿呆の甘ちゃんだけ。
>ところが安倍内閣は、その程度の問題すらスマートに解決できなかった。だからこそ現在の状況があるのですぞ。
そんな政権が、日本の置かれている危機的状況にたいし、的確に対処できるとはとうてい信じがたい!!
稲田防衛相の辞任がアメリカからの政治的圧力だと仮定すれば、弟さんの大東亜戦争当時の攻撃的な戦略論への評価は
確定できませんが現在の東アジア情勢はDANIELさんが予想する以上に深刻かもしれません。
保守派の評論家センセイ方は「トランプは中国を潰したがっている!」と仰いますね…いいでしょう。
では、それの尖兵を務めることになるのは一体誰か?
これは明言するだけ野暮ってもんですね(すいません、佐藤先生の言い回しを頂戴しました)
「他国とのお付き合いで戦争などまっぴら御免」
ちょうど1年前に件の佐藤・藤井両先生が上梓された同じ文春新書から刊行された新書で自衛隊史上初の特殊部隊の隊長、
伊藤祐靖氏が帯紙で発した言葉を噛み締めたいと思います。
Daniel says:
7月 28, 2017
このところのアメリカを見てて思うのが、同盟国も余り当てにはならんなということです。オバマ大統領は明らかに日本に敵対的でしたし、、あの尊大な顔を見るたびに怒りが湧いてきたものです。誰の犠牲のお蔭で貴様は大統領になれたと思ってるんだ。安倍総理も、寿司屋でなくて、マクドナルドにでも連れて行けば良かったんだ。スタバでもいい。
これは断じて人種差別ではない。けど正直、私はアメリカの黒人に余りいい印象がありません。連中がアメリカでは新参者であるアジア人に差別的に振る舞う姿を何度も見てきたからです。あー、今思い出しても腹立つ。
トランプも尻つぼみです。斬首作戦はどうしたんだよ。要は、アメリカに頼らず、日本だけで、北朝鮮はおろか、中国も倒し切るだけの戦略を持たなければ駄目だということです。今は南半部も完全に北鮮の手に落ちましたが、歴史的に言っても、朝鮮半島は全域が日本の国防圏でしたし、中国相手にだって、白村江以外は全勝している。いずれも、アメリカと関係ありません。
私には薩摩出身の友達がいまして、彼から、慶長の役における「泗川の戦い」について聞きました。涎が出るくらい凄まじい勝利で、びっくりしました。「捨てがまりの戦法」という、狂った薩摩戦法にもびっくり。(皆さん、wikipediaででも是非お調べ下さい)
中国に行ってつくづく思ったのですが、中国人の思考が丸っきり分らない。中華思想に心底毒されているのは手に取るように分ったのですが、どうしてそんなに中華思想が魅力なのか、サッパリ分らない。
面白かったのは、中国の酒場には、北朝鮮の若い娘さんが随分来てることでしたね。日本でいうところのスナックやキャバクラに、それはお美しい娘さん(多分、選抜済み)がいて、お酌のサービスだけでなく、踊りなどもしてくれる。(言っときますが、Danielは、そういう処には行ってません。話とスマホの動画を見ただけです) 上がりは当然、北朝鮮当局と折半です。国家公認の出稼ぎですね。
そういう処で、中国人や、事情通の日本人が鼻の下を伸ばしている。うーん、怪しからん!…でも、ちょっと行ってみたかった。。でもまぁ、そういう処に出入りしてみると、北朝鮮情報がそれなりに収集できるなと。今度「調査」に行ってみようかなぁ。
そういえば、向うでは本当にハニートラップってあるらしいですよ。複数聞きました。桑原、桑原。
ともかく、中国人の妄想力には驚きです。大連港では空母「遼寧」を見ましたし、旅順軍港ではそれなりの艦隊も見ました。あれ、全部対日本用ですよ。海上自衛隊も、あれを全部沈めなければならないのかと思うと、難儀だなと。
アメリカが当てにならない以上、日本は単独でどうにかせにゃならんなと。これは、中東におけるイスラエルを見れば良く分る筈です。奴らは、アメリカの支援があろうとなかろうと、とにかくあそこで生き抜くことを国家の最重要命題にしている。
本当かどうかは知りませんが、在米当時、ネタニヤフがオバマを脅しつけたと聞いたことがあります。どっちが大統領か分らなかったと。
我が国は元来、尚武の国です。日本刀を見ればそれが分る。アメリカと関係なく、国防する。これが次代の日本の目標でしょう。
コバ says:
7月 29, 2017
稲田大臣の辞任や政権批判について、北朝鮮のミサイル問題があるんだから重大なこの問題の議論を優先すべきなのに、かけやらもりともの議論などをするな、という意見もあるようですが、これも典型的な
3)不都合な真実は(渋々)認めるが、「より本質的な真実」を別に持ち出すことで、不都合な真実の重要性を否定する。
ではないでしょうか?
というのも仮に稲田大臣を擁護して、政権にもミサイル問題を国会等で議論できるようみんなでバックアップしたら、ミサイル問題が解決するのでしょうか?(笑)
積極財政、デフレ脱却すらまともにできない頓珍漢な政権が、軍事力が上回っているアメリカでさえ困難なこのミサイル問題をいきなり解決出来るなんて、そんな楽観的な意見がありなのかと疑問に思ってしまう。ミサイルについて真面目に議論してほしいという気持ちはもちろんわかりますが、倒閣や稲田大臣の辞任とは何の関係もないと思います。
さらに言えば今の政権は経済最優先と言ってたわけですが、ミサイル問題は今回の安倍政権誕生以前からあったわけで、ミサイル問題があっても経済最優先と言って経済政策を失敗してきた内閣なわけです。過去を踏まえるなら今ミサイル問題が顕在化してきても、本来なら議論すべきは実はまだ経済になるはずです。実際、経済が良くならなければ、佐藤氏、藤井氏のおっしゃる通り支持率が上がらず、支持率が低いままミサイルへの対処、軍事力での対北圧力などの議論を進めていくのは困難でしょう。
この全体状況を踏まえれば、現政権を倒閣しようがしまいが、議論しようがしなかろうが、北を抑え込むことはほぼ不可能でしょう…。よって、安倍政権の方が次に出てくる政権よりはまだわずかにマシな可能性があるという議論は可能かもしれませんが(小池より舛添の方が被害の度合いでは実はまだマシみたいなレベルの話)、ミサイル問題があるからどうこうという話は(3)の典型ではないかと思います。