評論家の谷田川惣さんが
憲法改正について興味深いツイートをされていました。
まず憲法96条を改正して
憲法改正の発議を国会議員の3分の2から過半数に変え、
そして9条を改正したとする。
そのあと左派リベラル勢力に政権を獲られ、
元の9条を復活されると同時に、
改正条項(=発議のための条件)を5分の4にされてしまったらどうなるか。
(カッコは引用者)
どうするんでしょうね?
谷田川さんのツイートが重要なのは
憲法改正は裏目に出ることだってありうる
という点を指摘されていること。
保守派(の多く)はこの点に十分注意せず、
憲法改正がうまく行ったら、どれだけ素晴らしいか
という点にばかりこだわっている気がします。
けれども保守主義本来の立場からすれば
裏目に出たときのリスクをまず考え、
そのうえでうまく行ったときのメリットを考える
というのが、
正しい手順ではないでしょうか?
エドマンド・バークも「フランス革命の省察」でこう述べています。
いわく。
重大な決断を迫られたときほど、次の三点を尊重せよ。
1)状況をよく見極め、軽率に行動しないこと
2)不測の事態に備え、万全の用意をしておくこと
3)臆病なくらい慎重であること
なるほど、わが国の左翼・リベラルは
いかなる形の憲法改正にも反対
という態度をずっと取ってきました。
その意味で、
左翼側からの改憲など起きるはずがない
と思いたくなるのは分かります。
しかし。
改正のハードル自体を下げる(=発議の条件を緩和する)形で
保守側からの改憲が行われた後でも
左翼・リベラルは「護憲」に固執するはずだと見なしてよいでしょうか?
だいたいこれとは別に
下手に改憲したら、日本の自立が促進されるどころか、対米従属がいっそう深まるかも知れない
というリスクだってあるのです。
詳しくは「愛国のパラドックス」に収録された
「日米協調はなぜ絶対視されるのか」をどうぞ。
それから「バラバラ殺人の文明論」に収録された
「『ラディカリズム保守』のすすめ」をご覧になると
問題の全体像がいっそうハッキリするでしょう。
こう言っては何ですが
9条2項にある「前項の目的を達するため」の一節を削除する
という改憲だって、
論理的にはありうるんですからね。
すると何が起きるか分かりますか?
そうです。
自衛隊が完全に違憲になるのです。
このようなことを心配しておく必要は
本当にないのでしょうか。
ではでは♬(^_^)♬
1 comment
カインズ says:
3月 16, 2015
せめて、参議院議員が公選ではなく、貴族院のように有識者が勅選で選ばれるという仕組みになっていたならば、発議条件の緩和があったとしても、一時の世論(輿論ではなく)に惑わされにくいだけマシだったのでしょうけれどもね。