国内ではナショナリストのイメージが強い安倍総理ですが

じつは海外に行くと

とかく自由主義的、

ないしグローバリズム的なキレイゴトを前面に押し出す傾向が強い。

 

その結果、

自国の利益を抜け目なく追求する他国首脳から

ツッコミを食らうこともしばしば。

 

9月の東方経済フォーラムでは

領土問題そっちのけで

日ロの協力による輝かしい未来を謳ったあげく

プーチンから

だったら、まず無条件で平和条約締結と行こうじゃないか

とサカナにされます。

 

同月の訪米でも

日本は自由貿易の旗手になる!

などと国連総会でぶち上げたあげく

トランプの圧力に屈して

USJTA(日米貿易協定)と称するFTA交渉の開始

を受け入れるハメとなりました。

 

「TAG」なるデタラメを並べてまで

ごまかそうとしたところを見ると

よほど、うしろめたかったものと思われます。

 

まあ、信頼すべき筋からの情報によると

TAGが

Trade Agreement on Goods

(日米物品貿易協定)の略というのは表向きで

実際には

Totally Absurd Gobbledygook

(完全にバカげたお役所言葉)

の略とのことですから

そのかぎりでは筋が通っているのかも知れませんが。

 

(※)記事の内容と直接の関係はありません。

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ならば先週行われた訪中はどうだったか?

 

外務省によれば、訪中の概要は以下の通り。

10/25 李克強総理と懇談

      日中平和友好条約締結40周年レセプション出席

10/26 栗戦書・ 全国人民代表大会常務委員長と会談

      李克強総理と会談

      署名式・共同記者発表

      日中第三国市場協力フォーラムへの出席・挨拶

      北京大学の学生と交流

      習近平国家主席との会談

元のページはこちら。

 

26日の「署名式」とは

通貨スワップ協定をはじめとする12本の国際約束・覚書の署名に

安倍総理と李総理が立ち会う、というもの。

 

で、三つの会談の結果は、

外務省の発表を整理すればこんな感じ。

 

1)首脳同士の往来の頻繁化、および対話・交流の促進で合意。

2)経済分野での協力の促進で一致。

  これにはRCEPの早期締結、

  日中韓FTA交渉の加速化、

  および新たなパンダの供与も含まれる。

3)ODA終了に伴う新たな協力の推進で一致。

4)若い世代を中心とした国民交流の推進で一致。

5)東シナ海の状況をめぐって意見交換。

  海洋・安全保障分野における「具体的な進展」が重要だという認識で一致。

6)北朝鮮への対応、および米中関係をめぐって意見交換。

 

さて、これをどう評価するかですが・・・

 

ご存じの通り、米中関係は最近対立の度合いを強めている。

ならば中国としては当然、

日本への接近、

もっと言えば取り込みを図りたいところでしょう。

 

他方、日本にしてみても

トランプの自国中心主義を考えるとき

アメリカが従来ほど頼りになるかどうかは疑問。

ついでにUSJTAをめぐる一件が示すとおり、

日本にたいする要求も厳しさを増している。

 

旦那(アメリカ)に冷たくされるようになった現地妻に

別の旦那(中国)が「仲良くしよう」と声をかけている構図ですね。

 

「何の話か分からないアナタ、これを読んでないでしょう!」(※)お姉さまの発言です。

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となれば現地妻としては

トランプ旦那から「おい、浮気したな!」と責められない範囲内で

習旦那とも親しくなり、

「何でもアンタの言いなり ってわけじゃないのよ」

と自己主張したいところでしょう。

 

もっとも習旦那は習旦那で

荒っぽいところがありますから

襲われたりしないよう

予防線も張っておく必要がある。

 

わが国のやったことは完全にこれなんですね。

 

たとえば産経ニュースによると、

外務省幹部はこうコメントしています。

 

中国と対峙する米国に

日本が戦略的に中国と近づいているとみられてはいけない。

あくまで関係改善だが、日本は米国の従属ではない。

元の記事はこちら。

 

これってずばり、

うまく二股かけて、自分の立場を強くしたい

というオンナの計算そのものじゃないですか。

 

実際、韓国紙「中央日報」の日本語版にはこんな記事が。

 

安倍首相の側近である谷内正太郎国家安全保障局長は

16日に米ワシントンDCで

ホワイトハウスのボルトン国家安保補佐官に会った際に

安倍首相の訪中意図を説明した。

安倍首相も先月16日の日米首脳会談の際に

トランプ米大統領に中国と(の)第三国インフラ事業協力計画などを

あらかじめ説明したという。

日中の密着が米国の気分を害し米国に対抗する姿に映ることを懸念したためと分析される。

元の記事はこちら。

 

しかるに習旦那も、

そんな思惑を見通していた気配が濃厚。

 

なんと26日午前、

習近平は南部戦区を視察、

南シナ海において

いつでもすぐに戦えるようにせよ!

と檄を飛ばしているのです。

関連記事はこちら。

 

中国の国営放送CCTVなど

まずこのニュースを取り上げ、

そのあとで安倍総理との会談を紹介したとか。

しかも、紹介の仕方たるや・・・

 

CCTVは、苦渋に耐えながら

習近平の高飛車な日中関係に関するお説教を

ひたすら聞いている安倍首相の表情をクロースアップし続けた(。)

(中略)

他の日本側参加者も一様に不快感が出ているし、

中国側から見れば「さあ、どうだ!参ったか!」という意思が明確に透けて見える。

北京における全ての行程を通して、安倍首相の嬉しそうな顔は、一度もなかった。

 

今回の訪中では

中国側は歓迎ムード一色だという話もありましたが、

どうも真相は違うようです。

 

会談後、産経ニュースは

熱烈な歓迎ムードに乗せられることなく、

ウイグル族弾圧など中国の人権問題や、

東シナ海・南シナ海での軍備拡張など懸念を率直にぶつけ、

冷や水を浴びせたことは特筆に値する

と論評していますが

このような評価がどこまで妥当かは、

こうなると疑わしい。

 

歓迎ムードそのものが「事前のおだて」にすぎなかったうえ、

総理が懸念をぶつける前に

習旦那が先回りして威嚇してみせた。

これが真相ではないのか?

 

「はて、どうアウフヘーベンしたものか・・・」(※)個人の感想です。

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片や現地妻、じゃなかった安倍総理は

競争から協調へ

お互い協力のパートナーとして脅威にならない

自由で公正な貿易体制の発展

なる「新3原則」について

李総理と確認した旨を発言。

これからの日中関係の道しるべにしたいそうです。

 

産経ニュースはこれについても

今後、中国が、「脅威」となる行動を取ったり、

自由・公正な貿易を阻もうとした場合、

この新3原則が「錦の御旗」となりえる

と評価。

 

と・こ・ろ・が。

同行筋は「三つの原則という言い方はしていない」と公式に否定。

中国側の説明にも「三原則」の言葉はない。

首相が外務省とすり合わせずに会談の成果としてアピールした可能性がある。

元の記事はこちら。

 

錦の御旗はどこにあるの??

・・・って、三沢カヅチカの歌 「逆賊ブルース」そのものじゃないですか。

 

「オトコを手玉に取りたいなら、ちゃんと準備しなさいったら」(※)お姉さんの感想です。

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こんな調子ですから、

訪中の実態がどんなものだったかも

知れたものと言わねばならない。

 

要するに

巧みに二股かけるつもりで

手玉に取られた恐れが濃厚です。

 

通貨スワップも再開されましたし、

RCEPや日中間FTAも推進される。

 

また日中第三国市場協力フォーラムでは

52の覚書が交わされたそうですが

これも要するに

一帯一路への実質的な参加でしょう。

 

まあ、三橋貴明さんがブログ記事で述べているところによると

あくまで日中の民間企業間での協力であり、基本的に一帯一路とは関係ない

というのが

政府の公式見解のようですが

これについては

「基本的に」という留保がついている以上、

一帯一路とは関係ないという見解はただの詭弁

と返すのが正しいでしょうね。

三橋さんの記事はこちら。

 

・・・そして私の見るところ、

問題は例によって

自由主義的、

ないしグローバリズム的なキレイゴトを並べた点にある。

 

存在しない錦の御旗こと

辛酸原則、

いや、新三原則がその証拠。

 

たとえば

競争から協調へ

と言いますが

これは日本が中国の言いなりになる形でも達成される。

 

お互い協力のパートナーとして脅威にならない

もそうです。

 

習旦那の言うことは聞いて当たり前、

ときどき怒鳴られたり、ぶたれたりするけど

それはあの人なりの愛情表現なんだ。

そんなふうに現地妻が思い込んだら

もはや旦那は「脅威」ではありませんからね。

 

「だからストックホルム症候群だって言っているだろうが!」(※)個人の感想です。

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ついでに中国にとっては

世界規模の経済的覇権の確立こそ

自由で公正な貿易体制の発展ということになるのではないか。

 

覇権国たらんとする国にとって

ナショナリズムの徹底と

グローバリズムの徹底は

何ら矛盾しないかも知れないんですからね。

 

要するにこの辛酸原則、

身を守るための予防線になるどころか

レイプを正当化する口実にだってなりかねない。

 

・・・キレイゴトしか言えないオンナが

荒っぽい男を手なずけようとすることが

そもそも間違いなんですよ。

食い物にされるのがオチに決まっている。

 

中国のような覇権主義の国と

本当にパートナーシップを確立したいのなら

キレイゴトは捨てて

ナショナリズムというホンネに徹するべし!

 

そしてちゃんとした護身術、

つまりは軍事力を身につけるべし!!

 

これが本日の結論でありました。

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ではでは♬(^_^)♬