まずは告知から。
次の日曜日、3/4に
TOKYO MX 「激論! サンデーCROSS」に出ます。
例によって、後半の特集コーナーに登場しますが
今回のテーマは「徴兵制と国防(仮)」。
で、共演はなんと田母神俊雄・元航空幕僚長!!
・・・これは面白くなりそうです。
乞うご期待。
(↓)1月に出たときの集合写真です。
それから3月の「FRONT JAPAN 桜」は
16日と23日の予定。
共演は16日が saya さん、
23日が佐波優子さんとなります。
(↓)このメガネ、平昌五輪で話題になった韓国カーリングチームのお姉さんと似ている気が。
なお16日の放送には
スペシャルゲストが登場する予定です。
そこのところもよろしく!
さて。
2月26日、
ハフポストにこんな記事が出ていました。
マンガ単行本の売れ行き、過去最大の落ち込み。理由は、電子版だけではなかった。
出版科学研究所の調査によると
2017年の漫画単行本の推定販売金額は
紙=1666億円
電子=1711億円と
ついに電子が紙を追い抜きました。
同時に紙の単行本の販売額は
前年比で14.4%減。
1978年に集計を初めていらい、最大の落ち込みだそうです。
これについては
2016年から2017年にかけて
長期連載の人気作が次々に完結、
それに代わるヒット作が出ていないこともあるのだとか。
いくら電子が伸びているといっても
一年で14.4%減というのは穏やかではありません。
しかも漫画編集者の荻野謙太郎さんが
ツイッターで述べるところによれば
電子の伸びにも裏があるのです。
どうぞ。
電子書籍が売れるのは手軽でお得だからです。
特に出版して時間が経った本はガンガン安売りされます
電子書籍市場が伸びるということは、紙から電子に移行する人が増えるということ。
そして紙の単行本を刊行するリスクが上がることを意味します。
紙の単行本の初版部数およびその消化率は
いまでも連載継続の可否を問う重要な要素で、
電子書籍はそれに間接的にダメージを与えてきます
新聞記事等はトータルでならしているため
現場の数字が見えないのですが、
新人~中堅の作家の出すコミックス新刊の売上が、
ここ数年恐ろしい勢いで減っています(電子書籍も加えた数字です)。
電子書籍市場の過剰な伸びの正体は
「面白さが保証されており、
かつセールで大幅に値引きをされている過去作のまとめ買い」であって、
新作であるがゆえに面白さの保証がなく、
値引きもしにくいコミックスの新刊はその恩恵を受けにくい、
というのが私の推測です。
荻野さんの主張を要約すれば
漫画における電子書籍の伸びは
一種、採算を度外視した大棚ざらえの産物であり、
新作の売上げをむしろ阻害しかねないものである
ということになるでしょう。
実際、電子版の漫画の中には
第一巻は無料
というサービスも増えている。
しかしこれは
漫画(少なくともその一部)はタダで読めて当然
という意識を広めることにならないか?!
現在、漫画の違法無料サイトが
大きな問題になっているのも
こう考えると複雑な意味合いを持ってくる。
著作権に詳しい弁護士の福井健策さんは
海賊版サイトへの最も有効な対策は
漫画を愛する読者たちが
〈作家や出版社を守るためにも、海賊版サイトは無料でも利用しない〉
というモラルを持つことだ
と指摘します。
しかるに現実は
なんと出版社の側が
海賊版サイトで漫画を読んで何が悪いという発想を
助長しかねないことをやってしまっているのです。
大丈夫か、日本の漫画文化!!
それどころか、今やこんな事件まで起きている。
漫画家の宮尾岳さんが
さる2月15日、ツイッターにこう書きました。
働いたことに対価を求めるのは全ての職業の常識だ。
漫画の海賊版とは「創作することに何の努力も行動もしなかった奴が、
無断でタダでばら撒き、作家を殺していく」という悪業だ。
それを喜んで読むと言う事は「悪業の後押し」だよ。
泥棒にもっと盗んでこいと応援してるんだ。
するとあるユーザーから
そういうこと言うなら無料で見せられるよう努力してください。
企業努力や作家の努力が足りません
という返答が来たというのです!!
タダで作品を公開して、なお採算が取れなければ努力不足って
どういうブラックな発想だ?!
なんというか、
骨の髄までデフレマインドが染みこんでいるような話ですが
漫画と言えば長らく、出版界のドル箱だったはず。
それがなぜ、かくも危機的な事態となったのか?
長くなったので、続きは次回としましょう。
(↓)それまでは、この4冊をどうぞ。
ではでは♬(^_^)♬
5 comments
マゼラン星人二代目 says:
3月 2, 2018
>そういうこと言うなら無料で見せられるよう努力してください。
>タダで作品を公開して、なお採算が取れなければ努力不足
言うほど非常識な要望ではない。
価格転嫁でユーザーのコストを免減するということは(何もGoogleの検索システムなどを持ちださずとも)昔からざらに行なわれている。
試みにガンダムのことを考えてみてください。
おもちゃ会社が作品制作をファイナンスし、プラモデルや超合金を売って資金を回収する。結果、視聴者はビタ一文払うことなく作品を享受できるようになっている。
(そのことで作品内容がどの程度スポイルされたかは見方によるだろうけれど、どれほど厳しくみても、日本アニメ史上の金字塔としての地位を疑う者は、もはやいないでしょう)
momo says:
3月 2, 2018
〉働いたことに対価を求めるのは全ての職業の常識だ。
働いても正当な対価を受け取れない生産者諸君に何を言っとるか。正当な対価を受け取れないなら、他者に対してもそれを求めるなり、他者に対して正当な対価を与えられないのは当然でしょう。まさにデフレスパイラル。
そういう人たちが漫画文化を破壊しかねないのは事実だとしても、その根本に言及しない限り、絶対にいい方向には転換しないでしょうね。
漫画文化を守りたいのならこう言うべきだ。
「デフレ脱却して生産者が正当な対価を受け取れるようにしろ」
カインズ says:
3月 2, 2018
基本的に値引きされることのない紙の本は、長引くデフレのせいで割高に感じられるのでしょうか。
私も電子書籍を購入し始めた当初は、2割引くらいは当たり前、ポイント還元と上手く併用すれば更に安くなんていう状況に驚きました。3巻くらいまで無料だったり、破格のセールをしていたりするのを見かけたりもします。「採算を度外視した大棚ざらえの産物」は、漫画会における子殺しと言えるかもしれませんね。
あとはweb漫画なんかだと、毎回更新を追いかけていれば全部無料で読めてしまうというところもあるので、ますます漫画の価値というものが低下してしまっているような気がします。
マゼラン星人二代目 says:
3月 2, 2018
>特に出版して時間が経った本はガンガン安売りされます
それは電子書籍の特性でも何でもなくて、むしろ、古書市場(何ちゃらoffとか)からのコストダウン圧力によって規定されてのことではないでしょうか。
玉田泰 says:
3月 12, 2018
今、漫画「ワンピース」の公式アプリをタブレットで使っています。そのアプリの内容が凄くて、毎日一話、オールカラー、無料で読めてしまいます。僕自身は単行本を買おうとする意志など更々なく、精々がジャンプでの連載に追いついたらどうなるのか心配するくらいのものです。
ですが、客観的に考えると作者や編集者が、毎週心血を注いで創り上げる作品が無料配信って・・・。
「ワンピース」くらいの国民的ヒット作ならビジネスとして成り立つのかも知れませんが、ありがたく読ませていただく身として、複雑な心境です。