12月15日と16日の記事では
「西部邁ゼミナール」年末スペシャルの収録をめぐる様子を
ご紹介したものの、
西部先生が顧問をされている「表現者」の最新号(58号)が
MXエンターテインメントより昨日、発売となりました。
今回の特集テーマは「『ポツダム』を超えて」。
ここで言うポツダムは、
第二次大戦後における世界秩序の青写真とも呼ぶべき、
いわゆる「ヤルタ・ポツダム体制」を指します。
しかるに注目したいのは、
この体制が「ポツダム宣言」という宣言から始まったこと。
いかなる秩序や体制も、
最初は何らかのビジョン、
つまりは夢にすぎないのです。
その意味で、夢は生きる指針を与えてくれるもの。
しかし同時に、
夢は人を滅ぼしかねないものでもある。
というわけで、私の連載「一言一会」のタイトルは
「夢に滅ばされる人々」。
例の映画「マップ・トゥ・ザ・スターズ」(12月20日公開)を題材に、
われわれは「自由」という夢によって滅ぼされつつあるのではないか?
という点を考えます。
ちなみに「マップ・トゥ・ザ・スターズ」では
フランスの詩人、ポール・エリュアールの詩が繰り返し語られます。
タイトルは、ずばり「自由」。
じつはこの詩、
第二次大戦中、対独レジスタンスを呼びかけるために書かれたのです。
連合軍はイギリスの軍用機を使い、
ドイツに占領されていたフランスに、
この詩を散布したとか。
つまりこれも「ポツダム」につながっているのです。
むろん「マップ・トゥ・ザ・スターズ」を理解するガイドとしても
役に立つと思いますよ。
素晴らしい映画ですが、いささか難解なところがありますので。
よろしければ、ぜひどうぞ!
ではでは♬(^_^)♬
3 comments
メイ says:
12月 17, 2014
「自由」の意味も色々でしょうが、戦後的な「自由」というのは、何なのでしょうね?
「貴方たちは自由なんだよ」、と誰かに騙されているような気すらします。
昔は、祝日に国旗を掲げる事が当たり前でしたが、今では親も「何だか心配で・・」と言い、ご近所にも国旗はあまり見られなくなりました。マンションが増えたこともあると思いますが、何か、社会的な圧力を感じているように思います。
国防について家族と話し合う時に、「あまり大きな声では言えないけどね」と言ったりするのも、自由では無い気がします。
日本人がアイデンティティーを持たず、弱者でいる限りにおいて、自由でいさせて下さる、という事なのでしょう。そして、その「自由」というのも、どちらかと言えば「自分勝手」に近い「自由」であるような気がします。
kinkiadult says:
12月 17, 2014
20日にチャンネル桜の討論番組に出演されるようですね。次は「安倍さんの言語感覚は意味を為してない」とか「戦後体制解体は馬鹿でも出来る」とか言わないほうがよいと思います。社長がこの二つの意見に対して論理的に反論するというのであれば、言う意味はあると思いますが、「政治家でそんな人いたの?(怒)」と返されるようなら、意味はありませんからね。チャンネル桜の討論!は衛星放送・YouTube・ニコニコ動画、合わせて10万人程の視聴者がいます。この機会に是非とも保守の本質というものを視聴者に訴えてほしいです。これができるのは佐藤さんしかいませんからね。お願いしましたよ。
SATOKENJI says:
12月 18, 2014
コメントありがとうございます。
収録は17日、無事に終わりました。
いい雰囲気でしたよ。
もっとも、一つだけ補足させて下さい。
私は「戦後体制解体は馬鹿でも出来る」と思ってはおりません。
それどころかこの体制は、予想を超えて強靱なものだと考えています。
「従来の体制をただ解体するだけなら、何の知恵もいらない」という趣旨の発言なら、
述べたことがあるかも知れませんが、意味合いが異なるのはお分かりいただけるでしょう。
ちなみにこれは、「フランス革命の省察」に出てきたエドマンド・バークの言葉です。