少し前の話(9月1日)になりますが、
安倍総理の経済政策ブレーンの一人である
本田悦郎・内閣官房参与が、
消費税の10%引き上げを2017年4月まで延期すべきだと語りました。
現在の引き上げ予定は2015年10月ですから
一年半、先送りせよと言ったわけです。
理由はもちろん、
今年4月に行われた8%引き上げの(悪)影響が
予想以上に大きかったため。
そのほうがいいと思いますね。
第二次安倍政権のあり方には、
「改革によって日本をどんどん変えてゆくことこそ、日本を取り戻して保守することである」
とでも言わんばかりの、矛盾した姿勢があります。
つまりは相反する二つの方向性を同時に追求して
なお物事が収まるべきところに収まるだろうと考えるという、
摩訶不思議な傾向が見られるわけですが、
経済政策においてこれは
「経済成長と財政再建を、優先順位をたえず入れ替えつつ一緒くたに追及する」
ことに行き着いているようです。
詳細な議論は、経済を専門とするみなさんにお任せしますが
ここで思い出されるのがエドマンド・バークの名台詞。
いわく、
乞食の小細工とも呼ぶべき財政の裏技を駆使すれば、
社会秩序を根底からひっくり返しても国家は維持できるし、
財産をめぐる所有権も安泰だ。
こんな錯覚に陥った者たちは、祖国を台なしにすることで、
悲しくも貴重な教訓を後世に残すだろう。
教訓とはこうである──
メチャクチャな政治は大惨事を引き起こす。
とりわけ傲慢で近視眼的、ついでに了見の狭い「英知」というやつに気をつけろ。
(「新訳 フランス革命の省察」、306ページ)
毎度おなじみ、この本です。
ちなみにバークが「乞食の小細工」なんて表現を
ホントに使ったの? と思っているアナタ。
もちろん、そうです。
原文は「beggarly contrivances」なんですから。
Beggarly は「乞食のような、卑しい、ケチくさい」。
Contrivance は「工夫、もくろみ、計略」。
「乞食の小細工」は、ほぼ直訳なのです。
ついでに「こじきのこざいく」と、
「こ+サ行の濁音」を繰り返すことで、
たたみかけのリズムが出るようになっています。
サ行の順番は「さしすせそ」ですから
「こじ」より「こざ」のほうが一音上がっている。
しかるに音楽において
同じフレーズを音階を上げつつ繰り返す
というのは、スピード感を出すためによく使われるテクニックです。
たいていは半音ずつ上げます。
そうですよね、Sayaさん?
逆に「こ+サ行の濁音」につづく音は、
「こじき」が「き」で、「こざいく」が「(い)く」。
こちらはカ行を一音下がっています。
つまりサ行の上昇とカ行の下降を組み合わせることで
混乱の印象をつくりだし
次の「財政の裏技」へとつなぐ次第。
ここも「ざいせいのうらわざ」と、
「ざ」で始まり「ざ」で終わる構造になっているのにご注意。
ついでに「財政の」は、母音が「あ(=ざ)」から「お(=の)」へと下がってゆくのにたいし、
「裏技」は「う」から「あ(=ら、わ、ざ)」へと上がってゆく。
母音だけ抜き出してみれば
「財政の」が「あ・い・え・い・お」で
「裏技」が「う・あ・あ・あ」ですからね。
「乞食の小細工」と「財政の裏技」は
音の構造から見た場合
サ行の濁音、とくに「ざ」で貫かれている一方、
「上がって下がって、下がって上がる」ようになっているのです。
終始一貫、混乱状態というわけ。
言葉の意味は、音の響きと切り離せないのです。
文章を見たら譜面と思うべし。
では、話を消費税に。
ついにブレーンの間からも
税率アップをためらう声が出てきたわけですが
面白いことに、
世間では「消費税10%」をいやがる声があまり聞こえてきません。
それどころか安倍内閣の支持率は、
今回の改造人事によって大きく上がったりしているわけです。
消費税が10%になってもいいと思えるほど、日本人の多くは太っ腹なのでしょうか?
いやいや、そうとは信じられません。
9月9日の記事「さびれゆくニッポン」
(政治・社会カテゴリー)と
9月10日の記事「日本は本当に取り戻せるのか」
(政治・社会カテゴリー、および文化・アートカテゴリー)でも触れたように
わが国はもはや、足下から相当に疲弊しています。
ついでに1989年、消費税が最初に導入されたとき、
どれほど反対論が強かったことか。
あのときの税率なんて、わずか3%だったのですぞ。
子供が100円持って駄菓子屋に行ったら、
今日から103円だと言われて
泣いて帰ってきた。
そんな都市伝説じみた話が、まことしやかにささやかれたくらい。
(上の行、「まことしやか」「ささやかれた」で、また同じ手を使ったのが分かりますか?
ただし「Saya」が隠し言葉になっているのは偶然です。念のため)
で、2014年秋、
どうして日本人は消費税10%を淡々と受け入れているように見えるのでしょうか。
これについての仮説を展開しようと思ったのですが
長くなったので、続きは明日。
ではでは♬(^_^)♬
11 comments
マゼラン星人二代目 says:
9月 14, 2014
増税延期になるとすれば、それは歓迎すべきだとは思うのですが、安倍さんにそれが出来ますかな。
今回、景気悪化を理由に延期するということは、先の増税の政策的失敗(ひいては自らの政治責任)を自ら認めることとほぼイコールになるはずなのですが。
本当に延期するとなった際、安倍さんはどんな言いわけを用意してるのでしょうか。
一財務官僚の暗躍を面白おかしく語りたおすというのは、酒場のヨタ話や床屋政談としてはいいかも知れないが、官邸記者会見の場でやれる事とは到底思えない。
akkatomo says:
9月 14, 2014
こういう時便利な言葉が日本にはあります
撤退ではない!転進だ!ってね
マゼラン星人二代目 says:
9月 14, 2014
「敗戦ではない、終戦だ」というのでもいいかも知れません。
johon doe says:
9月 14, 2014
ゴジラ対ヘドラのヘドラをやっつけろに歌詞にそっくりな様相を呈してきた気がします・・・・
SATOKENJI says:
9月 15, 2014
♬水銀、コバルト、カドミウム・・・のアレですか?
しらす says:
9月 15, 2014
単純に、前回の消費税アップの時も、負担の増え続ける社会保障費!としてのアップなんだと喧伝しているからでしょう。
実際は法人税減税のバーターだっていうのに。
日本は年寄りの国。福祉、社会保障費がこのままじゃあやばい。困窮する。だから皆平等に負担してくれって言われて喜ぶのは
その福祉の享受者である団塊以上の年寄りです。この人たちが有権者の最大パイを締めている。
そういう事ですよ。国民が太っ腹なのではなく、子供世代、孫世代に広くあまねく、負担を強いる事に何ら疑問を感じない連中が増えているという事だと思いますよ。新聞やテレビの世論調査に協力できるのも時間のあるその世代でしょうし。
それにしても、sayaさんお好きなのは個人の自由だし、しかもブログなんてその個人の個人のための空間でしょうから、問題ないんですが、読んでて気持ち悪いですよw
SATOKENJI says:
9月 15, 2014
あなたが真に気持ち悪く感じているのは増税だと思いますww
しらす says:
9月 16, 2014
あらあら、返信もらっちゃったw
いや、ものすごくいろんな事に造詣深い先生でも、あのレベルの歌い手でいいんだなあって(ファンの人にごめんなさい)ちょっと不思議だったもんで。先生のご著書のファンで、こちらのブログを訪れてみて、あらゆるトピックで彼女の名前が出てくるのがおかしかったものですから・・・w
ここは佐藤さんの空間ですから、思う存分気持ち悪くていいんですけどね♪
もー says:
9月 16, 2014
言葉の選び方に、その人の性向が表れているように思えます。
ある番組で、藤井さんと日下さんが北海道への投資について言い争いになった時、司会の方が止めにはいるまで周りの人達は知らないふりをしているように見えました。私はそのことに対して嫌悪感を感じて、今回も一つくらい当事者の2人以外から意見があってもいいのにと思い、横から口をはさみました。
内容についてはわかりません(しらすさんが正しい可能性がないわけではないので)。
しかし、しらすさんの言葉の使い方・選び方はまともではないと思います。
しらすさんの「よくもまあこんな社会を作り上げてくれたなあ」という思いは共感できますよー。
しらす says:
9月 17, 2014
いや、だから、ファンの方どうもすみません。ときちんと断っているんですがね。
トピックの感想として、本質とは違うどうでもいい部分なんだけど、まあ、ぶっちゃけなんだか、気持ち悪いw
と、私がコメントを残し、
先生から、余裕のご返信コメントを頂き、
それについて、再び、ご返信いたみいります、まあ、ど〜ぞ、ど〜ぞw、と私がコメントした。
どうでもいい話がどうでもよく終ってるところに、なんでまた、藤井先生と日下先生の例まで持ち出して絡んで来るんだろう。
貴殿には、wは必要ないですね。気持ち悪いです。まともではないって。とても強い言い方をいきなりしてくるんですね。
いやはや、気持ち悪い。
もー says:
9月 17, 2014
自分が正しいと思うことを言わない例として上の話題を持ち出しました。これが不適切だったなら申し訳ありません。「社会通念に照らして、今回の場合は口を挟むべきではなかった」等の理由があれば、すみませんでした。
出しゃばった原因
・絡みたくないけど、自分の意見を述べたいという気持ちの方が大きかった。
・私の周りの社会人も、「自分(とその周り)だけ良ければいい、面倒なことには関わりたくない」と思っているような人が多くて、私はそれが嫌で仕方なかったこと。
もし、しらすさんがそのような言葉遣いがまかり通るような社会に属していましたら、ごめんなさい。