先週、ニューヨークはトランプ・タワーで
アメリカ次期大統領ドナルド・トランプと
1時間半にわたって会談した安倍総理は
周囲にこう語ったと伝えられます。
会談は非常にうまくいった。
これは大丈夫だなと感じた。
彼は人の話をよく聴くタイプで、うまくやっていけると思った。
(攻撃的だった)選挙中の彼とは別だということだ。
(安全保障面でも経済面でも)信頼関係を絶対に築けると確信した。
さらに記者団にも、トランプについて
「信頼できる指導者と確信した」と語りました。
「信頼できる指導者」とは
具体的にいかなる指導者かという点には
いろいろな見解がありうると思いますが、
言動がブレないことが
重要な条件として挙げられる点には
みなさん、異論はないと思います。
すなわち、
1)自分の発言や行動に、できるだけ一貫性を持たせる。
2)一貫性を崩さねばならない(=発言や行動を変えねばならない)ときは、
なぜそうするのか、納得のゆく理由を提示する。
ということですね。
となると、
当選後のトランプは、選挙期間中のトランプとは別だ
という総理の認識は
トランプは信頼できる指導者だという評価と
認知的不協和をきたしている気がするのですが
これはまあ、脇に置きましょう。
なぜならトランプは
当選後の自分も、選挙期間中の自分と決して別ではないこと、
すなわち
自分が信頼できる指導者であることを
証明しようとしているように見受けられるのです。
どうぞ。
米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)次期大統領は21日、
日米など12か国が署名した環太平洋連携協定(TPP)について、
選挙戦の公約通り「就任初日に」離脱を通告する考えを明らかにした。
トランプ氏は就任後100日間の
優先事項の概略を述べた動画メッセージで
「われわれの法を回復し、雇用を取り戻すため、
就任初日に大統領令で実行できる行動のリストを作成するよう、
私の政権移行チームに指示した」と説明。
その上で「貿易に関しては、
わが国に災難をもたらす恐れがある環太平洋連携協定からの
離脱の意思を通告する。
その代わりに、雇用と産業を米国に取り戻す公平な2国間貿易協定の交渉を進めていく」
と言明した。
!!!!\(^O^)/これぞ「信頼できる指導者」の発言\(^O^)/!!!!
・・・という感じではありませんか。
片や安倍総理は、
21日にブエノスアイレスで行った記者会見で、
TPPをめぐってこう発言。
米国抜きでは意味がない。
再交渉が不可能であると同様、
根本的な利益のバランスが崩れてしまう。
してみると
ドナルド・トランプが信頼できる指導者であるかぎり
もはやTPPには意味がないことになります。
そしてトランプが信頼できる指導者だというのは
安倍総理自身の評価でもあったのですから、
この発言は
今国会でTPPの批准をめざすなど
まったくナンセンスであることを
みずから認めたものと言えるでしょう。
ところが!!
安倍総理、こう発言してもいるのです。
今国会で(TPPの)承認を得られるよう
全力で取り組むとともに、
あらゆる機会を捉えて、
ほかの署名国に国内手続きの早期の完了を働きかけていく。
????\(◎o◎)/なんで?\(◎o◎)/????
トランプは信頼できる指導者なんでしょう?
そのトランプが大統領就任初日にTPP離脱と明言しているんですよ。
そしてアメリカ抜きのTPPに意味はないんでしょう?
というか、そもそも成立しないでしょうに!
どうもこうなると
安倍総理が信頼できる指導者かどうか
疑わしくなってしまいます。
この二つの発言、
明らかに認知的不協和をきたしていますので。
ちなみに菅義偉官房長官は22日、
TPPについて
まだ(オバマ)現政権が続いているわけですから、しっかり見守っていきたい
と発言。
しかし長官、
ホワイトハウスはすでに先々週、
オバマ政権下におけるTPP批准をギブアップしていますよ・・・
ではでは♬(^_^)♬
(↓)というわけで、日本は認知的不協和の未来に向かう恐れが強いのです。
6 comments
マゼラン星人二代目 says:
11月 23, 2016
>彼は人の話をよく聴くタイプ
何と軽率で早計な評価か。
どんな暴君でも硬軟使いわけるのはわかり切ったことだろうに。
(ヒトラーもビアホールで一席ぶつときと、大学などで講演する時とで、語り口を変えて臨んだと聞いたことがある。ソースはうろ覚え。多分シュペーアを扱ったドキュメンタリーだったと思う)
SATOKENJI says:
11月 23, 2016
きっと、あの評価は本心ではなかったのだよ。
マゼラン星人二代目 says:
11月 23, 2016
>「信頼できる指導者」とは
>具体的にいかなる指導者かという点には
>いろいろな見解がありうると思いますが、
ここでいう「信頼できる」とは、
「なにもかんがえずについてゆくことができそう。なんだかたのもしい」
ということを漢熟語で尤もらしく言い繕ったものと見るべきです。
で、そういう判断をくだすにあたっては、整合性の有無ということ(「言動がブレないこと」「一貫性」)は基準になりそうにもありません。
ここで大きな役割を果たすのは、むしろ、「雰囲気」とか「押しだし」とか「空気」とか「気分」とか「オーラ」といった、えも言われぬ何ものか、の類なのではないでしょうか。(「言葉の意味はよくわからんが、とにかくスゴい」というやつ)
。。。
>きっと、あの評価は本心ではなかったのだよ。
いや、そんな動物的勘でも霊感でも「自前の判断」があるだけまだ手の施しようがあって、本当は「ついてくしかないからついてゆく」の結論ありきでそこから逆算されてすべての語りが決まってくる(そこで「人の話をよく聴く」「信頼できる指導者」というあやしげな前提を死守することが要請される)、というだけのことなのかも知れません。
GUY FAWKES says:
11月 23, 2016
>いや、そんな動物的勘でも霊感でも「自前の判断」があるだけまだ手の施しようがあって、本当は「ついてくしかないからついてゆく」の結論ありきでそこから逆算されてすべての語りが決まってくる(そこで「人の話をよく聴く」「信頼できる指導者」というあやしげな前提を死守することが要請される)、というだけのことなのかも知れません。
マゼラン星人二代目さんのご意見を聴いて改めて考えると、日本とは本当に「本音と建前」文化の国なのか?
ふと、そんな素朴な疑問が頭に浮かびます。
思えば、明治維新以降の近現代日本はどうも政治や経済の領域にあっては
妙に馬鹿正直な一面性を維持していることの方が多いと感じるのは気のせいなのでしょーか(苦笑)
あ、そういえば先日のチャンネル桜の討論での佐藤先生、ようやく活気が漲って本調子が見えておりましたね。
明日は寒波襲来で積雪も伝えられていますので、皆さまも呉々もお気をつけくださいませ。
せい says:
11月 24, 2016
もはや心までグローバリストになっているとすれば、安倍総理のいう「信頼できる」とは、陰謀論的になっちゃいますが大統領を裏から動かすキングメーカー的な存在には従うだろうと判断したから安心したのではないでしょうか。馬淵さんがチャンネル桜で仰ってましたが、大統領になるまでトランプは暗殺の危機だそうですし。という訳で、安倍総理の発言は全く違和感を感じません。もはやこれまで。
玉田泰 says:
12月 5, 2016
今回の記事の表題の多層性には、いつにも増して圧倒されます。「信頼できる指導者」とは総理のことなのか、トランプのことなのか、肯定的なのか、嫌味なのか、全部まとめてぶち込んだ感じですねw
「信頼関係を絶対に築ける」とは、ただ単にお友達になれそう…というだけの意味しか持っていないのかも知れません。意外と国家の指導者の外交もそこが重要だったりしますから。
所詮、人間の考えることですからね。