2025年の国際博覧会(万博)

大阪で開催されることになりました。

 

1970年に開かれた前回の大阪万博、

2005年の愛知万博(愛・地球博)につづく、

国内3回目の大規模な国際博覧会となります。

関連記事こちら

および、こちら。

 

2025年の5月3日〜11月3日、

大阪湾の人工島・「夢洲(ゆめしま)」で開催。

「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに

健康・長寿の実現に資する万博をめざすのだそうです。

 

155ヘクタールの会場は

各国のパビリオンが並ぶ「パビリオンワールド」、

水上通路とVIP迎賓施設のある「ウォーターワールド」、

太陽光発電施設などを活かした「グリーンワールド」

の三つに分かれるのだとか。

 

菅義偉官房長官は25日、

竹中平蔵氏との対談でこうコメント。

 

2020年東京五輪後の一つの大きな目標ができた。

東京と大阪を考えたときに、大阪は地盤沈下と言われ続けた。

大阪、関西圏の活況にはものすごく大きなインパクトがある。

 

国全体が1つになって誘致活動をした。

2020年東京五輪・パラリンピックに刺激される形で

大阪で万博をやりたい。

大阪に1つの核、目標ができた。

元の記事こちら。

 

たしかに

2020年東京でオリンピック、

2025年大阪で万博

という今回の流れは

1964年東京でオリンピック、

1970年大阪で万博

という

高度成長期の流れとそっくり同じ。

 

そのかぎりでは

戦後日本が最も輝いてきた時期を再現する形になります。

 

高橋洋一氏もこうコメント。

日本の2大都市による国際社会への再アピールの機会と言えるだろう。

どれほどの効果が期待できるのか、という批判的な声もあるが、

大阪の都市開発は1970年の万博が起爆剤になっている。

特に都市交通網の整備が著しかった。

元の記事こちら。

 

なるほど、なるほど。

ついでに1964年東京五輪が

東京の都市開発(つまりインフラ整備)のみならず、

東海道新幹線の開業を推進したのも事実です。

 

ただし高度成長期における五輪と万博が

開催都市のインフラ整備に貢献し、

成長と繁栄の気運を盛り上げたからといって

五輪と万博をやれば

成長と繁栄の気運が甦るという話にはならない。

 

前回の場合、

成長と繁栄の気運は

五輪や万博とは関係なく存在していました。

なにせ高度成長期(=実質の成長率が年10%前後)なんですから。

 

日本自体に勢いがある、

そのような状況で国際的なイベントを開催すれば

たしかに勢いはいっそう強まるでしょう。

 

し・か・し。

 

現在のわが国に、そんな勢いはありません。

成長と繁栄の気運どころか、

良くて停滞、悪ければ衰退の気運が満ちているではありませんか。

 

そんな状況でも

国際的イベントを開催(しさえ)すれば

成長と繁栄の気運が生じるというのは本当か?!?

 

因果関係がアベコベになっているんじゃないだろうか。

Exif_JPEG_PICTURE

 

だいたい菅官房長官、

2020年東京五輪後の一つの大きな目標ができた

などとおっしゃいますが

ハッキリ言って、これは不吉としか言いようがない。

 

東京五輪は当初

「世界一カネのかからない五輪」とか言われ

経費は8000億程度ですむとかされていたのに

いつの間にか、それが3兆円を超える可能性まで出ているのですぞ。

関連記事こちら。

 

ボランティアをめぐるブラックぶり

(医師や看護師まで無報酬だそうです)や、

サマータイムにまつわるドタバタなど、

今や開催する前から総崩れの感がある。

関連記事こちら。

 

ついでに五輪開催後、

わが国が深刻な不況に陥る恐れが強いのは

みなさんご存じの通り。

 

で、そんなオリンピックに刺激される形で万博をやりたい、だって?

 

「だから末路は爽快だって言ってるじゃないの」(※)お姉さまの発言です。

COVER+OBI

うなずいたアナタはこちらをクリック!

 アニメから sayaさんの熱唱まで、豪華絢爛たるプロモーション動画はこちら!

 

ちなみに万博の会場となる夢洲は

バブル期に開発が試みられ、

1兆円もの資金がつぎこまれたものの

今のところ南部にコンテナターミナルがある程度。

 

「負の遺産」とまで言われ、

地元でも忘れられた形になっていたとか。

ジャーナリストの吉富有治氏いわく。

 

2005年ごろの大阪市は財政破綻寸前だった。

その大きな原因は、大阪湾岸エリアの開発に失敗したからだ。

今回の万博の会場となる夢洲も、その負の遺産である。

大阪湾岸を埋め立て、大きな土地を作って整備し、企業誘致をすれば、

企業も人も集まり、経済発展していくだろう――。

こんな思惑が当時の大阪市を支配していたのだが、

思ったほど企業は誘致できず、結果は大失敗。

多額の借金だけが残ってしまった。

元の記事はこちら。

 

つまりは万博開催によって

今までの負けを一打逆転で取り返そうという

ギャンブラー的な発想も見え隠れするのです。

 

だからというわけではありませんが、

万博開催前年の2024年、

夢洲にはIR(カジノを中心とする統合型リゾート)がオープンすることになっている。

万博終了後は、会場跡地にもIRを拡張する予定なのだそうです。

関連記事こちら。

(※)IRの経営は結局カジノ頼みとなるので、

「カジノを含む」ではなく「カジノを中心とする」としてあります。

 

・・・いや、カジノが悪いとは必ずしも思いませんよ。

しかし7月23日の記事

「負けの込んだギャンブラー(つまり日本政府)は統合型リゾートにすがる」

でも述べたように

カジノに頼って地域経済を活性化させようとするのは

いかんせん本末転倒。

 

賭け事のような遊びは、

生活の基盤がしっかりしていることを前提にやるものですし、

そもそもカジノに参入してくるのは

アメリカの外資でしょうからね。

 

ついでにIRをオープンしたからといって

それが繁盛する保証はない。

カジノの真の収入源は、億単位で賭けてくれるVIP客。

 

そのような客の主流は中国人富裕層となる見込みですが

シンガポールやマカオのカジノと違い

日本には負けた中国人VIPからカネを取り立てるノウハウがないのです。

 

万博の経済効果は2兆円と試算されているものの

夢洲にすでに1兆円が使われていることも不問としても

2026年以後、さらなる不況が関西を襲う結果に終わるのではないでしょうか?

 

だいたい今年、大阪は台風21号の直撃を食らって

相当な被害を出していますが

万博開催中、あんな台風が夢洲を直撃したらどうするのか。

 

さすがのアウフヘーベンマンも歯が立たないのでは・・・

Exif_JPEG_PICTURE

 

のみならず。

2025年大阪万博の費用は

会場建設費1250億、

事業運営費820億、

関連事業費(会場への地下鉄延伸費用など)730億

計2800億と試算されています。

関連記事こちら。

 

2020年オリンピックの費用が

8000億から3兆と、当初の3.75倍に膨らんだのを思えば

これだって結局、1兆円ぐらいになるかも知れません。

(2800×3.75=10,500)

 

しかしそうでなくとも

財政均衡主義に基づく緊縮財政志向にとらわれているわが国

まとまった予算を新たにつけるということは

他の分野の予算が伸びないか、

下手をすれば削られることを意味する。

 

そうでなくとも昨年9月、

大阪府立病院機構(これは地方独立行政法人だそうです)の運営する

「大阪母子医療センター」では

命の危険がある新生児を搬送するための保育器を買い替えるための費用を

クラウドファンディングで集めざるをえなかったのですぞ。

 

とりあえず1台分、

300万円を目標にしていたのですが

1000万円の寄付が集まり、3台購入できたそうです。

関連記事こちら。

 

だとしても新生児救命のための費用を

寄付にたよらねばならない状況で

IR(つまりカジノ)とワンセットになった万博に

大阪復活の夢を託すのでしょうか?

 

「落ちるかどうかじゃない、どこまで落ちるかだ」(※)個人の感想です。

Exif_JPEG_PICTURE

 

日本がデフレ不況を脱し、

新たな成長と繁栄のサイクルを迎えているとか

そうでなくとも経済再生のために

政府が積極財政に踏み切っているというなら

万博もIRも大いに結構。

 

けれども

万博やIRさえあれば

積極財政をやらずに成長と繁栄のサイクルを迎えられるなどという

爽快な錯覚にひたっているのであれば

事態はエドマンド・バークの言葉通りになるかも知れませんよ・・・

 

メチャクチャな政治は大惨事を引き起こす。

とりわけ傲慢で近視眼的、

ついでに了見の狭い「英知」というやつに気をつけろ。

 

本書306ページより。

フランス革命の省察

紙版のご注文はこちら!

電子版のご注文はこちら!

 

爽快に自滅しないために、読むべき4冊はこちら!

61Ti7IO9EOL

 ご注文はこちらをクリック。

 

『対論 「炎上」日本のメカニズム』帯付き書影

紙版のご注文はこちら!

電子版のご注文はこちら!

 

51kPYzkfkfL._SX338_BO1,204,203,200_

紙版のご注文はこちら!

電子版のご注文ははこちら

 

cover_ol

紙版のご注文はこちら!

電子版のご注文はこちら!

 

ではでは♬(^_^)♬