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「ゴダールの大予言」でも書いたとおり、

大予言という言葉は、

祥伝社の名編集者・伊賀弘三良(いが・こうざぶろう)さんの考案したフレーズである可能性が高い。

 

伊賀さんは祥伝社の設立に参加したうえ、

のちには同社の社長まで務められた方。

 

その前は光文社にいらしたそうですが、

ここでは小松左京さんの初長編

「日本アパッチ族」を出すという功績を残しました。

 

小松さん、じつは同書を出した直後から

かの「日本沈没」に取りかかっています。

事実、「日本沈没」の初版は光文社から出ているのです。

 

「日本沈没」と「ノストラダムスの大予言」によって、

1970年代前半、わが国には終末論ブームが訪れるのですから

伊賀さんこそは「終末論の父」とも呼ぶべき存在でしょう。

 

・・・それはともかく。

 

大予言というフレーズはじつに秀逸。

なにせノストラダムス以後、わが国では

天下国家、あるいは人類の未来をめぐる予言は「大予言」と呼ぶ

という通念が定着したのです。

 

予言に大小の区別をつけるなんて、

伊賀さん以前には、誰も考えつかなかったこと。

 

けれども「大予言」というネーミングには、

ちゃんと根拠があります。

 

天下国家をめぐる君子の話(を書いた本)を、

昔は「大説」と呼んだんですね。

その反対、個人レベル・日常レベルの話や

想像でつくった話(を書いた本)は「小説」。

 

小説という言葉は、これに由来します。

 

となると予言においても

個人の運命に関するものは「小予言」で、

天下国家、さらには人類に関するものは「大予言」となるでしょう。

 

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伊賀弘三良さん、畏るべし!

 

ちなみに「伝奇(推理)」という言葉も、

伊賀さんが考えたものだそうです。

ではでは♬(^_^)♬