『平和主義は貧困への道 または対米従属の爽快な末路』
刊行から二週間となりますが、おかげさまで快調です。
というわけで、
これまでは小さな画像でしか紹介してこなかった
裏カバーのお姉さんについても
クローズアップで激写しましょう。
どうぞ!
裏カバー全体はこんな感じ。
もちろん、こちらのお姉さんもお忘れなく。
ちなみに裏カバーのお姉さんについては、
ファイナルマドンナさんより、こんなツイートをいただいています。
このお姉さんを見た時、先生が取り上げていた
『貧困の為に性風俗バイトをする有名大学の女子大生』
の記事が頭を過りました。
この方は昼間(表紙)では「グローバル企業で働くキャリアウーマン」でも、
夜は奨学金返済の為に「副業」が必要な、
貧困化が進んだ近い将来の日本の女性の1つの典型なのかも…。
昼間は優秀なキャリアウーマン、夜は性風俗。
いよいよケン・ラッセル監督の映画
『クライム・オブ・パッション』じみてきました。
この映画のヒロイン、ジョアンナは
昼は優秀な服飾デザイナーなのですが
夜は「チャイナ・ブルー」という娼婦に変身するのです!
たしかに裏カバーをはじめて見たときには
『クライム・オブ・パッション』の主題歌
「IT’S A LOVELY LIFE(ああ素晴らしき人生)」が聴こえてきました。
ドヴォルザーク「新世界より」のメロディをロック調にアレンジ、
辛辣な風刺の歌詞をつけたものです。
ただし、「表カバー=昼の顔、裏カバー=夜の顔」という解釈が
唯一の正解とは限りませんので、念のため!
さて。
『平和主義は貧困への道』については
さまざまな方から賞賛のコメントをいただいています。
中でもご自分のブログで絶賛して下さったのが三橋貴明さん。
9月25日の記事「いわゆる『国の借金』と戦争(後編)」で
緊縮財政志向と平和主義の関連性についての
本書の議論を紹介されて下さいました。
何でも三橋さん、日銀だか財務省の官僚より
政府の国債発行はまかりならない。戦争になる。
実際、(注:昭和前半期における)高橋是清の国債増発が戦争を引き起こし、
ハイパーインフレーションを引き起こした
などと言われて、
インフレ率は1944年までは大したことがなく、
45年でも50%(物価が一年間で1.5倍になる)程度で、
46年の600%のインフレは、米軍の爆撃で供給能力を破壊しつくされたため(だ)
と反論した経験があるそうです。
むろん、これは三橋さんが正しい。
とはいえ真に重要なのは当時のインフレ率ではなく、
国債を増発すれば(用途のいかんによらず)戦争になる
という、まるで根拠のない論理構成。
三橋さんも内心
「何で国債発行と戦争を結び付けているんだ? アホか、こいつ?」
と思ったとか。
・・・ハイ、国債発行と戦争を結びつけるのは間違いなくアホです。
しかしそのようなアホがまかり通るのには
それなりの理由があった次第。
というわけで三橋さん、
『平和主義は貧困への道』の内容が
きれいに腑に落ちた模様で、
こう書かれています。
日本の「クニノシャッキンガー」の根底には、
「とにかく戦争はしたくない! そのためには政府の公債発行を不可能にすればいい」
という「平和主義(≠平和)」の発想があるのです。
となると、いわゆる「左派勢力」が国債発行を嫌悪する理由も理解できます。
あるいは、冒頭の官僚のレトリックも、
「財政法の精神」からしてみれば、むしろ当然という話になるわけです。
ハイ、その通りでございます。
ちなみにこの議論にたいしては
財務官僚(たとえば)が今なお、
平和主義を信奉するがゆえに緊縮財政を進めているというのは本当か?
と疑問を呈する方もいるようですが
これは失礼ながら少々発想が硬直している。
そんな必要はないのです。
1)敗戦直後、平和主義の発想に基づいて財政法第四条が定められた。
2)財政法第四条に従えば、緊縮財政路線は不可避となる。
3)平和主義は(非現実的だと言われつつ)現在にいたるもハッキリ否定されたわけではない。
4)同様、財政法第四条もまだ改正されていない。
この4点だけで十分なのですよ。
なぜなら上記4点は、
戦後日本では、財政均衡主義に基づく緊縮財政を是とする経路が成立してきた
ことを意味するからです。
そして経路というやつ、
いったん出来上がってしまえば
よほど積極的に否定しようとしないかぎり
自己強化メカニズムに基づいて継続される特徴を持つ。
つまり現在の財務官僚が
いちいち平和主義を意識しながら緊縮財政を推し進める必要はないんですね。
積極財政の必要性について意識的に目覚めないうちは
ひとりでに緊縮財政の経路を進むようになっているのです。
ところが財政均衡主義や緊縮財政路線は
1)主流派経済学
2)新自由主義
3)グローバリズム
とも相性が良いと来る。
つまりは積極財政の必要性について
意識的に目覚めることを阻害する歯止めが
三重にかかっているのです。
ただし。
平和主義の明確な否定が今なお行われていない
というのも否定しがたい事実。
安倍総理だって「積極的平和主義」を説きたがるくらいではありませんか。
言い替えれば平和主義の理念は
緊縮財政の経路の根底に
さながらラスボスのごとくひそんでいるのではないか。
主流派経済学、新自由主義、グローバリズムのすべてを打破したとしても
平和主義を明確に否定しないかぎり
積極財政への転換は達成されない恐れが強いのです!!
「落ちるかどうかじゃない、どこまで落ちるかなんだ」(※)個人の感想です。
三橋さんいわく。
日本の財政均衡主義の根っこには「平和主義」があるという真実を、
我々は理解する必要があるのです。
わたくしは、あまり他の方の著作を批評したりはしないのですが、
あえて断言します。
本書は日本国民「必読の書」です。
ありがとうございます!!
おかげで今週、『平和主義は貧困への道』はAmazonのランキングを急上昇。
日米安全保障部門のみならず、
外交・国際関係部門、
さらには政治入門部門でも1位という三冠を記録しました。
総合順位も67位を記録。
アウフヘーベンとインテグレイトの男こと藤井聡さんは
これから消費税10%引き上げ反対の運動を始める!
と宣言していますが
平和主義と緊縮財政の関連が多くの人々に理解されることは
この運動を広めてゆくうえでも、間違いなく有益。
「それは正しいクライテリオンだ!」(※)個人の感想です。
そんなわけで
本書が全国民必読の書となるよう
私も頑張ってまいりますので、
よろしくお願いいたします!
緊縮財政の経路から抜け出すためにも、読むべき5冊はこちら!
10 comments
tanza says:
9月 28, 2018
>1)敗戦直後、平和主義の発想に基づいて財政法第四条が定められた。
これ思い出したが、日本共産党がよく言ってましたね。
■公債発行を禁じた財政法の規定はなぜできたの?
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-04-24/ftp20080424faq12_01_0.html
コバ says:
9月 29, 2018
こんな新聞の回答欄があるとは!
倹約好きの国民性
土建屋と政治家の癒着を疑わずにはいられない国民性
グローバリズム好き
新自由主義や競争大好き
働かざる者食うべからずの精神
経済学者の誤謬
多数の政治家の誤謬
国民に蔓延る借金に対する不安と勘違い
数値上は最も高い国債額
財務相の方針
そして根底に平和主義…
緊縮財政をやりたくなる精神に追い込む要因が多すぎて、落ち続けるしかないですね(笑)
豆腐メンタル says:
9月 29, 2018
早く読みたいのに積読状態であります。
コメントは空想で埋めよう笑
★★★★★
積極財政派が日本において日の目を見ることがない理由をここまで根底から示した言論人がいるでしょうか。
日本が底抜けに駄目になるという予言です。
有耶無耶でマイルドな一党独裁志向が続いてきたことも納得がいく。
国民皆で自縄自縛に勤しんで、命綱はアメリカ頼み。
よい子であれば。。善であれば良いのでしょう?という開き直りと経路依存。
昨今話題のAIを連想します。
映画や漫画などでもあるように、AIやロボットには人類に逆らわない仕組みが必要です。
便利で有能だけど彼らが独自に判断するのは危ない。
人類を凌駕する能力を得たときに人類根絶を合理とするかもしれない。暴走するかもしれない。
開発を進めると手が届かないほどの存在になるのが自明で、かといって開発を手放せる訳がない。。
平和主義って哀しいですね。
日本は自然国家です。しかし同時にアメリカ以上に人工的理念的な国でもあることが浮き彫りになってきます。
この『平貧』という一見無意味な題名が深刻なパラドックスを現在日本人に突きつけています。
まともな国を目指したいものです。
読む前にカスタマーレビュー完成〜
豆腐メンタル says:
10月 9, 2018
断定でなく語りかけ口調?が意外だったためか余韻が遅れてやってきます。注:好意的評価
愛着と愛国心が表裏一体関係なんだぁ、とか。
日本が女性上位と感じるのは、社会に愛国心が不足しているから?とか。果てはなぜ自分はドラえもんの設定に反感持ってるんだろうなあ、とか。
素直に「幸福追求(経世済民)」で良かったものを敗戦ショックで自信喪失。
結果、一時凌ぎかつ消極的とはいえ自己欺瞞としか言いようのない平和主義を一国の大戦略に定めた。
少し想像すれば解るように平和主義は国レベルの自己欺瞞の路線。つまりどこかでケリをつける必要があった。
また恐らく平和主義は民レベルでは路線転換ができない。その上運良く?この自己欺瞞路線で経済的に成功してしまう。
成功もいつかは終わり。平成にあっても貧困化は規定されている。もう何も言うなと。
例えばですよ?
あなたは幸福でいたいですか?※ただし自律なのでそれなりしんどい
あなたは平和でいたいですか?※ただし他律なのでそれなりしんどい
例えばこの二つを人気投票したらどっちを選ぶ人が多いでしょうね。
あたしゃ迷いなく幸福ですわ。
でなきゃ自由と責任、権利と義務を履き違えているとしか思えない。
または幼く我が儘としか。ともかくメンタル面に問題ありです。
じゃなきゃもう、神とかネコと和解すべきだ()
拓三 says:
9月 29, 2018
幻想追いかけ国潰す…..てかっ 。
話変わるけど最近ホシュの皆様が言っている「憲法改正をする為には消費増税を見送るしかない」と。
これは面白い ! 辻褄が合うし話がつながるw
過去、安倍晋三は2回増税を見送りました。これはホシュのレトリックだと何かを成し遂げる為には「増税なんかをして態々支持率を下げる事に何のメリットがあるのか !」 と言う意味でしょう。安倍晋三も同じ心境だと思います。では、2回増税を見送り何を成し遂げたのか、つまりどんな法案を通したか…..
…..あれれ ? バ . イ . コ . ク …..
いや、そんなはずない。安倍がやりたくてやったのではなく米国の圧力…あれれ ? 安倍の力で増税を止めた訳ですよね ? 憲法改正を成し遂げる為には増税延期は必要なんですよね ? IR、移民、種子法、電力、数々の法案も安倍にとれば憲法改正と同じ ? いや仮に米国圧力だとしたら憲法改正も ? 確かに二項残しての加憲案は米国にとればタダで使える便利な軍隊。日本にとれば73年積み上げた解釈論のちゃぶ台返し。いわば無条件降伏…..
つまり安倍は消費増税延期を国民の為ではなく己の都合のため、米国の圧力ならば米国の為に増税延期を利用したのです。それを安倍信者のホシュの皆様が証明してくれた事に感謝w
なのに、いまだホシュの皆様は改正する事に意義があると本気で思っている。その哀れな姿を見ていると「幻想追いかけ国潰す」てかっw
アトロ says:
9月 29, 2018
日本における緊縮思想の成り立ちはその通りでしょうが、中国ロシアを除いてほとんどの国は緊縮的です。
世界的にも国債発行=戦争→財政拡大反対なんでしょうか。そうだとは思えないのですが。
SATOKENJI says:
9月 29, 2018
平和主義以外にも、
1)主流派経済学
2)新自由主義
3)グローバリズム
が揃っていますからね。
とある青襟契約社員 says:
10月 6, 2018
佐藤先生の広い視野と深い思索とユーモア含んだ言葉は分かりやすく、
拝読しながら自分なりに勉強をしております。
今回初めてコメントを
更に民主主義も加えると以下の五つ
1)主流派経済学
2)新自由主義
3)グローバリズム
4)平和主義
5)民主主義
この五つは「戦後」と「アメリカ」が必ず係わってる上に、
現在の合衆国大統領がトランプなので、何だかポーカーを想像してしまいました。
「A K Q J 10」の振り分けはともかく、
ロイヤルストレートフラッシュって感じで敵いません。
何も無かったようなすまし顔(ポーカーフェイス)で、
グローバル企業勤務の日々を送るしかないのが現状です・・・
コバ says:
9月 29, 2018
逆に積極財政を後押しする要因は
米との貿易摩擦
自然災害
電力不足
日銀のETF買い入れの限界
消費税増税反対の国民が多い
一部の国会議員からの提言
地方疲弊
諸外国の脅威の鮮明化
でしょうか?
まあ今の空気だと
対米従属スネ夫外交、選択と集中、弱者被災者に責任転嫁、発送電分離と自由化、外国人受け入れ、株主重視
などの格差拡大政策、農産品の輸入自由化
等お得意かついつもの慣れ親しんだ手段で対処して、よりその経路を強化していく絶望シナリオしかイメージできないですが☆
リナードル says:
9月 30, 2018
自分も此方の著書を拝見して『何故、与野党の考えに関して全く完全に同調出来ないのか?何故、日本に真の保守が存在しないのか?』が納得出来たし、何より、驚く程に現在の日本を状況を見事に言い当てていて、内心読んでて自分鳥肌が立ちましたね・・・。
この平和主義と政府の永続性の全否定。この主義を突き詰めて行くと、最終的に辿り着くのは『日本国民の淘汰で有り滅亡』ですね。
『そりゃ、保守もリベラルも(対米従属で有ろうと対中属国で有ろうと)何方も売国に向かう訳だ。現内閣も移民受け入れ拡大に向かう訳だ』
とも感じましたね。