9月6日の記事

「大量破壊兵器の拡散は良いことだ!」では

核兵器を巡るジャン=ポール・サルトルの発言を踏まえて

大量破壊兵器を多くの国が持つこと、

さらには大量破壊兵器の個人所有が可能になることには

プラスの側面もあるのではないか? という可能性を論じました。

 

憲法九条擁護で知られる大江健三郎さん

これについては賛同してくれるはずですが、

関連してご紹介したいのが

イギリスの作家、J・G・バラード。

 

1930年、上海に生まれたバラードは

少年時代を日本の収容所で過ごします。

その体験を元にした小説「太陽の帝国」は、

スティーブン・スピルバーグ監督によって映画化されました。

 

1950年代後半よりSFを中心に作品を発表しはじめます。

テクノロジーが人間の内面に与える影響を、

独特の視覚的イメージで展開する作風は

「SFのニュー・ウェーブ」として注目されました。

 

ついでに文明の崩壊を描くのが大好きな人。

1960年代には、本を出すたびに世界を滅ぼしていました。

この時期の代表作は、1966年の「結晶世界」でしょう。

 

1970年代に入ると、世界を物理的に滅ぼすことはなくなりましたが

人間や社会の内面的な荒廃を好んで取り上げるように。

1973年の長編「クラッシュ」は、

交通事故に性的快感を見いだす人々の物語で、

デイヴィッド・クローネンバーグ監督が映画にします。

 

他の作品には「コンクリートの島」

「創造の日」

「コカイン・ナイツ」

「楽園への疾走」など。

2009年に世を去りました。

 

そのバラードが1982年のインタビューで

反核運動について、こんなことを語っているんですね。

 

反核というのは

社会にたいして漠然とした不満や苛立ちを感じている人々にとって

まさにおあつらえ向きなんだろう。

達成される見込みのない目標なら、いつまでも安心して唱えられるじゃないか。

私は反核になどまったく賛成できない、

核兵器がもっと欲しいんだ!

(V・ヴェール、アンドレア・ジュノー編「リ/サーチ J・G・バラード」より)

 

で、話はこう続く。

 

いま、イギリスでは巡航ミサイルの配備が

大きな論争を呼んでいる。

このミサイルはトラックに搭載されて

あちこち移動できるんだ。

ロシアとの関係が悪くなったら

向こうの攻撃システムに探知されない秘密地点に行って

ミサイルを発射するわけさ。

 

反核運動の連中は叫んだね、

「お宅の庭に巡航ミサイルが置かれてもいいんですか?」

手を上げて、言ってやりたくなるよ。

「もちろん! ウチの庭にぜひ一台!!」

 

あの美しい金属の鳥が

空に向けて、今にも飛び立とうとしている姿を見ると

自分が世界の現実と、本当に関わっている気分になれる。

私は庭に、自家用巡航ミサイルが欲しいんだ!

(同)

 

核兵器の本質的問題は

民衆が戦争をめぐる発言権を失ってしまうことだ。

このサルトルの主張を踏まえれば、

バラードの言い分はもっともです。

 

たしかに今どき、

大量破壊兵器の一つも持っていないことには

世界のあり方にたいして、発言権があるとは言えませんわな。

 

何をメチャクチャなと思ったアナタ、

アメリカ合衆国憲法のこの条文をご覧下さい。

 

よく規律された民兵は

自由な国家の安全にとって必要であるから

人民が武器を保有し携帯する権利は

これを侵してはならない。

(1791年成立、修正第二条)

 

現に英語には

FREE MEN BEAR ARMS

(自由な人間は武装する)

というスローガンがあるくらいです。

 

日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、

国権の発動たる戦争と、

武力による威嚇、または武力の行使は

国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

 

などという

生ぬるくも腑抜けた文章(表記を一部変更)より、

合衆国憲法修正第二条のほうが、よほど男らしくてカッコいい。

 

だいたいですな。

「平和の君」と呼ばれるイエス・キリストも

じつはけっこう物騒なことを説いておられるのですぞ。

ルカ福音書、第12章49節にはこうあります。

 

わたしが来たのは、

地上に火を投ずるためである。

その火がすでに燃えていたらと、

どんなに願っていることか。(中略)

あなたがたは、

わたしが地上に平和をもたらすために来たと思うのか。

そうではない。

言っておくが、むしろ分裂だ。

(新共同訳。表記を一部変更)

 

1世紀の世界には存在しない「火」を

イエスは求めていたのです。

この火とは、

ウランの分裂によって生じる

核の炎ではないのでしょうか?

 

自家製巡航ミサイルが欲しいというバラードの主張を

かりにキリストが聞いたら、

どうしてどうして、賛成するかも知れませんよ。

 

一家に一台、巡航ミサイル。

景気刺激策としても悪くないのでは(笑)。

 

ユダヤ人ネットワークやCIA、

はたまた反日勢力などと並んで

世界をひそかに支配している(らしい)軍産複合体も、

これには異論がないでしょう。

 

ではでは♬(^_^)♬